そう遠くない過去、彼らは除け者だった。

今年の夏、彼らはオールスターになるかもしれない。

昨年の夏、バイオジェネシスの世界が私たちの注目をさらい、パフォーマンス増強薬を密売するアンチエイジング・クリニックに関わりを持ったとして13人の選手が、シーズン終了までの出場停止処分を受けた。

そして、誰が戻ってきただろうか?

6週間後にミネアポリスのターゲット・フィールドで行われるオールスター戦の中心に、バイオジェネシス・スキャンダルの3人を含む、過去2年間でパフォーマンス増強薬を使ったとして処分を受けた少なくとも5人の選手が、立つ可能性がある。

メジャーリーグは、オンライン投票と球場での投票結果を随時発表しているが、それはファンが、球界のトップ選手になるために禁止薬物に手を出した選手について、どう感じているのかを、私たちに示すことになるかもしれない。

そして結局のところ、ファンや仲間、そして監督によってその試合に選ばれる、PED使用によって処分を受けた最初の野手になる候補者に不足はしていない。

MLBと選手組合は昨冬、PED使用で出場停止処分を受けた選手は、同じシーズンのオールスターには出場できないという取り決めをしたが、以前の違反については、何も決まりがない。

それはボルチモア・オリオールズの強打者で、メジャーリーグのトップを走る16本塁打とアメリカンリーグベストの45打点を記録するネルソン・クルーズがレッドカーペットの上を歩くチャンスを残すことになる。

どうすれば、ア・リーグ東地区トップのチームで打率.322、リーグ2位の66安打を記録しているトロント・ブルージェイズのメルキー・カブレラを、除くことができるのだろうか?

セントルイス・カージナルスの遊撃手ジョニー・ペラルタは、ナ・リーグの先発ショート争いでコロラド・ロッキーズのトロイ・トロウィツキーを超えることはできないだろう。しかしその男は、すべてのショート選手の中で2位の9本塁打を記録している。

フィラデルフィア・フィリーズの外野手マーロン・バードは、打率.289、6本塁打、29打点であり、2度目のオールスターになる有力な候補者である。

そして忘れては行けないのは、ブルワーズの外野手ライアン・ブラウンで、彼はバイオジェネシス事件で、ヤンキースの三塁手アレックス・ロドリゲスについで2番目に長い65試合の出場停止処分を受けた。ケガで欠場した期間がありながらブラウンは、復活したブルワーズで打率.308、7本塁打、20打点である。

彼らのそれぞれは、パフォーマンス増強薬使用について、違う状況で関わった。

全員が、処分を受けた。

彼らは、謝罪した。

そしてもうすぐ私たちは、彼らが本当に許されたのかを見ることになる。

ファン投票は、4月25日に始まった。

選手は、約1か月にわたって彼らの投票をする。

オールスター戦で監督を務めるボストンのジョン・ファレルとセントルイスのマイク・マシーニーは、最後の1人を、彼ら自身で選ぶ。

そこに、恨みや悔しい気持ち、引きずる憎しみはあるだろうか? 

それは、投票で試される。

「そうなった時に僕たちが、裁判官と呼ばれるとは思わない」アリゾナ・ダイヤモンドバックスのベテラン外野手エリック・チャベスは、USA TODAYスポーツに話した。「それは選手の成績と、グラウンドで彼らがどの様なプレーをしているのかで、僕たちの判断材料は、それしかないんだ」

「みんなが、それぞれの意見を持っているけど、一度罪を償えば、彼らは普通の選手だし、そのように見るべきだと思う」

カージナルス、そしてナショナルリーグの監督であるマイク・マシーニーは、彼の選択が慎重になることを理解している。しかしそれ好む、あるいは好まざるに関係なく、彼によれば、彼は以前のどの様なPED違反も関係なく、選ばなくてはならない。

「私がどう考えるかは、関係ないんだ」マシーニーは言う。「ルールを守らなくてはならない。もしリーグが彼らにペナルティを与えると決断すれば、それを超えて何かを言うことはできない」

「彼らは、処分を受けた。そしてこの先どうなるかに関係なく、彼らはそれを、完全に払しょくすることはできないだろう」

オールスターであることは、永遠の名声を保証しない。それは単にシーズンの前半戦で、素晴らしい活躍をしたという意味である。

「もし彼らがオールスターなら、彼らは、オールスターなんだ」殿堂入り選手のバリー・ラーキンは、USA TODAYスポーツに語った。「いまそれは、殿堂入りにも影響している。それが問題だ」

今までのところ、その答えはノーである。

PED使用で処分を受けた選手、そしてパフォーマンス増強薬を使用していると噂された選手であっても、殿堂入りした選手はいない。 

オールスター戦は、先発ラインアップをファンが決めることを考えれば、おそらくこれは、ファンのPEDに対するスタンスが軟化しているのかのバロメーターになるだろう。

投手のライアン・フランクリンは2009年、そしてバートロ・コロンは昨年、PED使用で処分を受けた後に、オールスターに出場した2人だけの選手となった。しかし彼らは投手なので、ファン投票は関係なかった。

今年は、お金を支払っているファンが、彼らの意見を出す。

「彼らは、罪を償ったし、それらの罪は償われた」ダイヤモンドバックスの外野手コディ・ロスは言う。「だから問題ないよ。そうだろ? 僕はそう思うよ」

「ジョニー・ペラルタみたいな選手がホームランを打ったのを見ても僕は、"彼はインチキ野郎だ" なんて思わない。多分以前は、彼はそうだったんだろうけど、今は違う。今の彼は、僕たちみんなと同じテストを受けている」

懐疑的な目が、常にあるのも事実である。ペラルタは、それを理解している。彼は、昨年のバイオジェネシス調査で出てきた他の全員と同じく、薬物検査では一度も引っかからなかった。しかし彼の名前は、MLBが手に入れた記録と書類の中に載っていた。

つまり私たちは、いま全員がキレイであると、本当に信じることができるだろうか?

「そう考えるべきなんだ。違うか?」チャベスは言う。「つまり何かが起こらない限り、彼らはそうだと考えるべきなんだ。あんな大変なことがあったんだから、キレイなままだと思うよ」

「彼らがその後、どんなパフォーマンスを見せるのかについての疑問や疑いがあったけど、いまの彼らを見てみなよ」

クルーズは、以前にテキサスで見せていたのと同じパワーを見せている。カブレラは、テストステロンテストが陽性になって出場停止となった2012年にサンフランシスコにいた時、オールスターでMVPを獲得して ナショナルリーグトップの打率.346を記録した時と、同じ打者である。

そしてペラルタは、カージナルスが4年53百万ドルの契約を彼と結んだ時と同じ守備能力を持つ選手だ。

「私たちは、十分注意したんだ」カージナルスのジョン・モゼリアクGMは言った。「私たちは、彼に質問した。彼は、それに答えた。彼は、間違いを犯したと理解した。彼は、どんな言い訳もしなかった」

ペラルタは昨年、処分を受けた。そして他のバイオジェネシスに関わった人たちもだ。

おそらくみんなは、彼らがしたことを忘れないだろうが、彼らの誰かに投票することは、許したところを見せることになる。

これは、オールスター戦だ。

その判断は、みんながするのだ。

参考:USA TODAY Sports