ブルワーズの控えキャッチャーのマーチン・マルドナルドは、いつか孫を集めて、野球のボールの表面を文字通り剥ぎとった夜のことを、語って聞かせるのかもしれない。
 


この様なことは、マルドナルドには初めてのことだった。ブルワーズのロン・レーニキー監督、そしてパイレーツのクリント・ハードル監督も同じだったが、ブルワーズの実況を長年務めているボブ・ウッカーは、これまでに数回、目撃したことがあった。

「子供の頃ににね。同じボールを長いこと使っていたら、剥がれたんだ」クラブハウスでウッカーは、マルドナルドの記念品を眺めながら語った。「テープで補修してから、プレーを続けたよ」

それは劇的な勝ち越しホームランと言うほどではないが、映画のような光景の中でマルドナルドは、金曜日に5対3でパイレーツを下した試合の中で、重要な道具が壊れたお陰で内野安打をもぎ取ることができた。

それは6回に起こった。ランナーがいる場面で打席に立ったマルドナルドは、パイレーツの三塁手ペドロ・アルバレスに向けて内野ゴロを放ち、その瞬間に、ボールの芯を包んでいた革の縫い目が弾けた。剥がれた革がひらめくボールをアルバレスはファーストに投げたが、それは一塁まで届かずに、マルドナルドは楽々でセーフとなった。

「芯で打った感じだったんだ。バットの先ではなくてね」マルドナルドは語った。「だけど前を見たら、何かが回っているのが見えたんだ。でもボールが剥がれたなんて、思っても見なかった。彼はセカンドに投げたんだと思っていたけど、振り向いてみたらボールが目に入って"何だこれ?"って感じ」

「あれでもヒットなのは間違いない。この先も、僕の唯一の内野安打になると思うよ。バント以外ではね」

確認するためにダグアウトから出てきたハードルは、球審のショーン・バーバーと伴に笑顔を見せいた。しかしその直後のパイレーツは、笑っている場合ではなくなった。この日、3安打だったうちの1本となったマルドナルドのラッキーヒットは、カルロス・ゴメスの内野安打で、ブルワーズの得点につながった。

そして今回は、ボールは壊れなかった。

「あんなの見たことないよ」マルドナルドのそのヒットについて、ハードルは語った。「1つ分かったことは、ああなったらボールを投げるのは難しいってこと」

そのボールは、試合後にブルワーズのクラブハウスに運ばれ、そこでは安全に保管するために、チームの職員が一時的に管理をしていた。そしてマルドナルドは、自分の記念品の1つに、それを加えたいと思っている。

「人生で、初めて見たよ」ブルワーズの強打者マーク・レイノルズは語った。「ボールを、バットの先端で打つと、あんなふうに切れることがたまにあるけど、彼は真ん中で打っていたから。何が起こったのか分からないけど、面白いよね」

参考:MLB.com