タグ:上原浩治

昨年のワールドシリーズ第6戦以来初めて上原浩治が、月曜日に行われたパイレーツ戦で、レッドソックスのマウンドに戻ってきた。

そしてそれは、何かが変わったようには見えなかった。上原は14球を投じ、うち10球がストライクと、2013年シーズンに見せた三球三振を狙うタイプの投球だった。
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月曜日午前の第3球場、その球はダスティン・ペドロイアのベルト付近から足元に、アンフェアなタイミングで急激に落ちた。そのレッドソックスのスター二塁手は、その球を無様に空振りし、そして自分自身を笑った。
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1950年代から'60年代の日本に、稲尾和久という投手がいた。とても優秀だった彼の実力に敬意を表し、当時の日本では彼のことを「神様、仏様、稲尾様」と言った。

稲尾は1969年に引退したが、ある投手が昨年その名誉を奪うまで数十年にわたって、彼はそう言われ続けてきた。そして現在は「神様、仏様、稲尾様」そして「田中」である。

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レッドソックスのジョン・ファレル監督が、2014年のクローザーに上原浩治を指名するのに、長い時間を必要としなかった。

「他にクローザーやリリーバーを加えなくても、私たちは、来年のクローザーをコージで始めるのが、本当に良いと思っている」ファレルは言った。

2013年の上原は、もっと小さな役目で始まったが、アンドリュー・ベイリーとジョエル・ハンラハンのシーズン絶望のケガで、上原はシーズン真ん中でクローザーの仕事を任された。彼はその役目で活躍し、レギュラーシーズンの74回1/3で101奪三振、防御率1.09、WHIP0.57の圧倒的な成績を残した。

他のすべての選手たちと同じ様に、レッドソックス球団とトレーニングスタッフは、シーズンオフのその38歳の日本人の監視を怠らないだろう。

「彼らがここを発つ時の健康状態は知っておきたいからね。コージは国に帰る前に、3,4週間くらい米国にいる予定みたいだ」ファレルは続けた。「ここを発つ時の彼は、肉体的な問題はなかった。彼は、ものすごく丈夫だったね。今年の彼はプレーオフまで全部投げたから、来春のスプリングトレーニングに内容は、少し変えることになるだろう。彼の年齢や負担を考慮しながら、来年のグレープフルーツ・リーグの真ん中くらいの試合になるかもしれない」

「だけど今年のスプリングトレーニングも同じ様に、彼の年齢や負担を考慮しながらだったし、彼は私たちが指示したものをすべてしっかりとこなしたから。彼には感心したよ」 

参考記事:Farrell: Sox OK with Koji as closer in 2014 By Joe McDonald | ESPNBoston.com



38歳のコージ・ウエハラは、オールスターに選ばれたこともなければ、球種は2つしかなく、ファストボールは、なんとか90マイルに届くくらいである。しかしそれであっても、彼はワールドシリーズで打たれていない。

それは、彼自身も驚いている。

「ポストシーズンだけじゃなくて」ウエハラは通訳を通して語った。「レギュラーシーズンも、シーズン全体を通して、自分でびっくりしている」

ウエハラは、3対1で勝利した月曜日の第5試合でもセーブを記録した。2点のリードを守るために、1回1/3で2つの三振を奪う完璧な投球を見せた。それは今月7個目のセーブで、ブラッド・リッジ(2008年フィリーズ)、ロブ・ネン(2002年ジャイアンツ)、トロイ・パーシヴァル(2002年エンゼルス)、そしてジョン・ウェットランド(1996年ヤンキース)と並んで、1年のポストシーズンで最多となった。

上原の次のセーブは、ワールドシリーズチャンピオンを意味することになる。

「たくさん投げることになるだろうと思っていたから」記録について聞かれたウエハラは言った。「予想の範囲内です」

この記録を持っているウエハラと他の4人の記録は、1995年に地区シリーズが始まって以降のものだ。そして彼のファストボールとスプリッターのコンビネーションは、打たれない。プレーオフの12回2/3で彼は、アメリカンリーグ地区シリーズの第3戦でホセ・ロバトンに打たれたサヨナラホームランによるわずか1失点だけで、その間は被安打7、15奪三振、与四球0である。

