カテゴリ: レッドソックス



レッドソックスのブルペンキャッチャー、マニ・マルティネスには、何も見えなかった。しかし彼には、すべてが聞こえていた。

マルティネスは、マスクを始めとしたすべての道具を身につけていた。それはアメリカンリーグ優勝決定シリーズが行われ、レッドソックスがタイガースを6対5で降した日曜日の試合の8回のことだった。

彼は満塁で、デビッド・オルティスの打順であることを知っていた。そして彼は、4点を追うレッドソックスが、猛攻をかけていることも分かっていた。

そして彼は「上を見ろ!」という言葉を耳にした。 

すばやく反応したマルティネスは、顔を向け、ブローブを差し出した。オルティスが放ったグランドスラムは、彼のグローブに収まった。

タイガースのライト選手トリィ・ハンターは、その打球を獲ろうとした。

「走りながら見ていて、ライトで一瞬見失って、そしてまた見えたから、最後に獲ろうと思って頑張ったんだ。そうしたら次の瞬間、壁を超えていたよ」ハンターは言った。

ハンターは、頭からレッドソックスのブルペンに突っ込んだ。マルティネスが、トレーナーに合図を送る間、ハンターはしばらく、その場に倒れていた。

「少し強く突っ込んだから」ハンターは言った。「腰がフェンスに直撃したんだ。ちょっとした打撲みたいな感じ。だけどポストシーズンだから、このことでグラウンド上で死んだって構わないんだ。こんなことでは、グラウンドを下がるわけにはいかないよ」

マルティネスはこれまでに、ブルペンでホームランボールをキャッチしたことがなかった。そして彼は、試合後すぐに、そのボールをオルティスに渡した。

そしてハンターは、メジャーリーグでも最高の外野手であるという評判を、さらに高めることになった。

「これまでに会った中で、彼は最高の外野手だよ」オルティスは言った。「トリィは、あそこまでボールを追いかけることができるんだ。彼はセンターもライトもプレーしてきたし、もし彼が今年、またゴールドグラブに選ばれても驚かないね」

「ビデオを見たら、彼が獲ることができなかった理由が分かった。ボールは、彼が右に動いていた時に、左に曲がるような感じになったんだ。それに彼は、ボールに触ったように見えた。これがトリィだよ。トリィは、恐れを知らない軍人みたいだ。彼のプレーは、見ていて楽しいね」

参考記事:Sox 'pen catcher snares Papi's homer as Torii topples By Jason Mastrodonato / MLB.com

01

アメリカンリーグ優勝決定シリーズ進出を決めて、歓喜に包まれていた火曜日夜のレッドソックスのクラブハウスで、デビッド・オルティスは、シャンパンボトルを手にしながら叫んでいた。

「うちのクローザーは、どこだ!!」

オルティスは部屋を走り回って、彼の獲物である上原浩治を捉え、シャンパンを浴びせかけた。

レイズがア・リーグ地区シリーズ制覇への望みをつなぐことになったホセ・ロバトンのサヨナラ本塁打を浴びた翌日の上原は、第4試合でレッドソックスが3-1で勝利してシリーズ制覇をした試合で、いつもと変わらない投球を見せた。

彼は1点リードの8回に、ランナーが1人いる場面で登板し、デビッド・デヘススを三振に獲った。

9回のダスティン・ペドロイアの犠牲フライのおかげで上原は、最後の3つのアウトを獲るにあたって、若干の余裕をもらった。

その右腕は、ウィル・マイヤーズから400フィートのフライアウトを奪い、続いてジェームス・ローニーを内野ゴロに打ち取り、そしてエバン・ロンゴリアを三振に獲って、シリーズを終わらせた。

「どの勝利も、本当に気持ちが良いけど」上原は言った。「まだ先があるから」

上原が、シーズン中にはほとんど見せなかった失敗から復活するであろうことを、ボストンのクラブハウスでは、少しも疑っていなかった。

それはおそらく上原本人が、自信を少しも失っていないという現実によるものだった。

「昨日のことは、完全に乗り越えました」上原は言った。「昨日のことは、過去のことですから。僕はまったく気にしていませんでした」

参考記事:With Uehara, never a doubt he'd pick himself up By Ian Browne / MLB.com

02

誰に聞いてもそれは、空振り以外に何もできない球だった。そしてレッドソックスのホアン・ニエベス投手コーチは今年、レッドソックスが超人的なクローザーの上原浩治をそこに起用してから、その光景を数えきれないほど見てきた。

