タグ:黒田博樹

現在残っているフリーエージェントでもっとも注目されているのは、私たちのほとんどが実際に投げる姿を見たことがない、日本から来る選手である。

その田中将大は、珍しくこの時期まで決まっていない選手が多い中で、優勝争いを狙うチームと再建中のチームのいずれにも魅力的な、わずか25歳でありながらローテーションを一変させる可能性を持つ投手である。それ故に田中が動くことができる範囲はとても広い。そして彼が先週アメリカに来たことは、すでに多くのチームが彼を必要であると表明している中で、1月中旬の締切日に向けて、より注目を高めることになった。

私たちは、田中の性格や望み、そして彼が好きなことについて何も知らないために、どのチームに彼が行くのかを予想するのは難しいことである。しかし私たちは、メジャーリーグの現状については理解しているので、それを基にした予想をすることはできる。そしてここに、MLB.comのコラムニストたちの予想を紹介しよう。

マーロン・アンダーソン:カブス
セオ・エプスタイン球団社長には資金がある。そしてもし彼らが、数年以内に優勝争いをするという計画があるのなら、ファンを呼ぶことができるNo.1の選手が必要である。

マイク・バウマン:ヤンキース
ニューヨーク・ヤンキースは当然の見方として、田中将大のアメリカでの新しい所属先として早くから挙がっていた。

結局のところ、ヤンキースには資金があり、その資金を費やすという実績があり、先発ローテーションを強化するという、現実的なニーズがある。

アレックス・ロドリゲスが、メジャーリーグの薬物防止プログラムに違反したことで2014年シーズン全体を出場停止となった現在、ヤンキースには25百万ドルの資金の余裕ができたことになる。それはA-Rodの2014年の年俸だ。ロドリゲスはさらに、インセンティブで数百万ドルを受け取ることができただろう。

ロドリゲスは仲裁委員会に異議申立てをしたことで、211試合の出場停止が減ることになったが、それでもフルシーズンの出場停止である。そしてヤンキースは、それが覆される心配をする必要は、ほとんどない。連邦裁判所はこれまでも、繰り返して仲裁の結果を尊重しているからだ。

田中の争奪戦は、さらに厳しくなるだろう。その右腕はフリーエージェント先発投手の中でも、ずば抜けていると見られている。資金が豊富で、ニーズも豊富な他のチームも、獲得に動くだろう。

しかし田中の争奪戦でヤンキースを負かすのは難しい。彼らには意味があり、動機がある。そして彼らには、2014年シーズンのために25百万ドル以上の資金が加えられた。したがって田中は、ヤンキースに行くだろう。

アンソニー・キャストロビンス:マリナーズ
田中はとても若く、彼への投資はとても長い目で見ることができる。このことでその興味は、2015年以降のチーム作りの資金を確保するために、エプスタインの下でフリーエージェントに対して考えられないほど倹約しているカブスの様なチームから、冬の間にお金を使いまくるいつものMLBチームまでの広い注目を集めている。

しかし最終的に私は、この状況がしっかりと計画的に資金を用意することができるところに落ち着くと思っている。そして本当に多くの田中の獲得に動いているチームの中で、ヤンキースとマリナーズが、必要なだけの資源をしっかりと持っていると私は見ている。

伊良部秀輝と井川慶の失敗で用心深くなっているヤンキースは、それが理由で2年前のダルビッシュ有の入札に積極的ではなかった。そしてもしかしたら、いま彼らは、それを後悔しているかもしれない。彼らのニーズは、長年その左腕を酷使してきたCC・サバシアを先頭とするローテーションを強化することで、それは必須である。したがって私は、彼らの獲得への行動は、更に強くなっていくと予想する。