ア・リーグ優勝決定シリーズのMVPに輝いたウエハラのポストシーズンの成績は、防御率1.09、WHIP0.57、三振四球比は11.22である。

「いろいろ経験してきたからね」ウエハラは言った。

月曜日のウエハラは、4つのアウトを奪って4つ目のセーブを挙げた。8回2アウトのデビッド・フリースの打席でジョン・レスターと交代したウエハラは、危険なピンチヒッター、マット・アダムスを三振に獲った。そして9回にカージナルスの上位打線と対戦したウエハラは、マット・カーペンターを見逃しの三振に獲り、ピンチヒッターのジョン・ジェイを一塁ゴロ、そしてこの日ホームランを放っていたマット・ホリデーを、フライアウトにした。

「彼がマウンドに上がると」ジョン・ファレル監督は言った。「私たちは、試合の中で一番安心することになる。試合の状況や、重要性に関係なくね」

試合後テレビレポーターに 「魔法でも使っているのか」と聞かれた彼は、通訳の言葉を聞く前に猛烈に頭を振った。

「普通の人間ですよ」ウエハラは言った。

それでも10月のウエハラは、大注目を浴びている。

参考記事:Uehara surprised by his own dominance By Alden Gonzalez / MLB.com

koji400_805un97t_0tg0bi2v野球の世界では、3球でツーストライクを取ることができるコントロールを持つ投手は、最高に優秀だとされる。そしてもし投手が、そのレベルの正確さと安定性に加えて、並外れたもう1つの球を持っていれば、彼は最高の投手である。

レッドソックスのクローザー、上原浩治は、それである。

2013年のレギュラーシーズンにおいて、スピードガンで90マイル以上を記録するには、センターからの追い風が必要な38歳の上原は、74.1%のストライク率を記録した。ポストシーズンの彼は更に良くなり、79.1%がストライクだった。

「彼がマウンドに上がった時は、目の前でテレビゲームを見ているみたいだ」仲間のレッドソックスのリリーバー、ブランドン・ワークマンは言った。「彼はどんな球だって、望んだ所に投げ込むことができるんだ」

もし上原の球がすべて良いのなら、論理的には、打者は狙い球を絞ることができる。しかし現実的には、それは簡単ではない。

「もし彼が、ストライクゾーンを攻めるなら、落ち着いて対応すれば、多分打つことができるんだ」カージナルスのマイク・マシーニ監督は語った。「だけど良い選手たちが、無様に空振りしているのを見ていると、特にテレビやビデオで見えているのよりも、もっと意外な動きをするんだろうね」

実際に上原は、打者にかっこ悪いハーフスイングをさせてから、空振りを奪う。彼は10球のうち1,2球しかボール球を投げないので、打者はとにかくストライクを予想するか、あるいは上原が投げたストライクに見えるボールに食らいつくのだ。

「彼の球は僕から見ても、たとえそれがストライクでなくても、そう見えるんだ」レッドソックスのキャッチャー、デビッド・ロスは言った。「コージの投球フォームはとても分かりにくいから、ボールが見えるのが遅いんだ。彼が投げた瞬間にストライクじゃないって僕が分かるのは、唯一高めの球の時だけだけど、打者からそうは見えないから、彼らは空振りするんだ。彼はみっともないハーフスイングを、たくさん奪っている。打者は時々、ワンバウンドする球だって振るからね」

その球は上原のスプリッターであり、それはとても効果的だ。彼のスプリッターは、まるでファストボールの様に、右打者に食い込み、左打者からは逃げる。しかしファストボールと違うのは、それが落ちることである。打者にとっての問題は、その球が80マイル後半のファストボールなのか、それとも80マイル前半の鋭く落ちるスプリッターなのかが、反応し始める数分の1秒前であるマウンドとホームベースの半分にくるまで見分けがつかないことである。

