デレク・ジーターの華やかな最後の本拠地開幕戦の中でも、黒田博樹が存在感を失うことはなかった。そのヤンキースの先発投手は月曜日、ボルチモア・オリオールズを翻弄した。
 
日本の大阪出身で39歳のその右腕は、2014年で7年間のメジャーリーグキャリアを終えるとは決めていないと発言している。つまり月曜日のヤンキースタジアムで始まったジーターのようなサヨナラツアーは、期待できないのだ。しかしいずれにしても、それは黒田のスタイルではないのかもしれない。

ヤンキースが、新しく仕入れた6人の選手とジーターの名前が輝くラインアップを披露する中で、ピッチャープレートの右側に立った黒田は、自分の仕事を整然と続けた。ツーシーム・ファストボールのキレが悪く、スライダーは思ったような変化がしなかったと黒田が悔やんでいても、彼はオリオールズのパワフルなラインアップを相手に、6回1/3を8安打、2失点に抑えた。

オリオールズから3つの三振を奪った黒田は、シーズン初勝利を挙げ、そしてヤンキース先発陣の無四球記録を25回1/3に伸ばした。

「黒田らしい投球だった」黒田の球を受けたのが2回目だったマッキャンは語った。「ホームベースの両サイドに投げて、スプリットは有効で、試合の終盤まで投げたからね」

この冬のヤンキースが、大金を投じて獲得した選手の1人であるマッキャンは、2人がナショナルリーグでプレーをしていた時から、対戦相手として打席から、黒田の落ち着いて安定している投球スタイルを理解しようとしていた。

2回の先発で球を受けたことで、懐かしい気持ちが蘇ってきたと語った現在はチームメイトのマッキャンによれば、黒田は、慎重な投手である。彼は、月曜日は90マイル前半だったシンカーでストライクゾーンを攻め、80マイル中盤のスプリッターで決めるという戦略を続けている。

そして黒田は、それぞれの打者の攻め方を熟知している。マッキャンが、投球をあまり指示していないと言うように、打者の攻め方を決める権限は、黒田が持っている。

「彼が投げたい球を投げていれば、彼自身がそれを拒否する必要はないからね。彼はいつだって、1球でダブルプレーを獲ったり、1球でビッグイニングを終わらせたりする。彼は決して、混乱しないんだ」

ライト側から風が吹き、試合が始まった時の気温が11度だったヤンキースタジアムで、彼の球にはいつもどおりのキレはなかった。しかし黒田によれば、彼のスプリッターは、これまでにもオリオールズを封じてきた球だった。

初回にオリオールズは、ワンアウトからニック・マーカーキスの二塁打で、さっそく黒田に襲いかかった。しかし黒田は、オリオールズ打線でトップの2人に対して、それ以上の隙を見せなかった。アダム・ジョーンズはセンターへの緩いフライ、そしてクリス・デービスはスプリッターでファーストゴロに切って獲り、その回を終わらせた。

黒田がストライクゾーンの両サイドを攻める中で、オリオールズができたのは、スコアボードにヒットの表示を増やすことだけだった。4回に連打で、マット・ウィータースがジョーンズを返すまで、彼らは目的を果たすことができなかった。さらに7回のオリオールズは、デービスの二塁打、ウィタースのシングル、そしてネルソン・クルーズのタイムリーで追加点を挙げたが、ヤンキースのブルペンが、追撃を抑えた。

オリオールズのバック・ショーウォルター監督は、彼の先発投手ウバルド・ヒメネスが苦労して109球を投げたのを見ていた。ヒメネスは、5つの四球を与え、5回のピンチをしのぎぎれなかった。

「彼には、リラックスが必要だね」ヒメネスについてショーウォルターは語った。

反対側のクラブハウスにいたジョー・ジラルディは、そのような不満は持っていなかった。

「彼は落ち着いていた」ヤンキースの監督は、黒田について語った。「期待通りだった」

試合後の黒田博樹投手の話

「状態はあまり良くなかったが、キャッチャーや守備に助けてもらって、7回途中まで投げることができた。フォアボールを出さないことと低めに投げることを心がけて、粘り強く投げることができた。ツーシームとスライダーの動きがあまり良くなかった。1試合1試合の積み重ねなので、しっかりと準備をして、次も良い投球をしたいと思う」

 参考:NJ.com YES NETWORK