しかし私の本心は、田中が契約するのはマリナーズだと言っている。それは西海岸であるという地の利と、メジャーリーグにおける岩隈久志を含めた日本人選手の一貫した成功の歴史と、ポスティングのタイミングが理由である。マリナーズはすでに、ロビンソン・カノと契約するという大仕事を成し遂げているが、それで補強が終了であるすれば、ほとんどの人は、彼らのロスターを評価しないだろう。フェリックス・ヘルナンデスと岩隈久志の後ろに田中を据えることは、厳しい地区において、ただの成り上がりから間違いのない優勝候補になる可能性を秘めている。そして私は、彼らがその立場をつかむこのチャンスを、逃さないと考えている。

ジム・デュケット:ヤンキース
MLBのどのチームよりも、彼らは彼を必要としている。そして彼らは、彼にピンストライプを着させるために、全力で挑むだろう。

リチャード・ジャスティス:ヤンキース
ヤンキースに間違いないし、そうでなければならない。他はあり得ない。というよりも、論理的にはそうなる。少なくとも、それが当然な考え方だ。ヤンキースは田中を、シーズンオフの最優先事項としてターゲットにしてきた。そして彼ら自身の黒田博樹以外のフリーエージェント投手の誰に対しても、わずかな興味しか示していない。したがって来シーズンの田中が、他のどこかで投げていることを想像するのは難しい。そしてもし彼がそうすれば、それはシーズンオフ最大の番狂わせになるだろう。

ヤンキースは資金が豊富だが、田中の最終決断は、もっとも高額を提示したチームとの契約には落ち着かないかも知れない。そしてヤンキースは、より魅力的なものをオファーできる。それはヤンキースタジアムにおいて10月に投げる可能性であり、その十分なやりがいに注目せずにはいられないだろう。

もしそれに不確実なことがあるとすれば、それが保証されていないことである。彼がマリナーズに注目せざるを得ないのは、岩隈との友情が理由である。あるいはそれは、仲間のダルビッシュがいるレンジャーズにも当てはまるかも知れない。

ダイヤモンドバックスも高額のオファーをすることができるし、ヤンキースタジアムといったプレッシャーがかかる環境とは違う中で、一流の球団の一員になるチャンスがある。ドジャースについては、あり得ないと言って良いだろう。

きっと田中は、全ての可能性を考えている。25歳の若者が、こんなに多くの魅力的な選択肢を持つことは、滅多にない。彼が重視するであろうことが誰にも分からない中で、ヤンキースで投げるという可能性が、有力になるだろう。

ジェフ・ネルソン:ドジャース
私は田中が、故郷から近い西海岸でのプレーを望むと思っている。球団社長でCEOのスタン・カーステンとネッド・コレッティGMは、少し死んだふりをしているように、私には見える。彼らには資金がある。そして田中を加える事により、彼らはワールドシリーズに、とても近くなることができる。

C.J.ニコイッキー:レッドソックス
この件について、ボストンはダークホースである。しかし2015年のジョン・ラッキーの年俸は50,000ドルで、ジェイク・ピービーとライアン・デンプスターは年をとり、もうすぐいなくなるだろう。クレイ・バックホルツには健康の問題があり、ジョン・レスターは2014年シーズン後にフリーエージェントになる。つまり彼らのローテーションには、長期的な問題があるのだ。そして田中は、その完全な解決策になる。彼らはジャコビー・エルズベリーに100百万ドル近いオファーを出した。つまり彼らには資金があり、長期的に見て彼が必要なのだ。

フィル・ロジャース:マリナーズ
昨年の秋に、田中が東北楽天ゴールデンイーグルスを日本シリーズ制覇に導く前、彼は彼らと伴に、6年間で1シーズンしか勝ち越すことができなかった。ゴールデンイーグルスは仙台を本拠地としているが、そこはリーグでもっとも小さな町で、財政的にも厳しいマーケットである。田中はそれらのことを全て知った上で、そこを気に入っていた。彼はチームと成長できることを気に入っていた。彼がMLBでもっとも注目されて、もっとも批評されて、優勝争いが義務付けられているチームに、今更馴染むことができるだろうか? あるいは彼が、日本のチームの協調の象徴である「和」をその球団で見つけることができるだろうか? 私は、それには時間がかかると思う。

