これはマイケル・ピネダが創りあげた、彼自身と球界にとっての難しい状況である。

現在、地球上で最も間抜けな選手の称号を与えられた彼は、フェンウェイパークで水曜日夜に行われたヤンキース対レッドソックス戦で退場処分になった後、彼の首に広く塗られた松ヤニは、低い気温の下でボールのグリップを良くして、投げそこねによってボストンの打者を傷つけないためだけだったと強調した。それが彼の言い分だが、最も有名な「異物」専門家であるゲイロード・ペリーによれば、彼は嘘をついている。
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「松ヤニはもちろん、パフォーマンス増強物質だ」ペリーは、カロライナの自宅から、電話インタビューに応えた。それは私が、松ヤニは気温10度の時に滑るボールのグリップを良くする以外の価値はないのかと聞いた時だった。「これほど多くの投手が、なぜそれを使っていると思う? それはシンカーは、より沈むようになるし、変化球はより変化するからに決まっているじゃないか」

そのことについて、ドワイト・グッデンは木曜日、完全に同意するツイートをした。「ボールのグリップを良くして打者を守るために松ヤニを使うなんて言っている! 松ヤニっていうのは、変化を鋭くしたり、良く沈むように使うものだ。寒い時にグリップを良くしたいのなら、手に息を吹きかければ、それで十分だ!」

ペリーによれば、寒いコンディションでボールのグリップを良くしたいのなら、伝統的なロジンバッグで十分である。「私の場合だ。みんな知らないみたいだけど、ロジンは、乾燥した松ヤニ以外の何物でもないんだ。マウンドを外した時に手に少しつばをつけて、そして手をこすり合わせてからロジンバッグを使えばぜんぜん違うよ。私はそうしていたし、それでボールのグリップに問題があったことは一度もなかった」

(記録では、水曜日夜のピネダは、一度もロジンバッグを使わなかった)

現役時代に314勝を挙げる途中でペリーは、つば、薬の錠剤、ワセリン、ゼリーなど、球界において禁止されている物質のありとあらゆるものの使用を疑われ、彼はそれを否定しなかった。彼は22年のキャリアで、おそらく20〜30回は、マウンド上で疑われて検査を受けた。ペリーが実際に汚い行為を繰り返す中で、相手打者の疑いのほとんどを一蹴していたのは注目点である。

「私は、松ヤニを使ったことはない」いまの彼は言う。「私にはその必要がなかったし、もししたにしても、あんなふうにあからさまにはしなかった。投手がなぜ、体に松ヤニを塗るのかが理解できない。だってもしそれを使いたいのなら、打者のオンデッキサークルに松ヤニシートが置いてあるんだから、そのシートをつかんでダグアウトに戻ったら素早く手に塗って、それから次のイニングを投げて、3人をアウトにしたらダグアウトに飛んで戻るんだ!」

そしてもし、松ヤニがパフォーマンス増強物質だとしたら、なぜ球界は、他の見方をしているのだろう。ボストンのジョン・ファレルをはじめとする監督たちは、13日前のヤンキースタジアムで行われたヤンキース対レッドソックス戦でテレビカメラがピネダの手を写しだして最初の違反がわかった時、「誰でもやっている」とう態度をとった。それで投手が処分を受けることは、稀なことなのだろうか?

「ゲイロードが、松ヤニをパフォーマンス増強物質だって言うのは正しい」と語るのは、殿堂入り監督のトニー・ラルーサである。カージナルス、アスレチックス、ホワイトソックスで監督を務めた彼は、カリフォルニアの自宅から電話で取材に応えた。「同時にそれは、気温が低い時に投手のボールのグリップを良くしてくれるし、投手が投球をコントロールできることを打者は歓迎している。だけど本当に小さなグレーゾーンがある。寒い時に滑りやすいボールをコントロールするために、少しだけを指につけるのは、誰も問題にしない。だけど手とかグローブとか、体の何処かにたっぷりとつけるのは、グレーゾーンのラインを超えているし、それがインチキを目的としているのは明らかだ」

ラルーサは、自身の経験として2006年のカージナルス対タイガースのワールドシリーズを引き合いに出した。その第2試合の気温は低かったが湿っぽかった。そしてデトロイトの先発ケニー・ロジャースの親指に大きくて薄暗いシミがあるのを、テレビカメラが写しだした。それをすぐに伝えられたラルーサは、審判にロジャースをチェックさせて、そしておそらく退場にするのか、あるいはファレルがヤンキースタジアムでのピネダの試合でしたように他の方法にするのかの決断を迫られた。

「天候が、判断要素だった。そして私は、(相手の投手が退場するような)ワールドシリーズの権威に影響するようなことは望まなかったんだけど、同時にその物質の目的は明らかだった。だから私は(球審の)ランディ(・マッシュ)にところに行って、彼に"(ロジャースの手に)何かがついている。ダグアウトに戻った時にそれを拭きとって、そして戻ってきたときに、まだそれがあれば、私は検査を要求すると彼に話して欲しい"と伝えたんだ」

試合後にロジャースは、ニューヨークで初めてピネダの手に茶色いものがついていた時のように、それは単なる泥だと説明した。ラルーサとカージナルスは、だまされなかった。一方で水曜日のピネダが失敗した後のフェンウェイの周りでは、時折、投球に手を加えると広く噂されているレッドソックスの左腕ジョン・レスターは、その前の晩、低い気温の下でボールのグリップを良くするために、それが松ヤニではなくても、何も使ってないのかをヤンキースに徹底的に調べられるのを恐れいたと噂されている。そして"何もない状態"で投げたレスターは、ヤンキースに4回1/3で被安打11、8失点の乱調だった。

昔のある有名なコメディアンは、「1人ではやるな」とよく言っていた。投手はそれに同意するだろうし、少なくとも気温が低い時には、彼らがそれをあからさまにしない限り、監督は、それを暴こうとしないだろう。

「私はロジャーに対して、正しいことをしたと思ったよ。そして彼は、私たちを8回をシャットアウトにした(そしてシリーズが、残り1試合になった)けど。だけどもし私が、あのワールドシリーズを落としていたら、あと5年間もセントルイスにいることはできなかっただろうけどね」

参考:NEW YORK DAILY NEWS