昨シーズン終盤、キャリアを脅かすようなふがいない登板をした後の松坂大輔は、通訳のジェフ・カトラー、そしてメッツのダン・ワーゼン投手コーチらと共に、ゴルフに出かけた。

それが、逆襲のきっかけとなった。彼らは投球に関するいろいろなことを話し、そしてある時にワーゼンは、松坂の投球フォームにいくつかの修正点があると提案した。
彼は受け入れた。そして数回のブルペンセッション後の、その成果は明らかだった。レッドソックスが100百万ドル以上を費やした男、日本からボストンへ来た2007年の彼に、より近い投球を見せたのだ。

ワーゼンが松坂に提案したのは、右足をプレートにしっかりと固定すること、投球モーションで左足を上げる時に、右足を伸ばした状態を保つことだった。

そうすることで松坂は、プレートをしっかりと蹴って回転力が上がり、そして傾斜をつけて投げることができるようになった。彼の足は横に滑り、そして曲がっていたのだ。しかし今は、よりバランスが取れていると感じている。彼はコントロールが良くなり、そして強く投げられるようになったようだった。

そして彼の変化球は、より鋭くなった。ワーゼンは、松坂のスライダーがより縫い目にかかり、スピンが増し、よりしっかりと曲がるようにした。そして彼のカーブボールは、手でしっかりと握るようにしたことで、ゾーンの高めに浮くことがなくなった。

ワーゼンがもう1つ松坂にしたのは、マウンド上での無駄な時間を少なくするために、投球間隔をスピーディーにすることだった。松坂は、投球の間に24秒かかっていたが、それは長すぎて、彼の投球に悪影響を及ぼしていた。彼はそれを12秒に縮めた。

その成果は、すぐに現れた。メッツでの最初の3戦発で0勝3敗、防御率10.95だった松坂は、シーズン最後の4先発では3勝0敗、防御率1.37になった。

その変化とワーゼンとの信頼関係が、33歳の松坂が保証がないマイナーリーグ契約でメッツの先発5番手を争う結果へとつながった。彼の一番の競争相手は、24歳のジェンリー・メヒアである。

松坂は、健康でしっかりとしたシーズンオフを過ごせたことで、そのチャンスに自信を持っている。

彼はいつもよりも早く、10月中旬からトレーニングを始めた。過去2年間は、2011年の6月に受けたトミー・ジョン手術の影響が残っていた。彼によれば、Tシャツを着たり、髪の毛を洗うといった日常の生活でも、肘に悩まされていた。過去2年間の冬は、リハビリに多くの時間を費やしたことで、レギュラーシーズンへの準備の時間が少なくなっていた。

今の松坂は、体が万全の状態で、問題なく練習とトレーニングができるようになった。もはや肘を気にすることがなくなった彼がすることは、キャンプに来ることだけだった。彼は東京からボストンへ一般の飛行機を利用し、その後は通訳のカトラーと伴に、ポート・セントルーシーまで約23時間のドライブをしてきた。彼らは1回しか休憩しなかった。

「次は、飛行機で来ようと思っています」松坂は言った。

それは、もっとも最近に日本からメジャーに来た日本人スター投手の田中将大の旅行計画とは大きな違いだった。ヤンキースと7年155百万ドルの契約を結んだ田中は、今月ニューヨークで行われた記者会見に向かうために、日本航空のボーイング787ドリームライナーを借りきった。フロリダ州タンパでの、田中のこの春初めてのブルペンセッションには、たくさんの日本メディアが集まり、彼の動きのすべてに注目していた。

ここで松坂を取材している日本人記者は、ボストン時代とは大きく違い、数えるほどである。当時の彼は、日本語と英語の2回の記者会見を行っていた。カトラーによれば、もし松坂がチームに加わることができれば、ニューヨークでのレギュラーシーズンでも、彼は2本立ての記者会見を続ける予定だ。

メッツのサンディー・アルダーソンGMが、1月に行われた野球記者の夕食会で、メッツはヤンキースのようだと冗談を言った時に、その違いを暗示していた。「今週私たちは、それぞれに日本人投手と契約した。彼らは155百万ドルで、私たちは月給払いだ」

テリー・コリンズ監督は、少なくともシーズンの初めには、5番目の先発に松坂のようなベテランを使いたいと示唆している。メヒアには肘の心配が残っており、健康であることをメッツに証明しなければならない。

そしてメッツには、R.A.ディッキーのトレードで手に入れたプロスペクトの21歳ノア・シンダーガードがいるが、彼は夏にコールアップされる可能性がある。

 トレーニング・キャンプで誰がその枠を勝ち取ろうとも、それは、その時までになるかもしれない。

先週シンダーガードと並んでブルペンセッションを行った松坂は、彼のとなりではやりたくないのではと冗談で聞かれた。6フィート6インチあるシンダーガードは、6フィートの松坂を小さく見せ、 彼の97マイルのファストボールは、松坂の球を遅く見せる。

「彼は避けたい」松坂は、笑いながら言った。

現在のコリンズとワーゼンは、松坂に注目している。彼は安定していて、シャープで、そして彼は、よりシャープになることを目指している。

「昨年終盤の彼のように見える」キャッチャーのアントニー・レッカーは言った。

ワーゼンは、もう少し前向きだ。

「体の芯が、より強くなっている」ワーゼンは語った。「彼の足は、とても締まっている。彼の腕の振りは、とても速い。今の私が見ている限りでは、彼の球速は、昨年のいつよりも速いよ」

参考記事:Turnaround Has Matsuzaka in Hunt for No. 5 Spot in the Mets’ Rotation By TIM ROHAN The New York Times