ヤンキースは、田中に最高の条件を提示するかも知れないが、自分が心地よい環境を探している彼を獲得することはできないかも知れない。彼に興味を示しているチームの中で、マリナーズよりもその状況に適しているチームはない。マリナーズでは、ゴールデンイーグルスで2007年から11年に田中を指導した岩隈と再び一緒になることができる。イーグルスの立花陽三球団社長は、エプスタインと長年の友人であり、田中がカブスを評価する時にその要素が絡んでくることは、もう1つの重要なポイントである。しかしカノとの契約に続いて、マリナーズは田中が契約するベストな状況が整っている。

ライル・スペンサー:ヤンキース
ボスであるジョージ・スタインブレナーの名前の下で、ヤンキースは田中を取り逃すことができるだろうか?そんなことはできない。

もし彼らが、私たちが育ってきた時と同様に、悪名高く、自惚れ屋で、嫌われ者で、愛されるヤンキースならば、彼らはチャンピオンを狙うことができるローテーションを作るための努力を惜しまないはずである。贅沢税の心配? そんなことは、第1の優先事項ではない。もしドジャースがそれを恐れていないのなら、なぜヤンキースが恐れる必要があるのだろうか? 彼らはジョージが牛耳るヤンキースなのだ。金持ちの考えることは違う。そして球界において、ブロンクス・ボンバーズよりもお金持ちがいるだろうか?

レッドソックスが、現在のワールドシリーズ・チャンピオンであることだけでも、十分な理由になる。そしてマリアノ・リベラの代わりの問題と、デレク・ジーターが完全復活するのかの問題もある。ファンは落ち着かない。ヤンキースは大きなことをするために、思い切る必要がある。

確かにボストンを出たジャコビー・エルズベリー、そしてブライアン・マッキャンとカルロス・ベルトランを獲得したことは素晴らしいことである。ヤンキースには、強力なラインアップが戻ってくる。しかし田中は、上位の先発投手という足りない部分を補う存在であり、そこには良い手本となる兄貴分の黒田博樹がいる。そこにすべてがある。それらのことを考えれば、田中がピンストライプを着ないと考えるほうが、難しいことである。

参考記事:Where will Tanaka land? It's anyone's guess MLB.com

もしヤンキースがマサヒロ・タナカと契約すれば、彼らのシーズンオフは、驚くほどの大成功になるだろう。あるいは、こう見た方がより適切かもしれない。もしヤンキースが、タナカと契約できなければ、彼らはアメリカンリーグ東地区において、レッドソックスとレイズより上位で終えるための体制を整えるという目標を望めなくなるだろう。そんなに単純ではないと思うだろうか?

ヤンキースは、ほぼ300百万ドルを費やしてジャコビー・エルズベリー、ブライアン・マッキャン、そしてカルロス・ベルトランと契約したが、彼らの仕事はまだ終わっていない。現在の彼らのローテーションは、CC・サバシア、イバン・ノバ、ヒロキ・クロダ、そしておそらくマイケル・ピネダとデビッド・フェルプスだ。

もしこのローテーションを楽観視するのなら、ヤンキースはアメリカンリーグ東地区で優勝する可能性がある。サバシアはそのために、落ちた球速を取り戻さなければならない。そして彼はおそらく、タナカがどうなろうが関係なく、そうする必要がある。しかしヤンキースローテーションを楽観視することは、非現実的だ。

ノバは、2年連続で活躍しなければならず、2011年9月21日から登板していないピネダは、右肩が問題ないことを証明しなければならないからだ。

ヤンキースはシーズンオフが始まった時から、ローテーションにタナカを加えるための資金を確保していたように思える。もし彼を獲得できなければ考えは変わるかもしれないが、これまでのところ、彼らは残っているフリーエージェント先発投手でも優秀なマット・ガーザとアーヴィン・サンタナに興味を見せていない。

