13日間で13試合のシーズン開幕を終えたヤンキースは、月曜日にやっと一息つくチャンスが与えられた。それは田中将大にとって、新しい地元を知る初めての機会である。北アメリカでの最初の8週間をタンパ、ヒューストン、そしてトロントで過ごした彼は、わずか1週間前にニューヨークに到着した。
 
ちょっとした観光でもするのだろうか? ショーを見に行ったり、街にある5つ星レストランに行ったりするのだろうか? 田中は違うらしい。何と言っても彼は、先発する前日なのだ。

「少し練習をする予定です」予定を聞かれた田中は、通訳を通して答えた。「試合の前日なので、少し体をほぐそうと思います。もし先発の後の休みだったらおそらく出かけたと思いますけど、今回はしません」

新しいチームとの155百万ドルの契約と、6,000マイル離れた国からの彼の一挙手一投足に集まる注目に対して田中は、自分の仕事に真剣に向き合っている。

彼は、最初の2先発でブルージェイズとオリオールズを相手に、2回とも7イニングを投げて、1勝0敗、防御率3.21を記録した。最初の14イニングで18奪三振と四球が1つという結果は、21イニングで26奪三振、3四球だったスプリング・トレーニングの傾向が続いている。そして最初の2先発で彼の弱点があったとすれば、それは序盤に失点したことである。

メルキー・カブレラは、ヤンキースの選手としての3球目を投げた田中から本塁打を放った。そしてブルージェイスが自責点の付かない1点を含む2点の追加点を奪ったのは2回だった。その後に落ち着きを取り戻した田中は、5回を無失点に抑えてメジャーリーグ初勝利を挙げた。

その5日後の田中は、再び序盤に捕まり、2回にボルチモアのジョナサン・スクープから3ランホームランを打たれた。しかしその後の田中は、再び落ち着きを取り戻し、8回にブルペンが打たれるまでスコアボードに5つのゼロを並べた。

「最初の2回の先発では、試合が始まった時から自分の感覚っていうのを失っていて、それで失点したんだと思っています。そうならないように修正が必要です。試合の始めから、ダメージを最小限に抑える、あるいはダメージをもらわないようにしたいと思います」

「失点した後に追加点を与えていないのは、自分で満足しています。日本にいた時から、失点した時は、"これ以外、得点を与えない"って思っていましたから」

ジョー・ジラルディ監督は、田中の落ち着き、そして最初の2先発で序盤の悪い状態から持ち直した彼の能力に良い印象を受けている。しかしジラルディは、火曜日の夜の彼が仕切り直しの必要がないようになることを期待している。

「期待したいのは、彼が最初から落ち着いていることだ」ジラルディは語った。「彼はとても良いリズムを持っているし、それは本当に重要なこと。彼はこれまでのところ、とても上手に対応している」

CC・サバシアは、田中がチームに慣れようとしていることに、良い印象を抱いている。投球のことに頭を使っていない時の田中は、いつもチームメイトに冗談をとばしている。サバシアはまた、田中が完全主義者だという印象も受けている。序盤の問題を乗り越えただけでは、満足しないその姿勢のことである。

「彼は、全部の球を活かそうとしているし、それはメジャーリーグの投手として必要なことだと思う」サバシアは語った。「全部の球に集中して、いつでもアウトを獲ろうとすること。そうはならないんだけど、その努力をすることがね」

試合序盤の苦戦について田中は、精神的なものと肉体的なものの両方に理由があると考えているが、メジャーリーグ・デビューとヤンキースタジアム初登板の重圧があった彼を、攻めることはできない。

そして火曜日の先発は、田中にとって初めて「普通の」登板になる可能性がある。彼は4勝8敗のカブスを相手に、最初の2試合の経験を活かすことができる。

「そう感じながら、マウンドに上がりたいと思います」田中は言った。「何とも言えませんが、そう感じないといけないと思います」

参考:NEW YORK DAILY NEWS