2012年8月19日の田中将大は、もう2度と繰り返さないと決心するほどの悔しい気持ちを経験したに違いない。それは田中が、レギュラーシーズンの試合で最後に負けた日だった。
 
そしてその後の20か月間の田中は、2012年の楽天ゴールデンイーグルスで4勝0敗、そして2013年の楽天では24勝0敗、今年のヤンキースではさらに2勝を記録した。

彼は火曜日、フェンウェイパークで行われるレッドソックス戦でジョン・レスターを相手に、さらなる連勝記録に挑むことになる。その素晴らしい成功は現在も続いているが、彼の心の中には、かなり前のその敗北の記憶が、刺さったかのように残っている。

「あの試合では、かなり打たれたのを覚えています」先週末に田中は、通訳を通して語った。「もう2度と、あんなふうには打たれたくないですから、できるだけ良い投球をして、できるだけ多くのアウトを獲るだけです。時には、打たれることもあるでしょうけど」

1か月も勝利から遠ざかっていた田中は、蒸し暑い西武ドームで西武ライオンズを相手に登板したが、被安打10で6失点を喫した。そのうちの6本を6回に打たれた彼は、その回で降板した。

そして8月26日、次の先発だった日本ハムファイターズ戦前にブルペンでウォーミングアップをしていた田中に、イーグルスの星野仙一監督が近づいていった。現役時代のその監督は、中日ドラゴンズの素晴らしい投手だった。

日本の報道によれば、その時の星野は田中に「もしお前みたいな球を持っていれば、俺は30勝していた。今のお前の投球は、優しすぎる。そんなことを続けていれば、お前と対戦しても、誰も怖がらない」と伝えた。

その意味深いメッセージは彼に伝わり、マウンドに上った田中は10回を無失点に抑え、チームの1対0の勝利につながった。その日の彼は、112球を投げ切った。そしてそれは、その後610日間続く、レギュラーシーズン30勝0敗の1勝目だった(この間の彼の唯一の負けは、10月の日本シリーズ第6戦の読売ジャイアンツ戦で、彼は160球を投げた。しかし彼は優勝を決めた翌日の第7戦も登板して、セーブを挙げた)。そしてその20か月間には、メジャーリーグで最も優秀な投手たちでさえも、負けを積み重ねてきた。ロサンゼルス・ドジャースのクレイトン・カーショーは、2012年の8月19日以降レギュラーシーズンの12試合で負けている。デトロイト・タイガースのマックス・シャーザーは5敗、そのチームメイトのジャスティン・バーランダーは14回も負けている。ヤンキースのC.C.サバシアは18敗である。

田中が、この記録のほとんどを日本で打ち立てている一方で、これらの投手はメジャーリーグで投げてきた。日本のリーグは、打線が弱いと一般的に考えられているが、日本、ベネズエラ、3A、あるいはリトルリーグであろうと、30勝0敗は、驚くべき記録である。

「それは、どんなレベルだって凄いことだよ」サバシアは言った。「それに、続いているんだから」

今月初めにヤンキースタジアムで行われたレッドソックス戦に田中は登板しなかったが、ボストンの打者陣は、田中に2ストライクを与えるなとアドバイスされているだろう。彼が米国にきて以来、2ストライクになった打者は46打数3安打(打率.065)で、そしてその46打席のうちの28打席で田中は三振を奪っている。

2ストライクに追い込まれた打者は、田中の決め球であるスプリットフィンガード・ファストボールの餌食になる。その球に彼らは、ホームベースを保護するために、ほとんど強制的にバットを振らされてしまうのだ。 その球は、日本とメジャーにおける田中の成功に不可欠な存在である。

そして田中は、これまでにテレビでしか見たことがない伝統的な球場のフェンウェイパークで投げることを楽しみにしている。

「ファンは、少し熱狂的なんだと思いますし、その日のマウンドに上がることは、良い経験になると思います」

「そのことを、本当に楽しみにしています」

そしておそらく、ボストンのファンは、ジャコビー・エルズベリーが帰ってくるのを待ち構えているだろう。その元レッドソックスのスター選手は、フリーエージェントとなったこの冬に、ヤンキースと7年153百万ドルの契約を結んだ。

今回は、ヤンキースのエルズベリーのフェンウェイパーク・デビューであり、その歓迎が好意的なものになるのか、あるは否定的なものになるのか、彼には分からない。それは2006年にジョニー・デーモンが帰った時、あるいはロジャー・クレメンスがヤンキースのグレーのユニフォームで姿を現したときと同じである。

「僕は、その場にいて見ていたから。彼らがどれくらい熱狂的なのかを、僕は見てきたから」エルズベリーは語った。「どうなるんだろうって、みんなが考えていると思う。だけど僕は、考え過ぎないようにしている。だってそれは、僕がどうにかできることではないから。僕はあの球団にいたときも、グラウンドでは全力でやってきたしね」

ヤンキースの一員となったエルズベリーは、打率.338、10得点と素晴らしいスタートを見せている。しかし彼は、今シーズンのヤンキースの成功の多くは、先発ローテーションにかかっていることを知っている。そしてイバン・ノバが肘のケガでいなくなった今、田中の存在は、より重要になっている。

「彼の投球は素晴らしいし、本当に上手に、自分自身をコントロールしている」エルズベリーは語った。「次の先発を、楽しみにしているんだ」

参考:The New York Times