球界では、選手をアクシデントから守る手段がいくつも取られているが、現在まだ撲滅できていない危険なことの1つが、投手に向かってくるライナーである。

水曜日夜のサプライズ・スタジアムで、その危険がはっきり過ぎるほど明らかになったのは、シンシナティ・レッズのクローザー、アロルディス・チャプマンの顔面に、カンサスシティのキャッチャー、サルバトーレ・ペレスのバットから飛んできたライナーが直撃した時だった。



グラウンドに倒れこんだチャプマンは、両手で顔を覆った。 彼は救護員が治療する間の数分間、まったく動かなかった。最終的にストレッチャーに乗せられてグラウンドを後にした彼は、病院へ向かった。

レッズの発表によれば、チャプマンは最初に運ばれた病院の検査で左目と鼻の上に骨折が判明し、精密検査を受けるために、他の病院へ搬送された。彼は24時間の監視を受ける予定である。

レッズのブライアン・プライス監督は、「彼は話したり、手足を動かすことができていた。私は医者でないから、それ以上のことは分からない。だけど見た感じは、左目の上のあたりが、とても腫れていた」と述べた。

そのアクシデントが起こったのは、6回裏、レッズが6対3でリードしている場面でのカウント0-2からの投球だった。スコアボードの表示によれば、99マイル出ていたその球を、ペレスはしっかりと打ち返した。そしてチャプマンの頭にボールが当たった音は、球場中を恐怖に陥れた。

チャプマンがグラウンドから運びだされた後、両チームの監督と審判団は協議し、試合の中止を決断した。その決断は、チャプマンのケガとその状況の重大さを考慮しれば、正しかったと言えるだろう。

「あそこでプレーを続ける気持ちにはなれなかった。野球っていうのは、たくさんの楽しい気持ちと、決断力と、集中力が必要な競技なんだ。あの後には、だれもプレーは続けられなかったと思う」

メジャーリーグは1月、ライナーの危険から投手を守るように設計された、保護帽子を認可し、自由意志によりスプリング・トレーニングから、使えるようになっている。認可されたその帽子を使う投手の反応は今のところいろいろであるが、チャプマンのケースでは、役に立たなかったかもしれない。

レッズの外野手ジェイ・ブルースは、その事故について「僕がこれまでに知っているなかで、最も恐ろしいこと。だって彼は力いっぱい投げて、そのボールは、バットで力いっぱい打ち返されたんだから。とにかく、最善の結果を望んでいる」

「今のみんなの気持ちを言い表す言葉なんてないよ。恐ろしい。本当に。危険だ。野球を置いといても、これは人の命の話だから。これは危険だ。本当に不運なことだ。誰かにこんなことが起こるところなんて、見たくない」と語った。

でもそれは、水曜日夜のカクタスリーグの試合で、球界でもっとも圧倒的なクローザーの1人に起こってしまった。それは試合の中にある本当に危険なことは、現実にならなければ、ルールで対処できないことを思い出させた。

「これは滅多に起こらないことで、私たちが決してなりたくないことだ」プライスは、そのアクシデントについて語った。「でも恐ろしかった。本当に恐ろしい瞬間だった」

参考記事:Chapman incident puts focus back on safety By Mike Bauman