25歳のタナカは、212イニングを投げて183奪三振、与四球32を記録したシーズンの後である。彼は友人のユウ・ダルビッシュほど圧倒的でないかも知れないが、24勝0敗のシーズンを視察したスカウト陣は、彼の能力と落ち着きに絶賛を惜しまない。

サバシア、ノバ、そしてクロダに彼を加えることで、ヤンキースローテーションは見違えるようになる。彼が加わることで突如、レイズとレッドソックスに対抗できるようになるかも知れない。

ヤンキースには三塁、そしてマーク・テイシェイラとデレク・ジーターに健康にの不安が残っているが、タナカは彼らがポストシーズンに戻るために、必要不可欠だろう。

おそらくそれが、ヤンキースは過去に失敗したことがあるにも関わらず、彼と契約したい理由である。木曜日の午前中に入札の手続きが始まる中で、ヤンキースがどれだけ迅速に彼と契約できるのか、そしてそれはいくらになるのかが、注目される。

そして他のチームが、それにどの様に絡んでくるのかにも注目が集まる。もしダイヤモンドバックスがスタッフに彼を加えるようなことがあれば、ポストシーズンへの期待は高まるだろう。

同様に、すでに今シーズンオフに大きな動きを見せているレンジャーズは、少なくとも彼にオファーをすると見られる。タナカとダルビッシュは友人で、練習仲間であると言われている。彼ら2人が一緒になることで、2人にとって魅力的なレベルのやりやすさの環境を作ることができる。そして彼との契約でレンジャーズは、メジャーリーグでもベストなチームになるかもしれない。

他は? ドジャースはタナカに入札すると見られ、ヤンキースに対抗できるだけの資金を持っているが、彼らの興味の強さは分からない。

それ以外にも予想をひっくり返す可能性があるチームは、いろいろある。カブスは、これまでにも言及しているし、ジャイアンツ、マリナーズ、アストロズ、そしてタイガースもまた、それぞれの言い方で言及してきた。

しかしそれでもヤンキースは、契約を結ぶために積極的に動くと予想され、それは彼らの2014年シーズンのチームで絶対必要な1人と見られながら、新しいマリナーズ選手となったロビンソン・カノが不愉快に感じるレベルの金額になるかも知れない。

ヤンキースが彼を獲得しながら、贅沢税がかからない189百万ドル以下の総年俸に抑えることは、不可能に思えるが、一方で彼らは、それが緩い目標であり、2014年にふたたび目指すつもりであるとも発言している。

そのためには、タナカとの契約は必須である。これは最初から、避けようがない結論である。しかしそれは、カノのフリーエージェントについても、私たちの多くが考えていたことである。

そして、楽しみが始まる。今シーズンオフは、すでに驚きの契約とトレード、そしてあちこちで大金が飛び交っている。それがもう一度、始まるのだ。

参考記事:Yanks ready to go all-in on Tanaka -- and they need to By Richard Justice/MLB.com

carlos-beltran

ロビンソン・カノが、ブロンクスを離れたことで、ヤンキースは取っておいたお金を使えるようになった。

彼らのベストプレーヤーだったカノが、金曜日にマリナーズとの10年240百万ドルの契約を受け入れた数時間後、ヤンキースはライト選手のカルロス・ベルトランに3年45百万ドルの契約のオファーを出し、その元メッツの選手は、それを受け入れた。
 続きを読む

42

ヒロキ・クロダは2014年に、ただ投げるだけを目標にしているのではない。そしてブライアン・キャッシュマンGMによればその右腕は、ヤンキースでの3年目に興味を示している。

「彼は、戻ってくることを望んでいる」キャッシュマンは木曜日、ヤンキースタジアムで語った。「彼は投げるだろうけど、それがここなのか日本なのか、それともここ(米国)のどこかなのか、私はまだ知らない。すべての兆候が、彼がヤンキースに戻ってくることに確かに興味があるということを示している。兆候だから、保証はないけど」

ヤンキースが、キャッチャーのブライアン・マッキャンをメディアに紹介したあと、共同経営者のハル・スタインブレナーは、今シーズンオフのチームの現在の優先事項がクロダであることに言及した。 

