その質問は、スプリング・トレーニングを始めたばかりのアルバート・プホルスに投げかけられた。しかしエンゼルスのその一塁手は、静かな今朝も、そのことにイライラさせられている。

「あなたは、マイク・トラウトと同じくらいの成績を出すことを目標にしているの?」

プホルスは、信じられないといった表情で前を見つめた。

「俺にそんなことを聞くやつがいるなんて、信じられるか?」記者からの質問を思い出しながらプホルスは言った。「"まじめに言ってるの? 本当にそれが聞きたいの?"って言いたかった。俺の成績を見てから言ってほしいね。マイク・トラウトの最初の2年間が、本当に凄いことは分かっているよ。だけど俺の成績を見てよ。俺は同じことを、もう14年間もやっているんだ」

「俺に匹敵する成績を残している選手は、バリー・ボンズだけだ。それなのに、マイク・トラウトのような成績が残せるのか? って本当に聞かれたんだ」

「バカにしているのか?」

プホルスは、トラウトに対して怒っているのではない。その22歳のチームメイトは、初めの2年でアメリカン・リーグMVP投票で2位に入り、2年連続で打率.320、25本塁打、30盗塁を決めたウィリー・メイズ以来の選手になった。プホルスは、トラウトの才能とプロ意識を気に入っている。彼はいずれ、殿堂入りすると見ている。

「彼は素晴らしい若手だし、常に学ぼうとしているし、とても謙虚だ」プホルスは言う。「だけど成績をマイク・トラウトに並べるのが俺のモチベーションだなんて誰かが言うようになったら、俺は引退する時だね」

492本塁打、1,498打点と現役選手では、出場停止中のアレックス・ロドリゲスに次ぐプホルスの本心は、誰とも比較されることを望んでいない。

彼は、アルバート・プホルスである。

セントルイス・カージナルスでプレーしていた2001年〜11年、彼はナショナル・リーグのベストプレーヤーだった。彼は平均で40本塁打、121打点、OPS1.037を記録している。彼はMVPに3回選ばれており、2位は4回、他の6シーズンもトップ5に入っている。彼は10年連続で打率3割、30本二塁打、30本塁打、100打点を記録した史上唯一の選手である。

それに彼は、ブッシュ・スタジアムに2度のワールドシリーズ・チャンピオンの旗を上げるのに、大きな貢献をした。

エンゼルスでの1年目は打率.283、30本塁打、105打点に終り、昨年は足底腱膜炎で最後の2か月を欠場して99試合の出場に終わったプホルスの耳には、彼は終わったという声が聞こえてきた。そして彼はこの冬、いまの彼は球界で80位の選手だと誰かが書いた記事に対して、友人に電話で怒りを露わにした。

「ここ2年間は良くなかったけど、なんでみんなが、そんなにすぐに俺がダメになると思うのか分からない」プホルスは言う。「彼らは(10年240百万ドルの) 契約について何かを言いたいんだろうけど、俺はそんなことは気にしていない」

「彼らが何を望んでいるか、言ってみれば良いよ。だけど俺の順番になったら、俺も言わせてもらうよ。俺を信じろ。その時はやって来るってね」

プホルスは、今シーズンの彼自身の目標を公にしていないが、彼と親しい人たちは、彼がもう一度MVPを狙っていることを知っている。

そしてすべての口を黙らせるのだ。

人々の疑念を覆すことよりも強いモチベーションはない。そして2000年のドラフトで12巡目指名だったプホルスは、彼をバカにしてきた人たちに、そうすることを気に入っている。

「そうなったアルバートを、誰も止めることはできないよ」セントルイスで4年間、プホルスとチームメイトだったブルワーズの先発投手カイル・ローシュは言う。「今年、彼と同じ地区の投手には、ご愁傷さまって感じ」

2011年のMVPで2012年は次点だったブルワースのライト選手ライアン・ブラウンは言う。「アルバート・プホルスは、僕が人生で出会った、あるいは対戦した中で、もっとも素晴らしい選手だ」

「ミゲル・カブレラがここ2年間素晴らしいって言ったって、アルバートはそれを10年間やってきたんだ。誰かを疑いたいんなら、彼は止めたほうが良い」

プホルスは、練習のために1か月早くセントルイスの自宅からカリフォルニアに向かい、投手と捕手が集まる前にスプリング・トレーニングに姿を現した。その復活への道程は、エンゼルスのドン・ベイラー打撃コーチに、殿堂入り選手フランク・ロビンソンの1966年の神秘的なシーズンを思い出させる。

「フランクは(ボルチモア・オリオールズに)トレードされて、彼はもう30歳だからってみんなが言っていたんだ」ベイラーは言う。「フランクは、何も言わなかった。だけど結果的に3冠王(打率.316、49本塁打、122打点)になった。その後に、フランクの年齢についてなにか言う人は、誰もいなくなった」

「アルバートは、同じ決意を持っている」

2011年のワールドシリーズをプホルスと一緒に勝ち取ったエンゼルスの三塁手デビッド・フリースは、来るシーズンのプホルスについて聞かれた時に、得意げな笑顔を見せた。

「その目標と決意、そしてプライドが、アルバートをこんなにも素晴らしくしているんだ」フリースは言う。「いまの彼の目を見てみなよ。今年の彼がMVPを勝ち取ることに、僕は疑いを持っていない。まったくね」

プホルスは、最高の選手に戻ることと、これから先のアナハイムに、たくさんのワールドシリーズ・リングをもたらすことに自信を持っている。彼は他のことについて考えている人たちも、後悔させる自信がある。

「いまも全部のことについて怒っているわけではないけど、彼らが(強打者のブラディミール・ゲレーロの)英語が下手だって非難した時のことを忘れない」プホルスは言う。「彼は"俺はバットとだって英語で話す"って言ってた」

「だからネガティブな事を言うすべての人に、バットと一緒に言いたい。すごい年になるから、黙って見ていろってね」 

参考記事:Albert Pujols motivated to quiet critics in 2014 Bob Nightengale, USA TODAY Sports