500本塁打は、最も荒んだ心を持つファンでさえ評価する素晴らしい成果である。しかしその数字の魔力が、近年いくらか失われていることも事実である。

1999年より前、500本塁打を記録した選手は、わずかに15人だった。そしてそれ以降、10人の選手がその記録を達成し、火曜日の夜にはアルバート・プホルスが、ワシントンのナショナルズ・パークで2本を放ち11人目となった。
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しかしその偉業は、もしまだそう呼びたいのであっても、栄光は小さくなった。

この記録軽視の風潮は、1990年代後半と2000年代に起こった罪深き行為に対する自然な反応として起こったものである。球界は、プロスポーツ界でもっとも厳しい薬物検査プログラムを導入したが、それでも多くのファンはもはや、目にしているものを信用していない。

最近500本塁打クラブに入ったメンバーは、バリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲス、マーク・マグワイアらで、彼らはパフォーマンス増強薬と関係していた。そしてその汚点は、競技全体に影響を及ぼした。

プホルスは、私たちの認識では、クリーンである。実際にプホルスは、彼がPEDを使ったと中傷したジャック・クラークを訴え、そしてクラークが謝罪したことで訴えを取り下げた。

その彼のスタンスは、最近始まったものではない。プホルスは、一貫してPED使用を否定していた。さらに彼の妻ディーディーは2009年、「もし彼がそれ(ステロイド)に関わったことがあるのなら、まず私が彼を殺すから」とスポーツ・イラストレイテッドに語った。

ファンは、彼らが信じたいことを信じるものであり、そして永遠に続く冷笑は、ステロイド時代の負の遺産の1つである。しかしプホルスは、彼のパワーを証明しただけではない。彼の34歳と96日での500本塁打は、3番目に若い記録である。

これは、ホームランを打つことができる偉大な打者の話なのだ。キャリア打率.321の彼が、本塁打王に輝いたのは、これまでにわずか2回である。

そして500本塁打クラブの中で現在の彼のキャリア打率を上回っているのは、テッド・ウィリアムス(.344)、ベーブ・ルース(.342)、ジミー・フォックス(.325)の3人だけなのだ。

プホルスは、499号と500号を同じ試合で達成した初めての選手となり、新しいシーズンの最初の月に、素晴らしい復活を印象づけることになった。

昨シーズンの彼は、踵の筋膜炎の痛みに悩まされてわずか99試合の出場に留まり、すべての打撃成績でキャリア最低を記録した。しかし昔のプホルスに戻った今の彼は、メジャーリーグトップの8本塁打を打っている。そして出塁率がキャリア平均よりもかなり悪いにも関わらず、彼のOPS.956は、キャリア平均よりもわずかに低いだけである。

彼は復活し、表舞台に戻ってきた。何はともあれ500という数字は、私たちの心に深く刻まれる。アルバート・プホルスは、まだ衰えていない。彼は、私たちがかつて目にしたことがない最高の打者の1人として存在している。 

参考:FOX Sports