「私たちは今、素晴らしいキャッチャーを加えた」スタインブレナーは語った。「もっと打者が必要なことは分かっている。今年はそれが、ある程度の私たちのアキレス腱だった。ケガのことは言うまでもない」

「私たちには打力が必要だけど、クロダとも契約していない。彼はまだ、どことも契約していない。他にも投手は残っている。投手の補強は終わっていないし、両方とも確かに必要だ。打者も1,2人必要だ」

ヤンキースは数週間前にクロダにオファーをしてあり、その返事待ちである。それは1年15百万ドル前後と言われており、今シーズンと同じものである。1年契約を好むクロダは、32先発で11勝13敗、防御率3.31だった。

「うちには先発投手が必要で、クロダにいて欲しいと思っている」キャッシュマンは言った。「彼の代理人のスティーブ・ヒリヤードと絶えず話をしている。良い関係を築けているし、これまでのところ健康的な話し合いだ。彼が戻ってきたいと思っていると私は信じているし、そうなるように努力しているけど、それ以上のことはなにもない」

クロダが戻ってくることは、キャッシュマンが言うローテーションに400イニング以上を加えることに近づくことになる。クロダは過去3年で、2012年の1年目のヤンキースでキャリアハイの219回2/3を含む、200イニング以上を投げている。

現在ローテーションで固まっているのはCC・サバシアとイバン・ノバだけである。そこに加わる可能性があるのがデビッド・フェルプス、アダム・ウォーレン、そしてヤンキースのメジャーリーグで投げていないマイケル・ピネダである。ピネダの健康状態は、完全に回復している。

ヤンキースのジョー・ジラルディ監督は、現在のクロダの心境に重くのしかかる、いくつかのことがあると言った。

「ヒロキにとって重要なのは、家族のことがあると思う」ジラルディは言った。「それに彼があとどれくらい投げたいのかとか、考えた上で決断しなくてはならないことがいくつかある。体力的には年々ハードになるし、それも彼がしなくてはならない決断だ」

クロダは8月中盤に調子を落とす前の最初の24登板で14勝10敗、防御率2.33だった。彼はシーズン最後の8先発では、0勝6敗、防御率6.56だったが、ジラルディは「それは疲労の蓄積で、おそらく私たちが望んでいたのよりも、少し使いすぎた」のだと説明した。

その披露は、来シーズンのクロダを、再び強く脅かす恐れはないだろうとジラルディは言った。

「そうならないことを願う。彼は大丈夫だと思う」ジラルディは言った。「昨年の彼も、しっかりと回復していたからね」

参考記事:Cashman: Kuroda interested in Yankees return By Bryan Hoch / MLB.com

kuroda2

シーズンオフのヤンキースが直面する多くの問題のうち、3人は先発ローテーションの人間である。

アンディ・ペティットは再び引退して、フィル・ヒューズがフリーエージェントになることで、C.C.サバシアとイバン・ノバだけが、来シーズンの確実なチームの先発投手となった。

続きを読む

07

マリアノ・リベラは、ヤンキースタジアムのマウンドの後方で、手を腰に当てて立ち尽くしていた。その表情には、困惑がにじみ出ていた。彼はウィル・ミドルブルックスにライト側に打たれた打球が、ただのフライボールだと確信していた。そして5列目の観客席に飛び込むなんてことは、思ってもいなかった。

「信じれらないよ」リベラは、誰に言うわけでもなく呟いた。

リベラは9回にセーブに失敗したかもしれないが、その日の午後のヤンキースは、負けなかった。イチロー・スズキがブランドン・ワークマンのワイルドピッチでホームに向かって走り、そして決勝のホームを踏んだ。日曜日のヤンキースタジアムで行われたレッドソックス戦で、ヤンキースは4対3で勝利した。

