田中将大は、日本からアメリカへスムーズに移行できるのかという疑問や心配があったことを覚えているだろうか? プレッシャーや注目、そしてメジャーリーグのラインアップといったすべてのことに、彼がどうやって対処するのかについてである。



ヤンキースによれば、これまでのところ、彼はそのすべてを見るからに簡単にこなしている。仮にそうだとしても、それはまだスプリング・トレーニングである。レギュラーシーズンは、それ自体が新たなチャレンジである。彼はきついスケジュールと遠征、そして言うまでもなくタフな5日ごとの登板などに対処しなくてはならなくなる。しかし彼は、これまでに直面したチャレンジのすべてを、難なくやってのけてきた。

「彼は、上手く移行しているね。彼には、それが問題になっていない。そのことが、私たちの問題じゃないかって思うくらいだ」ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMは語った。「こっちで彼がとても順調なこと、私たちの予想よりもかなり順調に移行していることに本当に驚いている。私たちは、心配しすぎていたんだ」

その傾向は日曜日も続いた。この日の田中は、今年の春に対戦した中で、おそらく最強のラインアップと対戦した。ブレーブスは、ジョージ・M・スタインブレナー球場に、ほぼレギュラーメンバーを揃えた。田中によれば、彼は日本で行われていたメジャーリーグのテレビ中継で、彼らの名前を目にしたことがあった。

しかし彼が、それで気後れすることはなかった。7対4で勝利したその試合で4回1/3を投げた彼は、6つの三振を奪い、打たれたヒットは3つ、与えた四球は2つだった。彼は、予定していたのよりも早く74球に達したが、結果には満足していた。

「彼の球は良いね。平均以上のスプリッターと平均以上のスライダーが、沈んだりカットするファストボールと一緒に、ホームベースの両サイドに決まる。彼は誰に対しても、打席で優位に立たせない」ヤンキースのキャッチャー、ブライアン・マッキャンは言った。「彼は打者を、自分の望んだ状態にするんだ。彼はカウントを0−2にするし、望んだ状態にするために次の球を用意するし、カウント2−2からでも相手を三振にできる。彼は、そこで何をすべきかが本当に分かっている」

田中はまた、彼の強みや弱点といった自分自身のことを本当によく理解していると、マッキャンは付け加えた。彼が落ち着いて、気持よく投げていることが、もしかしたら相手打者をアウトにしているのかもしれない。日曜日の田中のファストボールが、92〜94マイルに達したとロブ・トムソン監督代行が言う中で、田中は「普通の投手」よりも、2つ目の球種を多く投げることになるだろうと指摘した。

彼はまた、その高いメディアの注目度を考えても、他の普通の投手よりも落ち着きを見せている。ブレーブスのフレディ・ゴンザレス監督によれば、彼は田中が、メジャーリーグで投げることに慣れていると、スタインブレナー球場のビジター側ダグアウトで言わざるを得なかった。それは田中が、まだわずかに25歳であることを簡単に忘れさせる。

「印象的だったね。彼には、良い所がたくさんある」ゴンザレスは言った。「大きな舞台であるニューヨークで彼はやっていくことになるけど、何も問題は起こらないと思う」

「それは、僕の驚きを通り越している」マッキャンは付け加えた。「まだ25歳のはずの彼が経験を見せて、相手打線を巧みに操る方法を知っていることは、本当に印象的だ」

田中は、自分が置かれた状況に慌てるところを見せない唯一の人間である。日本とアメリカのメディアと話す彼は、もっと上手になる必要があると言われているインタビューを、通常は上手に進めている。

例えば、誰もが賞賛する田中のスプリッターを取ってみても、マッキャンによれば、いつそれをワンバウンドさせて、いつストライクゾーンに投げれば良いのかを理解している。そして日曜日はその球が、ブレーブスの打線からいくつもの空振りを奪った。彼はジャスティン・アプトンをスプリッターで見逃しの三球三振に獲り、3回の最後には、アーネスト・メヒアもそれで三振にした。それでも田中は、彼のスプリッターは「まだ完全ではない」と言う。

それならこの春の彼は、何に満足しているのだろうか?

「今日ここにいて、徐々にですけど、問題なく自分の投球カウントを組み立てられるようになってきたことですかね」田中は通訳を通して言った。「そのことは、とても嬉しいです」

一方でヤンキースは、彼らから見た田中に喜んでいる。キャッシュマンは、田中のスムーズな移行は、松井秀喜と比較しても、田中はもう長い間この球団にいるようだと言う。

「とても上手くいっている。チームメイトは彼が好きだし、彼はここを楽しんでいるようだし、チームメイトも気に入っている様だ」トムソンは言った。「もし私が外国に行ったら、すぐにたくさんの人たちと仲良くなろうとするのは、大変だと思う。だから彼は、それについて良い仕事をしている。彼は本当によく、溶け込んでいる」

スプリング・トレーニング中に溶け込むことと、メジャーリーグの先発投手として成功することは、もちろん違うことである。しかしメジャーでの最初の月の彼の歩みもまた、驚くほど順調で、それは彼自身以外の全員が認めるところである。

「今のところは、順調って感じですかね」田中は言った。「だけどシーズンが始まれば、違う街まで飛行機で乗って行って、違う天気や気候の中で投げることになります。新しいことをたくさん経験すると思いますけど、シーズンを過ごす中で、たくさん学びたいと思います」

参考記事:So far, Tanaka's transition has been seamless By Adam Berry / MLB.com