昨年の10月30日にボストンのワールドシリーズ制覇を決めたその球は、簡単に手に入れたものではなかった。

2013年の上原浩治が、とても頻繁に、とても簡単そうに投げ、そしてとても支配的だったその球は、師匠から授けられたものではなかった。そのスプリッターを彼が発見したのは、霊感によって導かれたのではなかった。彼はある日、新しい握りと新しい投げ方と共に目覚めたのではなかった。

むしろそれは、長年の試行錯誤から生まれたものであり、自己改良は現在も続いている。

「基本的には、自分で考えたものです」上原は、通訳のC.J.マツモトを通して語った。「他の選手からヒントを得たんですけど、基本的には自分で考えました」

上原のスプリッターの秘密は、それが1つではないことである。彼は異なる3つのグリップを使っており、それぞれが違う動きをする。彼は、その詳細についてうやむやにしている。彼のスプリッターは、秘密なのだ。

「それを知った人には、死んでもらいます」彼のスプリッターの違いについてたずねた私に、彼は言った。「だけど基本的には、縫い目に引っ掛けるのか、引っ掛けないのかの違いです」

1つのスプリッターから始めた上原は、それに微妙な変化を加えるために改良を加えた。そのわずかに変えたグリップが、その効果を増大させる同じ腕の振りと共に、それぞれのスプリッターを投げることを可能にしている。

「日本で、その投げ方を学んだんです。だから最初は1つで、それが2つ、3つになったんです」

2103年のようなシーズンの後であっても、上原はそれを改良している。昨年の彼のスプリッターは事実上、1つの球種が可能とする中で最も圧倒的だった。

「まだ途中ですから、それが完成しているとか、それに満足しているとかは言いません。毎年、自分のコンディションは違いますから。球の動きも違うんです」

そして今年の春のこれまでのところは?

「もっと正確にコントロールする必要があると思っています」

上原は自分のスプリッターについて、チームメイトには、口は固くない。田澤純一は、昨シーズンに数回いろいろな状況で、その球について上原からアドバイスを受けた。ポストシーズンまでの時間で彼を立ち直らせたのは、上原だったのだ。

そしてジェイク・ピービーが、2014年により良くなる方法を模索していた時に見つけたのが、上原と彼のスプリッターだった。

「あの球が、上原浩治だから。あれが、彼なんだ」今週初めにピービーは言った。「もし彼があの球を持っていなければ、それは彼じゃない」

「励みになるよ。自分のことを考えた時に"なぜ俺は、それを試さなかったんだ?"って。そこから始まったんだ」

上原はピービーが、その球の第一人者として彼を見ていることを「光栄に思っている」と言った。彼はピービーに、スプリットの握りの1つを見せ、その先発投手によれば、「彼がそれを投げる時に考えていること」をピービーに話した。

確かに上原の投球スタイルは、年々スプリッターに頼るようになってきており、その重要性がより増してきている。昨年は、真っ直ぐなファストボールよりも14球も多くスプリットを投げ、彼がファストボールよりもスプリッターを多く投げた最初の年だった。2010年に初めてメジャーリーグで年間を通してリリーバーを務めた時の上原は、ファストボール2.5球に1球の割合でスプリッターを投げていた。

そしてまた、2013年にその球が対戦打者に打たれたのはわずかに0.96と、彼のスプリッターはこれまでになく最高に効果的だった。その結果として彼の奪空振り率は、キャリアハイの28%になった。

言い換えれば、昨年の上原は563球のスプリッターを投げ、そのうちの156球を打者は空振りした。そして打たれのは、わずかに16球だ。それはほぼ10対1の割合である。

上原のスプリッターが、ファストボールを2番目の地位に追いやったとしても、その2つの球種の相互関係は、明確に残っている。ストライクゾーンの低めにファストボールを投げる彼の能力は、ワールドシリーズ第6戦で、シーズン最後となったマット・カーペンターの空振りを見れば分かるように、打者がスプリッターを上をに振りすることの理由となっている。 上原が、メジャーリーグ平均よりも、約10%多くボール球を振らせているのはそれが理由である。そしてそれを言い換えれば、2013年の彼は、ファストボールよりもスプリッターで多くストライクを奪っていたことになる。

さらに上原は、視線を変えるために、ファストボールを高めに投げる必要があると指摘した。そうすることで、スプリッターがより打ちやすい高さに見えるのだ。それは、逆方向にも作用する。つまりそのスプリッターの有効性が、上原が稀にファストボールのコントロールをミスすることを許しているのである。

参考記事:Splitting Hairs: How Koji Uehara’s dominant splitter has evolved BY TIM BRITTON The Providence Journal