ジョン・ファレル監督のことは尊敬しており、そしてこの週末のボストン・レッドソックスに対する2つの鍵となるリプレーの判定に彼が不満を持つのも理解できる。しかし導入されてから2週間しか経っていない、メジャーリーグのリプレー・システムの完全性に疑問を持つのは「早計」だと、トニー・ラルーは月曜日、ESPN.comに語った。
 
「私は彼を尊敬しているし、彼と話しをするのも大好きだけど、ジョンには、そのシステムの公正さは、それを続けて高めていく必要があるんだと言いたい」殿堂入り監督のラルーサは語った。彼はメジャーリーグ・ベースボールの新しいリプレー・システムの実現に尽力した。「それが1か月かかるのか、6週間なのか、あるいはもっとなのか、時間的なものは私には分からない。だけど私たちみんなは、実際に目にしたものから学んでいる」

「だから私は、そのシステムが上手くいかないとか、彼がそれを信用していないって言うのは、早過ぎると思うんだ。だって、私の意見だけど、そのシステムがこれまでにどれほど上手くいっているのかっていうのは、注目に値するからね。私は驚いている。じつのところ私たちは、もっとつまづきがあると思っていた」

ファレルの不満は、日曜日夜に頂点に達した。その時に彼は、グラウンドの審判ではなくリプレー審判による判定に抗議したことで退場処分となった最初の監督になった。「そのシステムを信頼しているとは言えない」そのレッドソックスの監督が試合後にしたこの発言は、球界全体を驚かせた。

シーズンが始まって2週間で185試合が行われ、84個の判定にビデオ確認が行われた。そしてそれらの28個の判定(33%)が、覆された。

ラルーサは月曜日、これらのコメントに対して「私は、怒っていない」、なぜなら「彼らは、真剣に試合を戦っているからだ」と語った。

「何と話したのかは、知っている」メジャーリーグで33年間、監督を務めたラルーサは語った。「それはすべて、勝利を争っている試合でのことだから。すべての試合は、勝利を狙う2つのチームの間で争われる。そして監督として、勝利につながる、あるいは負けることにつながることについては、心の中、腹の中、そして頭の中に燃えるものがあるんだ。それが、こうなる理由なんだ」

しかしながらラルーサはまた、日曜日の一塁で起こった際どいプレー、イニングが終わるダブルプレーの判定が覆ったことに関するファレルの説明は、正しくないと語った。

ヤンキースのフランシスコ・セルベリが、ファーストでアウトになったダブルプレーに対する一塁塁審ボブ・デービッドソンの最初の判定は、アウトだった。ヤンキースのジョー・ジラルディ監督は、その判定にチャレンジし、リプレー・コマンドセンターの審判によって覆された。

ヤンキースはそのプレーで得点し、それは3対2で終わった試合の分岐点となった。

試合後のファレルによれば、そのリプレーは「決定的ではなく」そして、「不満な点の一部は、このようなプレーで私たちが説明されているのは、特に一塁手の捕球については、グローブの手のひらの部分に球が当たった時ではなく、ボールがグローブに達した時にアウトが成立すると教えられてきた」と語った。

しかしラルーサによれば、それは審判の判定の仕方ではない。彼によれば、事実としては反対側の解釈が正解で、審判が捕球を判断するのはそれが完了した時で、すなわちそれはボールがグローブに最初に達した時ではなく、一塁手のグローブの手のひらにボールが当たった時である。

彼が語ったその理由は、グラウンド上の審判は、「足がベースに達するのを見ながら、ボールがグローブに当たる音を聞いて」判断しているからだ。そして彼らが聞いているもっとも大切な音は、ボールがグローブに当たる音で、それが一番大きな音だからである。

「だからその判定に対するジョンの不満は、説明ができるんだ。リプレー審判が見ているのは、いつグローブの手のひらの部分にボールが当たるのかを見ていて、それが捕球が成立する時なんだ」

ラルーサは先週の3日間、リプレー・コマンドセンターで審判、そして技術員と一緒にいたが、レッドソックス対ヤンキース戦のセカンドでのリプレーの判定が、ボストンに不利なものになった土曜日にはそこにいなかった。

その試合でファレルは、ヤンキースのディーン・アンナがライトへ放った二塁打で、セカンドでのセーフの判定にチャレンジした。リプレー映像は、アンナの足がベースから離れた時に、レッドソックスのショート、エグザンダー・ボガーツがずっとタッチをしていたところが確認できた。そのセーフの判定は、リプレー審判によって支持されたが、MLBは土曜日の夜、その判定は覆されるべきだったと認める声明を発表した。

ラルーサは、そのビデオ判定の間に「どんなミスがあったのかは定かではない」 が、ファレルのような人たちは、判定が正しくなかったと認めるMLBの声明を、前向きなものとして見るべきであると語った。

「その対応の誠実さに拍手を送るよ。もし私が、いまユニーフォムを着ている、あるいはオーナーやファンだったら、MLBのその声明を見て"ほら、私たちは間違えていないじゃないか"って喜んだだろうね」

ファレルは後に、リプレー判定員は、チームが持っているものと同じ角度の映像を見ているのかと疑問を呈した。同じ日の遅く、ワシントン・ナショナルズのマット・ウィリアムス監督は、彼のチームがアトランタと対戦した試合の一塁での判定のビデオ映像について、同じ懸念を表明していた。

「私は現時点で、のこのシステムに強い不満を感じている」試合後のウィリアムスは言った。「だってもし彼らが、私たちが見ているものと同じ映像を見ているのなら、どうして彼がアウトになるのか分からない」

月曜日にラルーサは、「ニューヨーク(のリプレーコマンドセンター)が持っていないものは、彼らのクラブハウスでも、見ることができない」と語った。

リプレーがあるにも関わらず、複数の誤審が起こっていることにラルーサは、5〜6試合で結果を左右する正しいリプレーの判定があったと語った。つまり彼は、正しくなされたたくさんの判定よりも、間違いや議論、そして試合の遅れに焦点を置いた批判が起こっていることから、そのシステムを擁護しているのだ。

「私の意見だけど、何が素晴らしいかって言うと、2週間が経ってそのシステムが、本当に効率的に運用されていることだ。判定に対するすべてのビデオ確認、そのシステムと関係するすべてのことを考えればね。最初に言われていたことや、これがスタートした時のことを考えると、2週間が経って、そのつまづきはとても少なくて、そしてとても稀なことだ。私はそれに、挑戦を続ける」

参考:ESPN