「もし今日負けていたら、確かに精神的なダメージは大きかったでしょう」イチローは通訳を通じて語った。「正直に言ってタフな状況だけど、今日は勝ったし、上手くいけばこの勝利や得点を、効果的に使うことができる」

ロビンソン・カノの2点タイムリーが、ヒロキ・クロダの力投を助けた。クロダはシーズン最多の117球を投げ、地区のライバルによる4ゲームスイープを回避する原動力となった。

イチローはシングルヒットで出塁し、二塁へ盗塁し、外野フライで三塁へ進んだ後にホームへ生還した。それはワークマンが投じた高めのファストボールが、キャッチャーのジャロッド・サルタラマキアが伸ばした手をすり抜け、バックスクリーンまで転がった時だった。

「今日は、勝利が必要だった。ここ数日は厳しい負け方をしていたからね」ジョー・ジラルディ監督は言った。「重要な遠征に出る前には、本拠地で良い終わり方をしておきたい。またボルチモアと対戦する。そのチームといま順位争いをしているんだから、それは本当に重要だ」

今シーズン7回目のヤンキースのサヨナラ勝ちの後、リベラはスタミナ切れだったのかと質問を受けた。歴代1位のセーブ数を誇る彼は、枯渇したブルペンを助けるために、滅多にない2イニングセーブを任された。そしてその結果は、リベラの7度目のセーブ失敗だった。

「ブルペン陣のほとんどはいま、どこかを痛めている」リベラは言った。「私が全てを何とかできるわけではないけど、何かをする必要があった」

リベラは2006年以降のレギュラーシーズンで6アウトを記録していないが、彼はジラルディとラリー・ロスチャイルド投手コーチに、それに挑戦すると伝えていた。ジラルディによれば、リベラは「来年のことを考える必要がないから」と言った。

ルベラは8回をシングルヒット1本に抑え、9回の先頭打者だったミドルブルックスにカッターを投じた。リベラはそれを、普通の外野フライだとしか考えなかった。イチローはその打球を見て、フェンス際まで下がった。

「その球が上に上がった時、"よし、外野フライだ"って言ったよ」リベラは語った。「外野フライだったけど、フェンスを超えた。それも試合の一部だ。他の日だったらあのフライボールは、ウォーニングトラックまでだった。今日は風がそうさせたんだ」

「風が強くなければ、僕の前に落ちるくらいのフライだった」イチローは言った。「だから飛んで行くのを見て、本当に驚いた」

リベラは、ヤンキースがシーズンを闘いぬくために、投げる必要があると語った。そしてその心意気とさらなる努力は、クロダがボストンの強力なラインアップを相手に2点に抑えた後に必要だった。

クロダは調子が良くなかったと言った。そしてそのベテランは、2回に37球を要するなど、時にピンチに陥った。しかし彼は、その回のレッドソックスに満塁のチャンスを与えながら、マイク・カープのタイムリー二塁打による失点だけに抑えた。

6回にはまた、サルタラマキアがクロダから、内野ゴロで打点を記録した。クロダは7回にも2人のランナーを許したが、レッドソックスはそのチャンスを活かせなかった。

「シーズンのこの時期には、疲れているとかは関係ないから」クロダは言った。「今日が最後の登板になるかもって思いながら投げている」

ボストンのジョン・レスターは、8回を投げて被安打10、3失点で、勝敗はつかなかった。マーク・レイノルズが4回に、センターへタイムリー二塁打を放ち、試合は同点になった。

5回のニューヨークは、三連打で満塁とした後にロビンソン・カノがレフト側へ2点タイムリー二塁打を放ち、クロダにリードを与えた。ショーン・ケリーとリベラは、9回にミドルブルックスにまさかの本塁打を打たれるまで、そのリードを守った。

「シーズンのいまの時期っていうのは、しなくてはならないこと、できることのすべてをしなくてはならないんだ」カノは言った。「もし僕たちが、プレーオフを目指しているのなら、それをしなくてはならない」

