もし今春の田中将大が、ヤンキースのピカピカの新車だったのなら、黒田博樹はさしずめ、高性能ナビゲーションだった。

田中は、1年目のメジャーリーグ・キャンプを順調に終えるための道をナビゲートされ、ボンバーズは、彼が素晴らしいルーキーシーズンを送るための道標を与えられた。
 
そのことについては、アメリカでの最初の週を、できるだけスムーズに過ごせるように面倒を見てくれた、ベテランのチームメイトの黒田に、田中は感謝すべきだろう。

「言葉で説明するのは難しいですけど、黒田さんには、本当に助けてもらっています」田中は通訳を通じて語った。「黒田さんには、シーズン中もいろいろ助けてもらうことになると思います」

今シーズンオフにヤンキースは、田中と7年155百万ドルの契約を結び、彼を日本から連れてくるのには、総額で175百万ドルを費やした。「私たちが彼と契約する時から、黒田が助けになることをは分かっていた。彼は、そういう男だからね」ラリー・ロスチャイルド投手コーチは語った。

彼がそう語るのには理由がある。黒田が指導するのは、田中だけではないからだ。イバン・ノバはシーズン中、日常的に黒田にアドバイスを求める。打者に対する姿勢や球の握り方を、その39歳の経験から学ぶのである。

そして黒田の田中に対する影響力は、投球以上のことに及んでいる。日本から来たことによって、新しい言葉、新しい習慣、新しい練習ルーチン、新しいチームメイト、そして日常生活の中で、本当にたくさんの変化が彼に訪れた。「僕も1年目には、チームメイトから本当に助けてもらいましたから」黒田は通訳を通して語った。「彼に必要なことならなんでも、手伝おうと思っています」

ロスチャイルドとジョー・ジラルディ監督も、彼ら自身ができることであれば田中を助けようと思っているが、黒田が持っているような視点を2人共に持ち合わせていないのが現実である。「同じ経験を彼はしてきているから。それは大きな助けになる」ロスチャイルドは語った。「彼がここに来た時にどうしたのか、5日毎の登板に少しずつ合わせるために何を変えたのかを話すことは、大きな助けだ。他の誰かが"私たちは、こうする必要がある"って言うのと、やってきた人からそれを聞くのとは、大きな違いがある。彼はここで、それをしてくれているんだ」

スプリング・トレーニングで田中は、5回の登板で21イニングを投げ、2勝0敗、防御率2.14、26人の打者から三振を奪いながら、与えた四球はわずかに3つだった。「ここで、いろんなことがどういう感じで進んでいるのかの感じを、つかむことはできたと思います。僕にとって大切なのは、こことで止まることなく、シーズン中も学び続けることだと思っています」田中は語った。

金曜日の夜に黒田をリリーフした田中は、マーリンズを相手に6回を無失点、10奪三振、与四球0に抑え、彼らしい素晴らしいやり方で、最初のスプリング・トレーニングを締めくくった。それらの何が、より嬉しいのかと聞かれた田中は、ここ6週間で覚えた英単語のいくつかを披露した。「 No walks」、彼の顔には、満足そうな笑みが浮かんでいた。

田中は、通訳との信頼関係を築いていく中で、新しいチームメイトとコミュニケーションを取るために、英語を学ぶことにもベストを尽くす必要がある。「彼は、英語が話せないかもしれないけど、この環境で上手くやっていくために、本当に努力しているように見えますよ」黒田は言った。「ニューヨークでやっていけるだけのものは、持っていると思いますから、新しい環境に慣れていくことだけでしょう」

スプリング・トレーニングを無事終えたことは一区切りになるが、5日毎にボールを手に取り、162試合を戦い抜くのは、また別の話である。

黒田は、昨年の7月末にはサイ・ヤング賞候補だった。しかし悲惨な2か月が、彼を一転のどん底に陥れた。そして田中は、まだそのような災難を経験していない。「彼はまだ、そういった壁を経験していないから」黒田は言った。しかしその1年目のヤンキースの投手が、どのようにそれに対応するのかは見ものである。「彼は性格も良いし、上手に移行していると思う。ロスチャイルドは言った。「いずれ分かることだけど、困難にぶつかるまでは、それに対処できるのかは、分からないから」

参考:NEW YORK DAILY NEWS