マリナーズの右腕、岩隈久志は、なぜ彼がツインズに対してこんなにも強いのかを理由を説明するどんな言葉も持っていなかった。しかし、それで良いのである。ツインズは、月曜日のセーフコ・フィールドで2対0で負けた試合で、岩隈に何もすることができなかった。 
 
7回を無失点に抑えた岩隈は、メジャーリーグでの3シーズンにおける5度のツインズ戦で、未だ得点を許していない。その2013年のオールスター投手は、最新のツインズ戦で被安打4、与四球0、10奪三振を記録した。2桁奪三振は、キャリア3度目のことだった。

岩隈は、同じ相手に対するキャリア最初の5回の先発で、失点をしていない1914年以降2人目のメジャーリーグ投手となった。カージナルスのラリー・ジャスターが、1966年のドジャースに対して同じことをしている。

岩隈のキャリアにおけるツインズ戦の成績は、33回2/3の投球で5勝0敗、防御率0.00、被安打20、与四球8、34奪三振である。

なぜ彼は、ツインズに対してそんなに強いのだろうか?

「自分の投球ができましたし、キャッチャーの(マイク・)ズニーノと良いゲームプランを立てることができました」岩隈は、通訳のアントニー・スズキを通して明かした。「同じ考えでできたことが、大きかったと思います」

ツインズのロン・ガーデンハイアー監督は、もっと簡単な考えを持っていた。

「良い投手と対戦するときは、回数は関係ないんだ。だって彼らは、素晴らしい成績と良い防御率を持っているんだから」ガーデンハイアーは言った。「彼らが、良い物を持っているってことだ」

岩隈の投球は、いつも通り良かった。33歳の優秀な日本人投手は、指のケガでシーズン最初の1か月を休んだ後の13先発で7勝4敗、防御率3.07である。

6月終盤に2試合のわずかなスランプに陥った岩隈は、ここ2回の登板での13イニングでわずか1失点である。ズニーノによれば、月曜日の先発は、岩隈のベストだった。

「信じられないくらい凄かった」ズニーノは語った。「彼はほとんどスプリング・トレーニングに参加していないんだ。だから好不調の波があってもしようがないけど、今の彼は絶好調だね。彼のスプリットはキレていたし、ファストボールもキレていたし、今日は少し球速も出ていた。だから僕は、彼の調子が良い状態が戻ってきたんじゃないかって思う」

初回以降の岩隈は、7回の節目を迎えるまで、わずかに1人の出塁しか許さなかった。その時のツインズは、ケンドリース・モラレスのシングルと1アウトからのオズワルド・アリシアの二塁打でランナー2,3塁としてた。しかし岩隈は、クリス・コラベロを内野ゴロ、サム・フルドを鋭いスプリッターで三振に獲り、ランナー2人を残塁にした。その時の彼は、グラブに拳を叩きつけて珍しく感情を表に出した。

「私は、それを見ていなかった」ロイド・マクレンドン監督は言った。「私自身が、ダグアウトで喜んでいたから」

マクレンドンは、その厳しい状況で、ブルペンに準備ができていても彼の先発投手を信頼していた。岩隈の投球数は、105球に達していた。

「勝とうが負けようが、彼の試合だって思っていたんだ」マクレンドンは言った。「彼はベテランだし、良い投球をしていた。 彼の投球数は、比較的融通が利くんだ。あの時の私は、彼の運命を決めるのは、彼自身だと思っていた」

ダニー・ファークワーが、8回を完璧に抑え、フェルナンド・ロドニーは、アメリカンリーグトップの26セーブ目を記録した。マリナーズ投手陣は、最近の31イニングでわずかに3失点しかしておらず、シーズン防御率は、リーグ2位の3.16に下がった。

マリナーズは、岩隈が勝利するために、長打攻勢に出た。ズニーノが2回に、そしてマイケル・ソーンダースは7回に本塁打を放った。2本とも右腕のケビン・コレイアから放ったものだった。

シーズン13号となったズニーノの一発は、フルカウントからのファストボールをとらえたもので、アメリカンリーグのキャッチャーで最多、そしてチーム最多のカイル・シーガーと同数になった。

その後ソーンダースが、シーズン13号を放った。その一打は、センター奥のフェンスのてっぺんでフルドのグローブをわずかに超えたものだった。それは、マクレンドンがブルペンに任せる前の岩隈に、保険となる得点を与えた。

壁に激突したフルドは、一瞬気を失ったようになり、球場にいた全員が彼がボールをつかんだのではないかと思った。そしてベースを回りながらソーンダースは、審判からの合図を待っていた。

「サムは、みんなが思っているのよりも多く、ああいうプレーをするんだ」ソーンダースは言った。「しっかり打てたことは分かっていたし、彼のプレーも見ていた。彼が倒れた時、どうなっているのか分からなかったんだ。だから、ベースを走るペースを速くした。多分これまでで、一番遅くに喜んだホームランだろうね。ダグアウトに戻った時だって、彼がボールを見せるのを待っていたんだから。彼が大丈夫で良かったし、彼がボールを捕らなかったことも良かったよ」

マリナーズは、セーフコ・フィールドでの最近19試合のツインズ戦の13戦で勝利している。6月1日以降のシアトルは、22勝12敗で、シーズン成績は49勝40敗となり、一方でツインズは、39勝49敗となった。

シーズン序盤にホームで苦しんだ後のシアトルは、セーフコ・フィールドでの最近10試合のうちの8試合に勝利しており、本拠地での成績は22勝22敗となった。

参考:MLB.com