ジラルディは、日曜日の登板でリベラが35球も投げたにも関わらず、月曜日のボルチモア戦でリードを守るためなら、彼を登板させる可能性があると語った。残り19試合で、リベラは可能性があるすべての登板機会で、ボールを握るつもりでいる。

「彼らは、私に言う必要はない」リベラは言った。「私はなにも拒まない。私に来年はないんだから」

参考記事:On wild pitch, Yankees walk off vs. Red Sox By Bryan Hoch / MLB.com

ヒロキ・クロダにとって、来シーズンの話をするのは、まだ早すぎる。それはヤンキースかも知れない。それはMLBの他のチームかも知れない。それは彼の生まれ故郷である日本かも知れない。それは引退かもしれない。

ヤンキースの新しいエースであるベテラン右腕に彼にとって、それらはすべて可能性があるのもだ。彼には、今シーズン終了後の契約はない。

「シーズンが終わるまで、その先のことは考えられない」火曜日夜にヤンキースタジアムで行われ、ヤンキースがエンゼルスを14対7で破った試合の前に、クロダは語った。

クロダはシーズンオフにヤンキースからフリーエージェントになる選手の中で、ロビンソン・カノの次に重要な選手だ。彼はサイヤング賞候補に躍り出て、チームで一番の信頼できる先発投手で、エースに求められるすべてを見せている。

AngelsatYankees022653--300x300しかしクロダはシーズン終了後のこと、そして彼がどこに行きたいのかについて言及しない。1年以上の契約を望まなかった彼は、ヤンキースと2年連続で1年契約を結んだ。彼の今シーズンの契約は、15百万ドルだ。クロダは本紙に、日本でキャリアの最後を終えたいと決めているというのは誤解で、1年契約を望んだのは、それが理由ではないと語った。

「僕は、そんなことは考えたことはない」彼は言った。「誰が言っているの?」

 メジャーに来てから5年間のクロダは、素晴らしい投手である。そして今年の彼は圧倒的だ。昨晩を終えて彼の素晴らしい防御率2.33は、マリナーズのフェリックス・ヘルナンデスに次いでア・リーグ2位で、メジャー全体でも4位である。彼の上にいる他の投手は、ドジャースのクレイトン・カーショー(1.88)とメッツのマット・ハービー(火曜日にドジャースに4対2で負けた後で2.23)だ。彼らも素晴らしい投手である。

そしてクロダは11勝7敗で、サイヤング賞の候補になり得る。彼はその賞を獲得したら、MLBを離れるのだろうか?

「そういう成績を残せているということは、確かに自信になる」クロダは言った。「だけど同時に、シーズンをしっかり終えなくてはならないし、そういう決断を考えることができるくらい健康でいないと」

2月に39歳になったクロダは、彼の野球への情熱が、決断の助けになるだろうと言った。「気持ちの部分が、その決断の大きな要素になると思う」

クロダがいなくなることは、ヤンキース・ローテーションには大きなダメージになるだろう。CC・サバシアが急激に衰え始め、フリーエージェントになるアンディ・ペティットとフィル・ヒューズは、戻ってこないかもしれない。若手のイバン・ノバは、まだ頼りない。マイケル・ピネダは希望の光だが、2011年からメジャーで投げていない。

クロダは初めの4年を、ドジャースで過ごした。そしてドジャースは、昨年の冬に彼の獲得に興味を示した。フリーエージェントになる先発投手の層が薄い(マット・ガーザ、ティム・リンスカム、ジョシュ・ジョンソン、A.J.バーネットなど)中で、クロダの望むものが何なのかを判断することは難しい。

もしクロダが、来年もメジャーで投げるとしても、契約のオファーがあったどんなチームでも、考慮すると語る彼が、ヤンキースに留まると宣言することはないだろう。

「どんなところからオファーがあっても、決断するにあたって真剣に考えるというのが、いつもの僕のやり方だから」彼は言った。

彼の決断は、ヤンキースにとって重要なものになるだろう。

参考記事: Yankees' Kuroda has no plans for 2014 By MARK HALE NYPost.com

↑このページのトップヘ