「OK、彼を打つのは簡単だよって言いたいだろうけど、彼のボールは本当に分からない」ボストンの外野手ダニエル・ナバは言った。彼はスプリングトレーニングで上原のファストボールを打ったことがある。「みんなは、なんで彼が89マイルの球で勝負できるんだろうって不思議に思うかもしれないけど、彼の投球フォームは、とても分かりにくいんだ。彼の手から離れたボールを見極めるのは難しいから、時間がないんだ。僕が彼と対戦した時は、ファストボールが2球真ん中に来たけど、途中まで分からなかったからね。タイミングを取るために最初の球を見る必要があって、それで自動的にカウントが0-1になるけど、そうなったら彼のペースなんだ」

それは打者にとって、気持ちのよいものではない。上原は74回1/3を投げる間に101個の三振を奪い、与えた四球はわずかに9つで、三振四球比は11.22になる。歴代最高のクローザーと言われているマリアノ・リベラは、今シーズンの三振四球比は6.00で、ストライク率は69.6%だった。それは確かに素晴らしい数字だが、上原よりは5%も低いのだ。

カージナルスのクローザー、トレバー・ロゼンタールもまた、2013年のレギュラーシーズンのストライク率が67.9%と素晴らしかった。しかし彼のポストシーズンでのそれは、59.5%に下がっている。23歳の新人右腕は、新人の壁にぶち当たっている。

「ポストシーズンは、難しいんだ」ロゼンタールは言った。「勝利を締めるんだって言う時は、たまに気合が入りすぎるんだ。歩かせないようにしている。これは、ストライク率にも関係するけどね。とにかくストライクを1つ取って、それから打者と勝負する様にしている。マウンド上での2つ目のステップは、自分の能力を信じること」

それはロゼンタールにとっては、難しいことではない。彼のファストボールは、しばしば3桁の球速を記録するからだ。ナショナル・リーグ優勝決定シリーズの第6試合、カージナルスが9対0でチャンピオンになった試合で、ロゼンタールは12球でドジャースのマイケル・ヤングとカール・クロフォード、そしてマーク・エリスをアウトにした。うち7球がストライクだった。すべてがフォーシム・ファストボールで、すべてが94マイル以上、その夜の最後の2球は100マイルを記録した。

投手として、ロゼンタールと上原ほど違う2人はいないかもしれない。しかし世界中が驚愕するような、誰にも打てない投球をするという2人の考えは同じである。

参考記事:Uehara continues to baffle hitters, draws praise By Lindsay Berra  MLB.com



コージ・ウエハラがクローザーになった時から、レッドソックスのシーズンの流れは変わった。そのベテラン右腕の変幻自在な投球と圧倒的なスプリッターは、試合が9回になった瞬間に、すべての心配事を吹き飛ばした。

その成功は、アメリカンリーグ優勝決定シリーズでも続いた。そしてボストンは、1年で最も大切な試合でウエハラを信用した。ウエハラは決して期待を裏切ることなく、そしてその38歳はア・リーグ優勝決定シリーズの最優秀選手賞に選ばれた。

「僕のことをサポートしてくれた選手やスタッフみんなのお陰です」ウエハラはグラウンドで、通訳を通して言った。それはボストンがタイガースを5-2で降した試合で、最後の打者だったホセ・イグレシアスを空振り三振に獲ってから、間もない時だった。

その瞬間のプレッシャーについて聞かれたそのクローザーは、笑顔で付け加えた「正直に言って、吐きそうでした」

ア・リーグ優勝決定シリーズでウエハラは、6イニングを投げて1勝3セーブ、与えた四球は0で8奪三振、打たれたヒットはわずかに4本だった。彼はフェンウェイ・パークの観客の声援が飛び交う中、セカンド付近で行われた表彰式でMVPトロフィーを頭上に揚げた。

