5日、あるいは6日毎にホセ・フェルナンデスがマウンドに向かう時、それは単に野球の試合ではなく、イベントだった。しかもただのイベントではなく、一大イベントだった。

そしてそれは、マイアミだけでなく、球界全体のことだった。
 
「彼がダメになった時、球界のたくさんの人たちから、テキスト・メッセージをもらったよ」マーリンズのダン・ジェニングスGMは語った。「そのほとんどが、"彼の投球を見るのが楽しみ"、"エネルギッシュな彼が大好き"って内容だった。それが、ホセなんだ。彼は、圧倒的な投手であるということだけで、みんなを惹きつけていたのではない。彼がマウンド上にもたらした楽しさとエネルギーを、みんなは愛していたんだ」

ジェニングスが、こんなことを言わざるを得なくなったことは、残念なことであるが、フェルナンデスが、トミー・ジョン手術を受けることになったというニュースが伝わった時、私はすでに、以下の質問について球界の19人のスカウトと球団幹部に投票してもらう作業を進めていた。

球界で10人の「必見」の先発投手は誰?

私が探していたのは、素晴らしい成績を持つ投手ではなかった。私は、手を止めて、見入ってしまう投手を探していたのだ。

私が探していたのは、マウンド上でのその透き通るような魅力によって、みんなの動きを止めて、テレビを試合に合わせてしまうような投手だった。

とりわけ探していたのは、野球のボールを手にした時のホセ・フェルナンデスからいつもにじみ出ているような、言うなれば「楽しさ」である。彼のしていることは、見ているだけで楽しかった。

フェルナンデスのシーズンが、本当に突然の終りを告げたことで、この投票から彼の名前が消えてもおかしくなかった。しかし、来年に照準を合わせている状態でも、彼はこのリストに入った。そして球界で見るのが最も楽しい投手がいなくても、このリストに上がっている別の投手たちは、毎日のようにマウンドに上がり、最高の楽しさをたくさん見せてくれるとてもよい時代であることを、思い出させてくれる。

では、球界で必見のトップ10先発投手である。

1.ホセ・フェルナンデス(17票)

この投票のために私が最初に話を聞いたスカウトは、約1.6秒でフェルナンデスの名前を出した。そして「もし、これと同じ意見でなかったのなら、驚きだ」と語った。

なるほど、ほぼ当たっている。フェルナンデスは、19票のうちの17票を獲得した。私は、彼らがあまり悩まないように、それぞれの投票者に5人の名前しか要求しなかった。そしてもし私が、10人の名前を要求していたら、彼は19票の満票を受けていたであろうことに、疑いの余地はない。

他のチームに関わっている人たちが、彼について語ったことを聞いて欲しい。「彼は、私が最も注目している投手だ。トレードが不可能だったり、うちのチームの投手でなくてもね」「私は、彼を見るためにお金を払う」「私は、彼が打者に立ち向かう姿と、彼の笑顔が気に入っている」

さらに「彼は、球界でもベストなものを持っているし、それはまだ終わっていない。彼は、メジャーリーグの他の誰であっても、影を薄くしてしまう」

これらの意見のすべてが、彼と対戦してきたチームから出てきたことは、忘れてはならない。来年フェルナンデスが戻ってくる時、彼の楽しさと衝撃的な投球が、一緒に戻ってくることに期待しよう。

2.クレイトン・カーショー(11票)

「彼は、このリストに載るべきだ」カーショーの名前を出したあるナ・リーグのスカウトは、微笑んだ。「彼は球界で、最も高額な投手だしね」

いいや、それは関係ない。この様なリストの最も良いところは、契約の大きさが、全く関係ないことである。

今年のホセ・フェルナンデスは635,000ドルで、新しい契約のカーショーは、4イニングで同程度を手にする。しかしそのドジャースのエースが、それでも私たちの必見リストにいるのは、彼が総合的に最高だからである。

