今シーズンの田中将大が、事前の期待をはるかに超えているのは確かである。そして思い出して欲しいのが、昨冬にポスティング・システムのルール変更があったことで、彼は日本人選手としては前代未聞の争奪戦に巻き込まれたことだ。

私は最近、田中の獲得に積極に動き、ヤンキースに敗れたあるチームの人間と遭遇した。
 
「彼が、こんなに良いと思っていた?」私は聞いた。

「もちろん」その人は、瞬き1つもせずに答えた。

しかし今シーズンのヤンキースにおいて、最も衝撃的な貢献をしている選手について話すのなら、それは田中ではなく、チェイス・ウィットリーにすべきかもしれない。

田中と契約する前にヤンキースは、20百万ドルを(楽天ゴールデンイーグルスに)支払った。昨冬のルール5ドラフトでは、他の29チームのすべてが、ウィットリーを50,000ドルで獲得することが可能だった。ヤンキースは、彼を40人枠に入れてプロテクトしていなかった。29チームのすべてが、パスした。

そしてマイナーリーグでほとんどリリーバーだったウィットリーは今、水曜日の夜にブルージェイズを相手に勝利を挙げて、メジャーリーグでの7先発で3勝0敗、防御率2.56である。彼の三振四球比6.5はとても健全で、FIPは2.71である。彼の成績は、目も眩むほどではないが、期待以上だ。

どのようにすれば、こんなことが起こるのだろうか? 私は、ヤンキースの先発ローテーションの中で、田中の後ろで投げていることではないかと考えている。

チームは、ローテーションの順番について、頻繁に話し合いをする。今シーズンの田中が、4番手でスタートしたのは、ヤンキースが2戦目の先発で同じ日本人右腕で似た球種を投げる黒田博樹の直後に、彼を置きたくなかったからだった。つまり打者は、前の晩に田中を打とうとしていることで、ウィットリーが登板する翌日には、タイミングが狂っている可能性があるのだろうか?

「それは、難しい問題だ」ブルージェイズのジョン・ギボンズ監督は、水曜日の試合後に語った。「(みんなはR.A.) ディッキーの後ろ(が有利になる)って言うけど、それがいつもそうだとは、言えない」

私は、試合前にさらに他のチームのスカウトと話した。そして彼は、田中のような圧倒的な投手と対戦した翌日に登板する投手には、恩恵があることに同意した。そのスカウトは、二日酔いの様な効果があると考えている。

ウィットリー自身も、何かあるのではないかと考えているが、それとは違う見方をしている。彼の7先発のうちの6先発が、田中と同じシリーズ(つまり対戦相手が同じ)だが、5月26日のカージナルスとのシリーズ開幕戦にも先発して、その時も好投した。

「いろいろな状況で彼が、何をしているかを見ることができるんだ」ウィットリーは、田中について語った。「僕のチェンジアップは、彼のスプリットに近いようなものだから。レベルは違うけど。でも、落ちる球。僕の球も落ちる。彼が2ストライクから、いろんな状況で、どうやって打者を攻めるのかを見るのは、面白いんだ」

田中とヤンキースは、時間的にはわずかであっても、ウィットリーが恩恵を受けていることを喜んでいるだろう。そして明らかなのは、ウィットリーのパフォーマンスは、高い信頼を受けるだけの価値があることだ。ギボンズは、ウィットリーのスライダーにとてもよい印象を受けたと言った。

つまり私たちはヤンキースが、球界で最も驚かされている2人の投手を持っていると言うことができる。1人は高額で、もう1人は格安である。

参考:NYPOST.com