マイケル・ピネダの値段は、当時のヤンキースの一番のプロスペクト、田中将大の獲得コストは、175百万ドルだった。

そしてヤンキースは、両者を大切に取り扱ってきた。田中将大を3番手先発投手だと言及していたブライアン・キャッシュマンの球団は、シーズン初旬に多めの休みを与えるために、彼を4番手に入れた。ピネダには、スプリング・トレーニングの最終日まで、5番手の座さえ与えなかった。
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しかし今、ヤンキースがどれほど彼らを大切に扱おうとしても、梱包を剥がさざるを得なくなった。確かにヤンキースは、彼らを酷使することはないだろう。しかし2人はもはや、特別扱いされる立場ではなくなったのである。

ヤンキースは火曜日、イバン・ノバの最初のMRI検査の結果を受け取り、今後の見通しを発表した。それは、彼の内側側副靭帯は、手術が勧められているというものだった。ノバはまだ、そのアドバイスを受け入れるのかの決断を公にしていない。しかしノバがその手術を見合わせることは、アストロズがワールドシリーズで勝利するぐらい衝撃的なことである。

トミー・ジョン手術が必要になるケースは、メジャーリーグの中で蔓延している。今年のスプリング・トレーニングが始まって以降、ノバはその手術が必要となった15人目の選手である。その手術が連続しているのにはたくさんの理由があるが、そのうちの1つは、手術をしないでリハビリを続けるのよりも、その手術の成功率がとても高くなっていることである。いま、その手術のリハビリにかかる期間は、メジャーリーグの投手でいることのコストの一部であるとシンプルに考えられている。

従ってヤンキースは、ノバに来年の契約をオファーする(おそらくそれは、良い判断である)だろうし、彼が次にヤンキースのローテーションに加わるのは、早くても来年の今頃になるだろう。

ノバは、腕に故障歴があったが、彼がまだ27歳であることとローテーションの他の投手に関係する弱点があることから、2014年の彼に30先発を期待するのは、ヤンキースのベストな選択だったのかもしれない。そしてまだ、彼の昨年後半の好調が、200イニングを大きくは超えなくても、200イニング程度は夢ではないという期待を抱かせた。いま彼の2014年は、20回2/3、防御率8.27で終り、その望みは潰えてしまった。

日曜日のレイズ戦でノバの変わりに入り好投したビダル・ヌノは、その役目を埋める第1候補となった。しかしここに、球団による説明が必要のない事実がある。彼は、5番手先発投手である。本当にノバの代わりとなる選手は、すでにローテーションの中で働いている。少し前までは、それは具体的に言えば、CC・サバシアと黒田博樹を意味した。ローテーションのトップで投げることに慣れている彼らは、ニューヨークにおいて、そのような責任を負っていた。

今でも彼ら2人は、その仕事から逃げないだろう。彼らの責任感は、クラブハウスで2人が尊敬されている大きな理由だ。しかし今シーズン序盤は、彼らが2年前、あるいは昨年までと同じだけの重荷を背負うことができないことを示している。彼らの消耗は、彼らを信頼できるイニングイーターではなくしてしまった。そのタイプの投手は、相手を圧倒するのではなく、試合を壊さないことを要求される。

現在、エースの実力を持つのは、田中とピネダである。彼らはフェンウェイパークでの最初の2試合に登板する。ヤンキースは、4月にボストンと2回行われるシリーズで、ローテーションに田中が入らないようにセッティングした。しかし雨天中止によって、それは変わった。そしてノバのケガは、ヤンキースの「4番手、5番手先発投手」の扱いを変更させることになった。ピネダは、規定投球回数に達していれば、ア・リーグ2位の防御率1.00である。田中は、防御率2.05、28奪三振(3先発の中では3位)で火曜日の夜にフェンウェイデビューを飾った。

そう、ヤンキースは、この2人を大局的に考えたいと思っている。彼らは、未来のローテーションの軸である。しかし今年のことも、軽視することはできない。そしてジョー・ジラルディとラリー・ロスチャイルド投手コーチ、そして球団全体は、多くを要求する中でも抑制的であるという、微妙なラインを歩かなければならなくなる。

結局のところピネダはまだ、肩の手術から復帰したばかりであり、一方の田中は、アメリカのほとんどの投手コーチが気を失うほどの投球数を、日本で24歳までに積み重ねてきて、ヤンキースを含む彼の獲得に動いたすべての球団は、彼の長期的な健康状態に疑念を抱いている。さらに彼は、5日ごとの投球でシーズンを過ごすのが初めてである。

ヤンキースは確かに、田中とピネダでイニング数を稼ぐことができるのかに疑念を持っている。今はまだ、シーズンが本格的になる前の初期の段階だからである。今の彼らは、ノバ以上のイニングを投げる準備をしなくてはならない。彼らは2人は、これを劇的にリードしなくてはならない。田中とピネダを大切に扱う日々は、終わったのだ。

2014年のヤンキースは、彼らの右腕にかかっている。

参考:NYPOST.com