アトランタ・ブレーブスがアップトン兄弟と共に、メジャーリーグを引っ張っていくだろう。

その2013年シーズンの予言の一つが、実現することになった。

フリーエージェントだったB.J.アップトンと契約した8週間後の木曜日、彼らはアリゾナからジャスティン・アップトンをトレードで獲得した。そして今の疑問は、それで彼らは何を勝ち取るのかだ。

そう、彼らは一つのことのために、このトレードで勝利した。木曜日に私たちは、7つの球団の幹部とスカウトに聞いて回った。忙しい合間に話してくれた彼らの一人を除く全員が、このトレードを肯定的に見ていた。

「アトランタにとって素晴らしいトレードだ」あるア・リーグのチーム幹部は言った。

「良いね、良いね。アトランタにとって、良いことだ」あるナ・リーグのチーム幹部は言った。

「ああいった選手は、引く手あまただ」他のナ・リーグのチーム幹部は言った。「25歳のオールスター級の選手、それはチームを良くしてくれる」

ジャスティン・アップトンを加えたことでブレーブスは、より若くなり、パワーが加わり、外野の守備力が向上した。そして少なくともこれから3年間、球界でも最も若くて有望な外野陣を持つことになった。28歳のB.Jとは2017年まで、25歳のジャスティンとは2015年まで契約がある。そして球界でもっとも才能があるライト選手、23歳のジェイソン・ヘイワードは2015年までチームの支配下にある。

「スカウトの夢だね」一人のナ・リーグチーム幹部は言った。「3人のファイブツール・プレーヤーがいる。それが一つの外野にいるんだ」

「もし誰かが3年前に、彼ら3人を同じ外野に立たせるなんて言ったら」あるスカウトは言った。「みんなバカにしていただろうね。だろ?」

それは正しい。それがとても注目されている理由だ。3人のうちの誰か一人でも、能力のピークに達しているだろうか。だからこれは、ただ優秀な選手が3人揃ったというだけではなく、これからもっと良くなるのだ。

アップトン兄弟は刺激し合うことで、お互いのベストを引き出すことができるかもしれない。

しかし彼らにそれができるのだろうか? 答えは簡単ではない。

「リスクがある」アップトン兄弟と時期を共にしたことがある一人の球団幹部は言った。

「むずかしい質問だね」同様の経験をもつ別の球団幹部は言った。「タンパでのB.Jのトラブルが良い例だ。彼は気分屋だ。それから少しは成長した? イエスだ。だけど彼はその間に、多くの人を傷つけた。そしてアリゾナでの彼の弟も同じで、彼がトレードされたのはそれが理由だ。なので今回はお互いに協力して、これまでにいたチームてしていたことと違うことができるだろうか?」

もちろんそれは分からない。アプトン兄弟と過ごしたことがある誰かが、彼らがどの程度親しくて、どれくらい似ているのかをそのうちに話すだろう。しかしその親しさは、同じ外野の両サイドでプレーすることになった今、良いことなのか、そうでないのか? それもまた分からない。

「リスクが発生する」コーチの経験がある一人のスカウトは言った。「成熟度の問題だと思う。ふたりとも、彼らの人生で何が起こってきたのかを理解しなければならない。彼らは違う場所で人生を過ごしてきた。そして今、彼らはお互いを助け合うチャンスだ・・・」

「もし彼らが前向きにお互いを支え合うことが出来れば、これは本当に良いことになる。だけどもし、一人が不調になったり、コーチや監督とトラブルを起こすことになれば、一人ではなく二人が不幸になるだろう」

これまでにブレーブスを代表してきた選手はおそらく、そういった問題とは無縁だった。チッパー・ジョーンズは、それをうまくコントロールした。ジョン・スモルツもそうした。ボビー・コックスは、他の誰かがそれをしてくれることを知っていた。

しかしアップトン兄弟がアトランタに来る今、顔ぶれは変わっている。クラブハウスも変わっているし、その文化も違う。そして木曜日に私たちが話を聞いた人間の一人以上が、ブレーブスのチーム自体に本質的な疑問を投げかけた。

「今のチームで、誰が本当のリーダなんだ?」一人のベテランスカウトが言った。「マーティン・ペドロを失ったことは、目に見えないことを考えれば大きなことだ」

「これは私の疑問だが」ナ・リーグのチーム球団幹部だ。「このトレードは、戦力的に彼らを良くしたのか? それは疑いようがない。だけどチーム的には? 私はそうは思わない。私はこのトレードが間違いだとは思わない。だだ私は、ここ18年間のアトランタ・ブレーブスを代表したのは誰だったんだって聞きたい。それはチッパー・ジョーンズだ。そして選手の誰がここ2年間で、その責任を当然のように引き受けていたのか? マーティン・ペドロだ。なのでこれはチームにとって大きな、本当に大きな損失だ」

ペドロは確かに、チームの中で一番人気の選手ではなかった。しかし彼はチームメイトから愛され、発言は周りに影響を与えた。そしてこのトレードで彼が出て行ったことは、ほとんどの人が考えるのよりも、大きな影響を与えるだろう。

そう言うには、大きな理由がある。話を聞いたナ・リーグのチーム幹部の中の一人が、このトレードにダメ出しをした。

「戦力だけを考えた机上のトレードだ」彼は言った。「だけど昨年のマーリンズを見てみなよ。"時には、机上では良くても実際にはそうでもないことがある”って言うだろう。それぞれの選手が、フィットしなければならないんだ。そしてバスの先頭には、スーパースターである必要はないということを知っている選手がいなくてはならない。チームが正しい道を進み続けるために、時にはボタンを押す選手がいなくてはならない。そして今のそのチームで、それは誰なんだ?」

「それはティム・ハドソンかも知れないけど、彼は投手だ。それはブライアン・マッキャンかも知れない。私は彼が良い選手だと思うし勝者だと思うけど、次にトレードされるのは自分じゃないかと、将来に不安を感じている。なのでこのトレードに関する全てのことは、見た目どおりではない」

しかし年齢や才能、短期的そして長期的な成長などのすべてのことを考えれば、このトレードはブレーブスに必要だったということに疑いはない。

「シアトルから受けた条件に近いものを、アリゾナは受け取ることができなかった」一人ア・リーグ、スカウトは言った。「ダイヤモンドバックスは今回のトレードで得たものよりも、シアトルとのトレードで受け取るはずだったもののほうがよりインパクトがあった」

「彼らは1年前にMVP候補になった25歳の選手を獲得した」他の球団幹部はブレーブスについて言った。「そして彼らは適正な選手を放出した。アトランタは何も傷つかないだろう」

どこか遠くの方からアリゾナに対して「本当に良い理由もなく、チームは25歳のMVP候補をトレードしてはならない」という声が聞こえてくる。そしてそれは、おそらく正解だ。

しかし私たち全員が知っているのは、再出発が必要なとても才能豊かな二人が、そのチャンスと共にターナー・フィールドに向かっていることだ。「今の彼らがすべきことは」あるスカウトは言った。「私たちが彼らに予想していることの80から90%をすること。それができれば、アトランタ・ブレーブスは二人のオールスター選手を持つことになる」

参考記事:Braves bring Upton brothers together By Jayson Stark | ESPN.com