「実に嫌な投球だった」レイズの先発投手アレックス・コッブは、上原が第2試合の9回ツーアウトでホセ・ロバトンにカウント0-1から投じた球について言った。「落ちながら逃げていくスプリッターで、フェンスの向こうまで飛ばせるような球じゃない」

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30

レッドソックスのメンバーとして初めてポストシーズンの試合に登板したコージ・ウエハラが投じた最初の3球は、ストライクだった。

マット・ジョイスを三振に獲った。フェンウェイ・パークにいた観客のほとんどが、立ち上がった。

レッドソックスがレイズを7対4で降した土曜日夜の試合で、ウエハラが次に投じた3球もストライクだった。

ホセ・ロバトンを三振に斬って獲った。フェンウェイ・パークの観衆が、轟音を発した。

「なぁ、どれくらい凄かったと思う?」キャッチャーのデビッド・ロスは言った。「びっくりした。しばらくその感じを、スタンドを見上げながら感じていたかった。凄く楽しかったよ。だって最初の三振で観客が騒がしくなって、2つ目の三振では、この球場では初めて聞いたくらいの声援だったから。揺れていたよ。コージは、どんなふうに感じたんだろうね」

「自分のリズムに集中していたから、聞こえなかった」ウエハラは語った。

ウエハラが次に投じた2球もストライクだった。なにしろレギュラーシーズンで彼が投げたのは、74%がストライクだったのだ。

ウエハラは、9球の9つのストライクで3つの三振を奪う本当のパーフェクトイニングまで、あと1球に迫った。わずか9球でイニングを終わらせれば、それは1980年以来の快挙だった。

「ウィル・マイヤーズはそれを避けるために、本当に難しかった0-2からのスプリッターをファウルにしたからね」ロスは言った。

9球目は、スプリッターだった。マイヤーズは、振った。彼はなんとかバットに当てて、その球をファウルにした。そしてマイヤーズは、その2球後を内野ゴロにしてアウトになった。

ウエハラは、11球で11個のストライクで終わらせ、ポストシーズン初セーブを挙げた。

「どの球でも攻めることができた。彼はそういう投球ができるから」ロスは続けた。「彼はファストボールを投げて、それを印象づける。その後、あのスプリットフィンガーを投げるから、打者は見失うんだ」

「彼の手からボールが離れる時、あのスプリットは一瞬、相手に真っ直ぐだって思わせる。そして消える。そういう騙しの要素が、あの球の凄いところ。彼は違うレベルにいるんだ」

レギュラーシーズンを含めてウエハラは75回1/3を投げて、103人の打者から三振を奪う間に与えた四球は9つだった。彼の防御率は、1.08である。

ジョン・ファレル監督からは、彼を褒め称える言葉が溢れでている。そして月曜日夜にトロピカーナ・フィールドでシリーズを決める可能性があるレッドソックスは、このポストシーズンの試合の終盤にリードを奪った状態になることに、本当に自信を感じてる。

「彼は驚異的だね」ファレルは言った。「彼が投げる90マイルのファストボールは、相手が90マイル後半の様な反応をする。スプリットはストライクにしたり、打者を打ち取ったりと、いろいろなことができる。そして彼は、今夜の様な時でも、しっかりと仕事をする」

「私たちは、その姿を繰り返し見てきた。彼が登場すれば、それが3点リードでも7点リードでも関係なくね。彼がマウンドに上がって、それをダグアウトから見るのは、本当に気持ちが良いことの1つなんだ」

ウエハラは、もし必要なら、2イニング投げる準備があった。土曜日の彼は、8回から準備ができていた。しかしクレイグ・ブレスロウとジュンイチ・タザワの2人が2回2/3を無失点に抑えて、ウエハラにつないだ。2人はそれぞれ、ダブルプレーに助けられながらイニングを終わらせた。

