シーズンが始まった時の彼は、言わば正体不明だった。そして田中将大を信頼するには、多少の疑いがあった。

そしてシーズンが進み、ほぼ半分に近づいているが、彼をよく知ることは、打者の助けになっていない。

それどころか田中は、さらに良くなっている。
 
火曜日夜のニューヨーク・ヤンキースの新しいエースは、ア・リーグ東地区首位のラインアップと2度目の対戦をした。彼が対戦したトロント・ブルージェイズは、田中を攻略する良い方法があると確信してやってきていた。田中は、頻繁にストライクゾーンの外で勝負をするので、もし打者が、それを見極めることができれば、彼をトラブルに陥れることができると確信していた。

ヤンキースが3対1で勝利したということは、それはうまく行かなかった。

試合の第1球目でジェイズは、得点を奪った。田中が失投したファストボールをホセ・レイエスがライト側スタンドへ放り込んだのだ。その後のジェイズは、普通よりも多くカウントを有利にすることで、田中に103球を投げさせたが、最終的には素晴らしいシーズンとメジャーリーグキャリアのスタートを切った彼の11勝目の餌食となった。

「彼の投球は、信じられないくらい良かった」キャッチャーのブライアン・マッキャンが、そう語るのは、今年初めてのことではなかった。

確かに田中は、彼が「本当に良い投球ができず」に「苦戦」したと述べた。

今では、私たちはそれに慣れたが、他にも私たちは、試合の終りに上を向いて、田中がどれほど素晴らしかったのかを説明する新しい方法を見つけようとすることにも、慣れてきた。

今日は、このように説明しよう。火曜日に6回1失点だったことで田中は、防御率が1.99に下がった。指名打者制になってから、防御率が2.00を下回ってシーズンを終えたアメリカンリーグの先発投手は、わずかに3人しかいない。2000年のペドロ・マルチネス(1.74)、1978年のロン・ギドリー(1.74)、そして1990年のロジャー・クレメンス(1.93)である。

確かにそれはフルシーズンであり、田中はまだ、そこまで行っていない。

よろしい。前半戦を防御率2.00以下で終えた最後のヤンキース投手は誰だろうか? それは1984年のフィル・ニークロ(1.84)である。

そして彼は、良くなり続けている。最後の5先発で田中は、5勝0敗、防御率1.26である。

「彼がマウンドに上った時は、いつも強烈な印象を受けるね」マッキャンは語った。

ある意味で、ブルージェイズは正しかった。田中は、ストライクゾーンの外で、たくさんのアウトを奪った。2ストライクに追い込んだ時の彼の球は、本当に良く、低めのスプリットフィンガード・ファストボールで打者に球を追いかけさせて、アウトに獲った。

論理的には、2度目の対戦は打者の方が有利になる。そして田中が唯一負けたのが、2度目の先発のシカゴ・カブス戦で、そして彼がジェイズに対してどうするのかという謎があった。火曜日までに彼が2度対戦した唯一のチームがカブスだった。

田中は、4月の1週目にトロントを相手にメジャーリーグ・デビューを飾った。彼は、対戦した最初の打者(メルキー・カブレラ)に本塁打と与え、2回には3本のシングルヒットとエラーで2点を失った。彼は7回を投げ、そして勝利していた。

火曜日の彼は、初球を本塁打にされ、それは田中によれば、キャリアで初めてのことだった。

「そのホームランで、少しリズムを崩したところがありました」彼は通訳を通して語った。「そこでなんとか持ちこたえるようにと、自分に言い聞かせました」

田中がリズムを崩したと聞いたマッキャンは、ほとんど笑っていた。

「彼は、誰よりも落ち着いていたよ」そのキャッチャーは言った。

彼は、誰よりも修正ができる。彼は、誰よりも打者の狙いを読んでいる。

彼は、誰よりも良い投球をしている。

リーグの打者たちは、シーズンが進むに連れて、田中のことを知っていく。

しかしそれは、彼らの助けにはならないようだ。

参考:ESPN