ニューヨーク・ヤンキースのファンは、日曜日をキャッチャーのブライアン・マッキャンに対する不満を語るのに費やし、彼がダグアウトに戻る時には、ブーイングを与えた。

カーチス・グランダーソンとの4年契約が笑いものになっているニューヨーク・メッツは今、外野手のクリス・ヤングの放出を考えている。
 
テキサス・レンジャーズは、攻撃力を強化するためにチェ・シンスと130百万ドルの契約を結んだが、その彼らのリードオフは、わずか打率.248、3盗塁、そして6月は打率.136、長打率.197と期待に添えていない。

シーズンも半分近くが過ぎ、昨冬のフリーエージェントとの契約の寄せた大きな期待は、結局のところ、はっきりしないもう1つのことであるキャッチャーの走路妨害の判定のように、チームに打撃を与えているのが現実である。

巨大契約に応えている唯一のフリーエージェントは田中将大であり、 日本からヤンキースに輸入するための175百万ドルのコストに見合った価値を見せている。

ボルチモア・オリオールズと8百万ドルの契約をしたネルソン・クルーズは、23本塁打、60打点を挙げている一方で、オリオールズの先発投手ウバルド・ヒメネスは、4年50百万ドルの契約でありながら2勝8敗、防御率4.63である。

首位のジャイアンツと6百万ドルの契約であるマイケル・モースは13本塁打、44打点だが、ミネソタ・ツインズと4年49百万ドルの契約を結んだリッキー・ノラスコは4勝5敗、防御率5.52である。

もっとも、これらが愚かな契約であるわけではなく、それはフリーエージェント契約の1年目に対する自らのプレッシャーにより関連がある。

「私たちが望んでいるのは、短期契約だ」セントルイス・カージナルスのジョン・モゼリアクGMは言う。「それは、関係する全員にとって良いことだ。それは、球団が楽になるだけではない。周りを見てみれば分かるけど、選手にとってもまた、良いことなんだ」

「長期契約を結んだ選手は、彼ら自身が大きなプレッシャーを与えているように見えるんだ。特に1年目はね」

メッツと4年60百万ドルの契約を結んだグランダーソンは、ヤンキースでの最後の2シーズンで42本塁打、113打点を稼いだのと同じ選手だとは思えない。彼は、わずか打率.234、9本塁打、32打点だ。

「いろんなことが、変わったからだと思う」グランダーソンは、USA TODAY Sportsに語った。「すべてが違うから、適応期間が必要だ。だけど僕は、何も変わらない。本当にね」

「シーズンオフに、また聞いてよ。多分、違うことが話せるから」

シカゴ・ホワイトソックスの指名打者アダム・ダンは、3年前に4年60百万ドルの契約を結んだが、2011年シーズンは打率.159、キャリア最低の11本塁打、42打点だった。

アトランタ・ブレーブスのセンター選手B.J.アプトンは、2013年に5年75.5百万ドルの契約にサインした。球団史上最も大きな契約を結んだ彼の昨年は、打率.184、9本塁打、26打点だった。

ロサンゼルス・エンゼルスの外野手ジョシュ・ハミルトンもまた、昨年はキャリア最悪のシーズンを過ごした。5年125百万ドルの契約を結んだ彼は、打率.250、21本塁打、79打点だった。

その時の彼らは、それを実感していなかったが、1年目が終わった現在は、心理的な重荷があったと認める。

「その契約を自分が結んだのに、バカげているって思うだろ」フィラデルフィア・フィリーズの外野手マーロン・バードは言う。「突然、仕事が保証されて、給与も安心になる。つまりすべてが、うまく行かなくてはならない」

「だけど実際には、より難しくなるんだ。その契約が正しいと証明するために、ずべての時間を費やすことになる。1年目は、特にそうなんだ」

12本塁打、43打点と、打撃的にはおそらく最高のシーズンを送っている36歳のバードは、ロサンゼルス・ドジャースの一塁手であるエイドリアン・ゴンザレスから、最高のアドバイスをもらったと言う。サンディエゴ・パドレスからトレードされた時に、ボストン・レッドソックスと7年154百万ドルの契約を結んだゴンザレスは、2011年にキャリアハイの打率.338、27本塁打、117打点と期待に応えた。

「エイドリアンが、フリーエージェントの心得を話してくれたんだ。それは常にもらいすぎになるってこと」バードは、USA TODAY Sportsに語った。「20百万ドル、30百万ドル、40百万ドル、100百万ドル、200百万ドル、240百万ドルなんて、誰にだって正当な金額じゃないよ。4割や80本塁打なんて、打てないんだから」

「だから自分のプレーをすることなんだ。だって何をしたって、もらいすぎなんだから」

メッツのテリー・コリンズ監督は、それを何回も目撃してきた。球団が移籍の負担をどれだけ少なくしようとして、できるだけやりやすく感じるように努力しても、契約に応えようという気持ちはコントロールできない。

「彼らは来ると、大きなインパクトを残そうとする」コリンズは言う。「彼らは、すべて事情が分かっている。彼らは救世主だ。彼らは、結んだ契約の価値があると、みんなに見せようとする」

「だから彼らは、期待以上のことをしようとして、努力して、記者から期待が集まって、ファンがついてくるようになる」

「彼らはいつも、それには悩まされないと言うけど、それが本当なのか、私には分からない」

おそらくメッツの三塁手デビッド・ライトは、正しい考えを持っていた。2012年の彼は、フリーエージェントになるのをパスして、8年138百万ドルの契約を結んだ。他のどこかであれば、彼はもっと大きな契約を得たのは、おそらく確かである。そして彼は、より良いチームにも行けたかもしれない。

しかし、フリーエージェントの残酷物語のいくつかを見た後で、ホームに残ることは、アドバンテージである。

「馴染みのところを去って、違う環境の中に飛び込む」ライトは言う。「それは、大変だよ。すべてのことが、新しく始まるんだ。そしてその後は、ファンや球団に対して、自分と契約して正しかったって証明したくなる」

「そして最終的に、自分に大きすぎるプレッシャーをかける。野球っていうのは、やりやすさが全てなんだ。それが、この競技のすべてなんだ」

ふたたび私たちは、確かにそれを目撃している。

参考:The LoHud Yankees Blog