2014年シーズンが始まり、人数が多すぎるヤンキースの外野でイチローが仲間外れに見えるのは確かである。冬にジェコビー・エルズベリーとカルロス・ベルトランを加え、ブレッド・ガードナーとは4年の契約延長、そして素晴らしい貢献をしているアルフォンソ・ソリアーノがいることで、たくさんの人たちが、イチローは要らないと言ってきた。
 
でもヤンキースは、彼を手放したくなくなっているかもしれない。なぜなら彼は、今シーズンの鍵になる選手にかもしれないからである。つまり少なくとも、Yes Networkのアナウンサーが言っているようなイチローのトレード話は、すぐに止めなくてはならない。

イチローを持ち続けるべき理由

みんなは、彼がシーズン初打席で見せたものの価値を理解しなければならない。木曜日夜のヒューストンでエルズベリーに代わって出場したイチローは、4打数2安打、そして2アウトからマウンドの前に高く上がった内野フライで、セカンドから得点した。それはシーズン初勝利を狙うヤンキースに保険といえる得点を与えた。

わずか1試合の4打席で、何が分かるのかと言いたいかもしれない。しかし1つ注目すべきことは、イチローが、左腕に対して先発出場したことである。左腕が先発する時に、時々でも出場する左打者が何人いるだろうか? 彼はサウスポーからヒットを打ち、その後は右腕のリリーバーから二塁打を放った。そして同じくらい重要なのは、もしその重要性が分かるのなら、その日の投球数である。

簡単に言えば、木曜日夜のアストロズ戦のイチローは、最高に素晴らしかった。

彼は第1打席で6球を投げさせ、フルカウントから打ったショートとサードの間を抜けたシングルヒットは、昔のイチローの姿だった。彼の2打席目もまた、ファーストゴロに倒れる前に、2ストライクからのファウルを含んで6球を投げさせた。

そして第3打席の彼は、5球目をレフト・センター間への二塁打とした。そして彼は、マウンドの前に上がったヤンジャビス・ソラルテのシングルヒットでセカンドから生還した。今日の試合の中で、その走塁が一番だった。あのようなプレーでセカンドから得点できる選手が、何人いるだろうか? その答えは、たとえ2アウトであっても、そう多くはない。

最後の打席のイチローは三振を喫したが、それでも彼は、再度6球を投げさせて、相手の投手に投げさせるという彼の仕事を終わらせた。

イチローは全部で23球を見て、2つのヒットを放ち、そして天才のようにベースを駆け巡った。

それでトレード話は?

スプリング・トレーニングの後半に行われたフィリーズ戦でヤンキースのテレビアナウンサーは、フィラデルフィアがセンター選手を必要としていることから、イチローのオーディションだという話しをしていた。そして木曜日夜のイチローの打席の間も、イチローは最終的にはトレードされるという話題で盛り上がっていた。

しかしなぜ、それをする必要があるのだろうか?

ヤンキースのレギュラー外野手は、ガードナーがレフト、エルズベリーがセンター、そしてベルトランがライトである。そしてそれは、メジャーリーグの中でも素晴らしい外野の光景である。ソリアーノは、状況をどのように見るのかにもよるが、4番目の外野手ということになるのかもしれない。彼は確かに、他の3人よりも守備力が劣る。

しかしレギュラー選手を眺めてみると、昨年のエルズベリーは134試合、そして2012年は74試合である。昨シーズン145試合に出場したガードナーは2012年は、16試合だった。一方で今月37歳になるベルトランは、昨シーズン145試合に出場して、2012年は151試合だった。最近の2シーズンで151試合に出場したソリアーノは38歳で、そして指名打者の方が適している。

イチローは? 彼が40歳であることが信じられなくなるかもしれない。昨シーズン150試合に出場した彼は、2010年、2011年、そして20102年の3年間では、1試合しか休んでいない。彼のトレーニングと試合への準備のメニューは、伝説的である。彼の体の柔らかさと体調管理は、他の選手とはまったく違うものである。

控えめに言っても、エルズベリーとガードナーは壊れやすく、37歳のベルトランと38歳のソリアーノは、40歳のイチローよりも「年寄り」である。

分かるだろうか?

確かに以前のイチローではない。しかし・・・

イチローは、かつての様な送球はできない。しかしそれでも、素晴らしい肩を持っている。彼はもう、「スパイダーマン」の様に壁をよじ登ることはできないが、それでも優秀な外野手である。彼はもはや、打率.325以上の打者ではないが、(木曜日の夜の様に)球を見極めることができる。彼は、本当のチャンスさえあれば、打者としても活躍するだろう。それに彼はまだ、走ることができる(昨シーズンの盗塁は24−20)。

そしていまでも彼は、特にヤンキースタジアムでその気になれば、フェンスの向こうに球を運ぶことができる。

結局のところイチローは、かつてのようなスーパースターではないかもしれないが、それでもヤンキースを救うことができるとてもよい選手なのである。

彼のプレー時間を劇的に減らす、あるいは彼をトレードするといったことは、信じたくはないが、復活を目指すヤンキースにおいて、大きな間違いになるだろう。

そして率直に言えば、か弱くて年を取った外野陣は、シーズン中に休みが必要となるケガに見舞われる可能性が高い。彼らは、アイアンマンのようなキャリアを送ってはいない。

最初の投票で殿堂入りする彼を、ヤンキースは、トレードすべきではない。彼は現在でも、彼らが考えているよりも良い選手だ。そして彼に必要なのは、それを証明するチャンスだけである。

参考:CBS NewYork