意見:「彼は、マスターだ」「私は、彼の変幻自在さが気に入っている。私は彼の投球、スピードを変えること、どんな状況でどんな球を投げることも恐れないところを気に入っている」「パワーの使い方が上手い。彼は、上手い投手だけど、同時にパワーも上手に使うことができる。平均以上のファストボールをスポットに投げることができる。カウントが悪くても投げることができる。そして彼は、カウントが悪い時でも、いろいろな種類の遅い球を投げることができる。つまり彼は、パワーピッチャーを身にまとった、賢い投手なんだ」

3.フェリックス・ヘルナンデス(9票)

私は、この投票を現役の投手からは取らなかった。しかし私がこれをしているのを見つけたエンゼルスのC.J.ウィルソンは、「僕が見ていて一番楽しいのは、フェリックスだ」と語った。それが、私の注意を引いた。それはなぜ?

「彼は、本当にたくさんの球種を投げるから」ウィルソンは語った。「彼は、ボールを沈める。彼はボールをカットする。彼は鋭い変化球と緩い変化球を投げる。彼は90マイルくらいのチェンジアップを投げるし、それで相手を空振りさせる。それに彼の球は、他の誰かが持っているのとは違うものなんだ。つまり、フェリックス・ヘルナンデスほどのチェンジアップは、誰も持っていない。彼は、彼自身のスタイルなんだ」

そしてキング・フェリックスに実際に票を投じた全員の意見をまとめると、1人の幹部の例外を除いて、「彼は、キング・フェリックスだ。その名前が、すべてを表している」となる。

4位タイ.田中将大(8票)

もし私が、この調査に自分自身で投票したとすると、フェルナンデスの後ろの2位に田中を入れただろう。なぜなら、私にとって、現在の田中が見せているものは、考えられる限り良いものだからだ。

5つの球種を駆使して空振りを奪うことができる投手が、他にいるだろうか? 驚愕の落ち方をするスプリットフィンガーで、相手はそれが来ると分かっていながら、51%の空振りを奪うことができるだろうか?

「彼は"必見"の典型だ」あるスカウトは言った。「彼が、評判通りにやっているのは、凄いことだ。彼は、松坂(大輔)とダルビッシュ(有)以上ではなくても、同じくらい国の期待を背負っている。彼らは、完璧を期待しているし、彼は、それに応えようとしている。そして彼は、それをメジャーリーグでやっている。私は、それが彼のベストを引き出しているのだと思う。それが、彼について私たちが思っていた以上の結果につながっている」

4位タイ.マックス・シャーザー

良いだろうか? シャーザーは、チームメイトでサイ・ヤング賞投手のジャスティン・バーランダーよりも、この調査では、多くの票を集めた。確かに、少ないサンプル数であることは認める。しかし、それはまた、95マイルのファストボール、85マイルのチェンジアップ、そして78マイルのカーブボールを操って、安定して打者を手玉に取る投手の場合は、当然のことでもある。

「彼は、バーランダーの前を行っている」あるスカウトは、シャーザーについて言った。「彼はおそらく、あと1年半は、前を行くだろうね」

他の評価だ:「彼が打者を支配する方法を、私は気に入っている。そして彼のバックグラウンドを知っていれば、彼がどんなに遠いところからこれだけ良くなったのか、私はそれを高く評価している」「彼はおそらく、他の誰よりもストライクゾーンに投げている」「ハイオク仕様の投球で、タンクが空になるまで投げる。私には、それが特別なファストボールなのか、見えにくいのか、強烈なのか分からないが、それでも彼には、注目する理由がたくさんある」

6位.ジャスティン・バーランダー(7票)

そうバーランダーも、そう遠くにいるわけではない。彼は以前ほどの圧倒さはないし、今の彼は、9回の必要な時に、99マイルを投げることもできない。それでも彼の表情が変わった時は、他の誰の投球を見るのよりも楽しい。

「彼に入れるよ。彼の闘争心は、まだあふれでているから」あるスカウトの意見である。「もし仮に、彼のファストボールから何かが失われていても、それでも彼はまだ、彼自身で十分に争うことができる。彼は、この先も大丈夫だろう」