ブレスロウは、最近の22回1/3で被安打11、わずか1失点だ。

「自分の状態に、自信を持っている。8月から9月、そして10月のこのシーズンも、良い体調が続いているから。疲れなんて感じないし、まだ上り調子だよ」彼は言った。

参考記事:Uehara, bullpen slam door emphatically on Rays By Jason Mastrodonato / MLB.com

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ボストンの通りを歩く時の彼は、ほとんどだれにも気づかれることはなく、サインを求められることもない。フェンウェイ・パークのお土産売り場で、名前と背番号19番が入ったTシャツが売られるようになったのも、ここ数週間のことである。

ボストンにある彼がお気に入りの日本の焼き肉レストランでさえ、上原浩治専用のテーブルを用意していない。彼はレッドソックスのほぼ完璧な投手で、この驚くべきシーズンで最も活躍している選手である。
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03

コージ・ウエハラは、完璧なクローザーであり続けている。

いつかの時点で彼は、ランナーを出すだろう。しかしレッドソックスはそれまで、そのことを楽しむつもりだ。

その右腕は、レッドソックスがレイズに2対0で勝利した火曜日の試合で4アウトセーブをした。

8月17日以来ウエハラは、いままで対戦した31人の打者を連続でアウトにしている。それは同じ日本人投手のヒデオ・ノモが持つチーム記録と並ぶものだ。ノモは2001年に、それを記録した。

「彼のことは、すごく尊敬している」ウエハラはノモについて言った。「彼は憧れの人のようなものだから。彼は違うレベルの人」

ウエハラも実際には、これらの日々で違うレベルの1人となった。彼は6月30日以降で31回2/3を投げて、得点を与えていない。

クレイ・バックホルツは火曜日に、レッドソックスでの復帰登板を果たした。それは6月8日以来初めての投球だったが、彼が不在の間にそのクローザーが何をしていたのかについて、かなり良く知っている。

「僕は見てたから、本当に」バックホルツは言った。「彼は信じられないね。それを説明するのに使う言葉は、信じられない以外にはないよ。今いるクローザーの中で、彼がベスト。見るのが楽しいよ」

今シーズン65回登板しているウエハラの防御率は1.10である。そして彼は、65回2/3で91個の三振を奪った。

「彼はマウンド上でとても落ち着いている。今晩もまた、それを見せてくれた」ジョン・ファレル監督は言った。

参考記事:Uehara extends perfect streak with four-out saveBy Ian Browne / MLB.com

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27人と対戦し、27人をアウトにした。ここ9試合の登板で、レッドソックスのクローザー、コージ・ウエハラがしたことである。その右腕は、対戦した27人のそれぞれをアウトにして、ボストンの「隠れた」完全試合を達成した。

ウエハラと対戦して最後に出塁したのは、ヤンキースの一塁手ライル・オーバーベイで、それは彼が8月17日に二塁打を打った時だった。ウエハラは最後に対戦した27人をアウトに獲り、最後に対戦した35人のうち34人をアウトにし、最後の57人のうち53人、そして最後に対戦した99人の打者のうち89人をアウトにしている。信じられないことである。

金曜日の登板で相手を完璧に抑えたウエハラは、今シーズン64回1/3を投げてWHIPは0.59である。1シーズンで60イニング以上投げた投手の中で、これまでに一番WHIPが低かったのは、1990年のデニス・エッカースリーで、その時の彼は73.1イニングを投げて0.61だった。昨年のクレイグ・キンブレルのWHIP0.65は、歴代2位である。

その「隠れた」完全試合は、何回登板したかに関係なく、27人連続でアウトにしたことである。カージナルスの右腕シェルビー・ミラーは、ロッキーズと対戦した5月10日に、27人の打者を連続でアウトにして完封勝利を挙げる前に、その試合で最初に対戦した打者にシングルヒットを打たれていた。

参考記事:Koji Uehara completes 'hidden' perfect game on Friday night By Mike Axisa | Baseball Writer CBSSports.com

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