今年のスプリング・トレーニングの試合で、ダルビッシュ有が最初に対戦した打者の名前が田中だったことを、信用してもらえるだろうか? 彼は田中賢介、招待選手の内野手である。そして冬の間に、彼の熱烈な争奪戦は起こらなかった。しかし月曜日に行われたテキサス・レンジャーズの最初の紅白戦の初回に、ダルビッシュが彼に投げたことは、何かが関係していると思わずにはいられなかった。
その場所とは2時間の時差があるスタインブレナー球場で、田中将大は新しい注目選手となっている。彼はヤンキースが、7年155百万ドルの契約を結び、加えて日本のチームに20百万ドルを支払った選手である。田中がダルビッシュと同じくらいの活躍をしてくれれば、ヤンキースは大喜びである。

「結果は求めていない」ダルビッシュが無失点で終える前に、レンジャーズのロン・ワシントン監督は言った。「彼がこの先、結果を出してくれることが分かっているからね」

ヤンキースは、田中がやってくれると信じている。しかし現在の彼らが望んでいる結果というのは、この凄さである。テキサスでの2シーズンでダルビッシュは、401イニングで498奪三振、被打率は.207で、打者が有利な本拠地にも関わらず防御率は3.34である。

昨シーズンのダルビッシュは、表面上は13勝9敗でアメリカン・リーグ・サイ・ヤング賞でマックス・シャーザーに続いたが、彼が1対0で落とした試合は4試合もあった。彼の277奪三振は、過去25年間で5人の投手しか達成してない。ノーラン・ライアン、ランディ・ジョンソン、ロジャー・クレメンス、ペドロ・マルチネス、そしてカート・シリングである。

「僕は自分のことを、日本でもアメリカでも、エリートだと思ったことはありません」ダルビッシュは、通訳を通して語った。「黒田さんとか、もっと良い成績だし、もっと経験があるし、よい結果を残している。岩隈と僕は、まだこっちに来たばかりだから。日本の投手の評判を、落とさないようにはしたいですね。今の日本人投手の評価を落とさないようにする、あるいはもっと高めたいと思っています」

ダルビッシュは、ヤンキースの信頼できる39歳の黒田博樹と、昨シーズンのア・リーグ・サイ・ヤング賞で3位に入ったシアトル・マリナーズの岩隈久志に言及した。ダルビッシュは、田中の名前を出さなかった。

先週ダルビッシュは、ヤンキースが田中にお金を「払いすぎ」と発言し、後でそれは冗談だと釈明した。彼は月曜日、今シーズンの田中に注目するのかと聞かれて、答えをはぐらかした。

「黒田さんのほうが、田中よりもぜんぜんカッコ良いじゃないですか」彼は言った。もちろん、冗談だ。

もしダルビッシュが、田中の前評判を好ましく思っていないのなら、それには理由がある。田中の契約と比較したとき、ダルビッシュの6年56百万ドルの契約はバーゲンである。彼は古いポスティング・システムのもとで契約し、交渉はレンジャーズに限られた。レンジャーズは交渉権に、51.7百万ドルを費やした。

ジョン・ダニエルズGMによれば、レンジャーズは2010年と2011年のダルビッシュの先発40試合を視察し、2年連続でア・リーグ優勝していたチームの現在、そして未来のエースになると考えた。

「25歳、6フィート5インチ、力のある球、賢い、そして両親の両方がアメリカの大学に通っていたというユニークなバックグラウンド、彼は比較的簡単に、こっちに適応できると考えた」ダニエルズは言った。「要するに、一流の素晴らしい球を持っている25歳が、うちのローテーションのトップになると考えたんだ。そんな選手を獲得するチャンスが、そうあると思うかい? 決してないよ」

ヤンキースが田中と契約したのも、同様の論理だった。田中もメジャーに来たのは25歳である。両方の投手ともに、良い投球フォームを持ち、そしてスプリッターを投げる。しかし田中は、ダルビッシュと同様に、コントロールに苦しむことになるだろう。

成績分析サイトによると、昨シーズンの防御率タイトルを争った81人の投手のうち、ダルビッシュよりもファストボールの割合が少なかったのは、2人だけだった。スコット・フェルドマンと、ナックルボーラーのR.A.ディッキーである。ダルビッシュは、そのスタイルを続けるだろう。

「彼はどの球でもストライクを獲れるし、何を投げてくるのか分からないんだ」レンジャーズの新しい一塁手プリンス・フィルダーは言った。「彼のすべての球は、よく腕が振れているし、わかりにくいんだ。強い球だし投げる場所も良い。打つには、難しい組み合わせだ」

昨シーズンの終りのダルビッシュは、疲労が溜まり腰に問題が出たことで、最後の3先発のすべては、6イニングにとどかなかった。彼はメジャーで完投したことがないが、一度9回2アウトで完全試合を逃すまで、投げたことがある。しかし昨シーズンの彼は、9位に入る投球数の多さだった。

打たれたのは17個目の三振を獲りに行った、その打席3球目の球だった。そしてワシントンによれば、チームはダルビッシュに、ファストボールのコントロールを高めて欲しいと思っている。しかしレンジャーズは、実際に不満を言っているのではない。

「彼は、投げ方をしっているから」ワシントンは言った。「それに疑いをもったことはない」

ダルビッシュは防御率を、ルーキーイヤーの3.91から昨年は2.83に改善した。彼によれば、もっとも大きな変化は、わずかに大きなボールの投げ方を学んだことである。しかし彼は、それを繰り返しの中で学んだ。

文化的なものは、ダルビッシュはスムーズに吸収したと言った。それはレンジャーズが、期待してたことである。1年目のダルビッシュには、日本生まれでカリフォルニア育ち、日本のチームで働いたことがあったスカウトのジョー・フルカワが通訳についた。レンジャーズの広報担当上席副社長のジョン・ブレイクは、松坂大輔がボストン・レッドソックスに来た時に、そこで働いていた。そして彼の両親のバックグラウンドで、ダルビッシュは、簡単にそうできるだけの英語を知っていた。

「1日目から彼は、英語でチームメイトや関係者と話しをしていた」ダニエルズは言った。「私たちと話しをする時に、彼は誤解がないようにしたいので、通訳を使っている。だけど日常会話とクラブハウスでは、彼は問題ない」

英語があまりできない田中は、違うマーケットの中で、違うチャレンジ、違うチームメイトに直面する。しかし投手としての彼とダルビッシュは、完璧な比較対象である。ダルビッシュは、ヤンキースがより高額で獲得した彼の、ベストケースのシナリオである。

参考記事:Rangers’ Darvish a Model of Success for Tanaka By TYLER KEPNER The New York Times