「彼がこの1年間してきたこと、そして特にポストシーズン、アウト4つだろうと5つだろうと、そして今夜のように9回だけでもね。彼がMVPを獲るべき理由は、それだよ」レッドソックスのジョン・ファレル監督は言った。

「(MVPは)彼以外にいないだろうって話していたんだ」レッドソックスのリリーバー、ブランドン・ワークマンが付け加えた。「点を与えないだけでなく、彼は決して試合を投げ出さなかった。彼が最後を締めくくる姿を見るのは、特別だね」

レッドソックスは、ウエハラを獲得したという、信じられないような幸運に感謝している。ウエハラは、セットアップマンとして契約したが、ジョエル・ハンラハンがシーズン絶望の肘の手術を受け、肩を痛める前のアンドリュー・ベイリーが不調だったことで、クローザーの仕事を任された。

日本で先発投手をしていた彼は、フリーエージェントでボストンに来る前に、オリオールズとレンジャーズのブルペンで、いろいろな役目を任されて成功してきた。しかしウエハラが、9回を任される状況になるとは、考えられていなかった。彼はレッドソックスが「熱心に誘ってくれて、誠意を感じた」と語り、そして「とにかく、ここで頑張ろうという気持ちだけでした」と付け加えた。

今シーズンを迎えるまでのウエハラは、わずかに14セーブだっだが、空振りを奪う巧みな技を魅せつけた。レギュラーシーズンの彼は、21セーブで防御率1.09、三振四球比が11.22と圧倒的だった。

わずか2年前にプレーオフの登板で苦戦して、テキサスのワールドシリーズのロスターを外れたウエハラだったが、今回のア・リーグ優勝決定シリーズでは、上手くやってのけた。

第1試合のウエハラは、1回を2奪三振の無失点に抑え、第2試合ではパーフェクトな登板で、ジャロッド・サルタラマキアのサヨナラタイムリーヒットにつなげ、木曜日の第3試合では4つのアウトを奪い、レッドソックスを1-0の勝利へ導いた。

第5試合でのウエハラの仕事はさらに過酷となり、5つのアウトを記録して2つの三振を奪い、アメリカンリーグ優勝決定シリーズの2セーブ目をマークした。

「信じられない。彼は最高に素晴らしいね」 タイガースのジム・リーランド監督は、第6試合の前に語っていた。「彼が契約した時の顛末について、今日たくさんの記事を読んだけど、彼ら自身もたぶん、こうなるとは思っていなかっただろうね」

「だけど時にこうことは起こるし、彼らは奇跡を捕まえたんだ。彼が本当に凄いということに、疑いの余地はない。それに彼は今、おそらくチームで一番重要な選手だろう」

日曜日の第6試合の前のファレルは、最後の6つアウトを獲るためにウエハラを使う可能性を否定しないと言っていたが、彼に必要だったのは3つのアウトだけだった。フェンウェイ・パークのファンの「コージ!」の掛け声のなか、ウエハラはアレックス・アビラを三振に獲り、オマー・インファンテのバントで2つ目のアウトを獲った。

ウエハラはいつも1点しか余裕がない代わりに、3点のリードがあったことで、少し気が楽だったと語った。続くオースチン・ジャクソンが打った打球は、ショートのスティーブン・ドリューがわずかに獲ることができずに内野安打となったが、ウエハラは次のイグレシアスをスプリッターで三振に獲った。

最後のアウトを奪ったウエハラは、マウンドとホームベースの間でキャッチャーのサルタラマキアに抱きつき、叫び声を上げた。そしてレッドソックスのメンバーが彼を取り囲んだ。それは2007年以来のワールドシリーズ進出のお祝いの始まりだった。

「今の気分としては、最高としか言い様がない。それだけです」ウエハラは言った。

参考記事:Unflappable Koji nets ALCS MVP honors By Bryan Hoch / MLB.com

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