7位.ダルビッシュ有(6票)

投票した人の1人が、ダルビッシュについて「登板するたびに、ほとんど完全試合のような投球をする」そして「9回2アウトでそれを逃しても、5日後には、またそれをしているような感じだ」と説明した時、私は満足の笑みをせざる得なかった。

しかしそれ以外でもダルビッシュは、球界の究極の空振り量産マシーンであることだけでも、このリストに入らなければならない。彼は、史上最短のイニングで500奪三振に届いた。そして2012年以来の2桁奪三振試合21は、2位のシャーザーよりも7つも多い。

「本気を出した時のダルビッシュは、衝撃的だ」ある球団幹部は言った。「そして彼の球の動きは、本当に特別だ。変化球をいろいろなスピードと動きで、本当にたくさんの違うことができる」

8位タイ.クリフ・リー(5票)

この調査の中で、リーについての話を聞いた私は、1つのことを考えた。もしフィリーズが、7月に彼のトレードを本気で考えるのなら、引き合いがたくさんあるだろうということだ。リーの何が特別なのかというと、彼が球界で最も効率的なストライク・スローワーなことである。2010年以降の彼のK/BBは7.11であり、他の現役先発投手の誰も、K/BBは4.50にも届かない。つまりその視点から見れば、彼は球界で最も注目の投手である。

「クリフ・リーの投球を見ていると、ペイトン・マニングがディフェンスを翻弄しているのを見ているみたいだ」ア・リーグの球団幹部である。「彼がそれを1つの球種(例えばファストボール)でしているのは、信じられないことだ」

8位タイ.アダム・ウェインライト(5票)

ウェインライトは、個人的には、もっと上位に入れたいもう1人だ。しかし彼が投票者からたくさんの票を得ることがなくても、彼の素晴らしい存在感とインテリジェンス、そして芸術性を感じさせる投球への私の思いを共有してくれるスカウト陣と幹部たちは、投票した。

彼の評価の主なものは「球界で最も優秀な投球能力(と実力)を持っている。究極の職人だ」「究極のプロフェッショナルで準備王だ。彼は、他の選手の見本だ」である。

8位タイ.マーク・バーリー

彼のことを、どう思うだろうか? この男のファストボールは、フェリックス・ヘルナンデスのチェンジアップよりも7マイルも遅い。しかしそれが、いったい何だと言うのだ? バーリーはおそらく、球界で2番めに遅いファストボールの平均球速(1位はナックルボーラーのR.A.ディッキー)だが、7勝1敗、防御率2.04である。あなたの頭の中には、彼がどうやってそれをしているのだろうかという疑問が離れないかもしれない。

「見るのを本当に好きなのは、バーリーだ」元パワーピッチーのスカウトは語った。「彼は"これが、僕のベストだ"って感じで83から86マイルを投げて、それの多くがストライクで、それが毎年同じなんだ。私たちスカウトは、97マイルを投げる投手が好きだけど、彼とやはり86マイルでアウトを獲るブランソン・アローヨ、彼らのことは買っている」

2票以上を得た他の投手:ジョン・レスター(4)、ヨーダノ・ベンチュラ(4)、ジェームス・シールズ(3)、ザック・グレインキー(3)、クリス・セール(2)、アローヨ(2)、ジョニー・クエト(2)、スティーブン・ストラスバーグ(2)、ティム・ハドソン(2)

1票を得た投手:アレックス・コッブ、ゲリット・コール、ジャレド・コザート、ジオ・ゴンザレス、ソニー・グレイ、マット・ハービー、岩隈久志、ティム・リンスカム、ギャレット・リチャーズ、ヒュンジン・リュウ、ジェイク・ピービー、ジャレッド・ウィーバー

票が入らなかった意外な投手:マジソン・バムガーナー、マット・ケーン、コール・ハメルズ、ジュリオ・テヘラン、ジャスティン・マスターソン、デビッド・プライス、ジェフ・サマージャ、ジョーダン・ジマーマン

参考:ESPN