ビデオ判定の適用範囲が拡大されることが、四半期に一度のオーナー会議で満場一致で承認され、メジャーリーグ選手会と世界審判協会が署名した木曜日、野球が劇的に変わることが決定した。

「これは、本当に大きなことです」バド・セリグ・コミッショナーは、その発表をした後に発言した。「私たちが行ったこの変更を、私は誇りに思っています。そしてなぜ私が、それを誇りに思っているのかお話します。それは皆さんがご承知の通り、試合の邪魔にならないからです。そう、いくつかの変化は起こるでしょう。しかしMLBアドバンスド・メディアと私たち自身の技術、その他のお陰で、私たちはそれを実現することができました」

彼の時代に成し遂げた成果の中で、これはどの位置にランクされるのかと聞かれたセリグは、「そのランクはとても、とても高い」と返答した。

これまでビデオ判定は、本塁打に関する境界の判定のみに許されていた。それは審判の判断で行われ、彼らはリプレー画像を見るためにグラウンドを離れ、その後戻ってきてから、判定を発表していた。

今シーズンの始めから、各監督は、1つのチャレンジ権を持って試合を始めることになる。もしチャレンジの結果が認められれば、チャレンジ権は消費されないが、1試合で2回までしか使うことができない。もし監督が、7回が始まるまでにチャレンジ権を使いきってしまう様なことがあれば、彼は運から見放されているので、その試合の戦略を見直す必要があるだろう。7回表以降は、責任審判がビデオ判定を行なうのかの権限を持つ。

殿堂入り監督のジョー・トーリ、そしてブレーブスのジョン・シューホルツ社長と一緒に委員会で尽力した殿堂入り監督のトニー・ラルーサは、監督が試合中にしなくてはならない他の決断と似たようなものであると言った。

「私たちは、(12月にフロリダ州のレイク・ブエナ・ビスタで行われた)ウィンター・ミーティングで監督たちに、"試合では、難しい決断がある。それは君たちの仕事だ。もしこのことで悩むのなら、君は仕事を間違えている"と話した」ラルーサは言った。

「8回にクローザーを使うかい? もっとも良い例は、ピンチヒッターだ。私がブレーブスにいたとして、その日にチッパー・ジョーンズが、プレーをしていない。彼はそこに座っている。この武器が残っている。彼を6回に使うかい? それとも7回? 9回になったけど、使う状況ではない。クラブハウスに戻る。そして彼は使わなかった? でもそれは、ベストを尽くしただけだ。それが現実だ。このチャレンジ権というのは、自分たちに不利な判定となった、試合を左右するプレーのためにあるんだ」

そして球場にいる関係者は、判定をしない。すべてのビデオ判定は、ニューヨークのMLBAM本社のリプレー・コマンドセンターで行われる。2人の補助員を加えた4人の審判員がそこに配置され、ビデオ映像を確認する審判員は、交替でニューヨークに行くことになる。すべての球場には、ホームベース付近に連絡場所が設置される。そこで責任審判と最低1人の審判員が、有線で繋がれたヘッドセットでリプレー・コマンドセンターと連絡を取ることになる。ニューヨークのリプレー判定員の決定が、最終的なものになる。

もうひとつの大きな変更は、球場のビデオボードで、チームがこれらの際どいプレーを含めたリプレーを見ることができるようになることだ。

「ファンは、喜んでくれるだろう」セリグは予言した。「これまでは、家で試合を見ていると、全部のリプレーを見ることができた。そして球場にいると、リプレーは見ることができなかった。これは間違いだった」

チャレンジ権の回数を決めたのは、1つは試合のペースに対する懸念で、もう1つは、その回数で十分だという確信によるものだった。

「試合でミスジャッジとなった影響の大きなプレーの数々を私たちが確認して、統計的にはそれで十分だった」シューホルツは言った。

そしてトーリは「試合のリズムを考えたら、チャレンジの回数を制限することが必要であると、全員が考えたんだ。リプレーを取り入れるために、どれくらいの犠牲を払うのが良いのか、私には分からない。私たちはここから始めて、もし何かを修正する必要があれば、もちろんそれを検討する。他のことと同じ様に、もし何かをより良くしようと思うのなら、もちろんその方向に進めていく」と付け加えた。

本塁打、エンタイトルツーベース、ファンの妨害、ライン際の判定、一塁の判定、ホースプレー、タッチプレー、外野でのフェアとファウルと直接捕球の判定、デッドボール、タイミングのプレー、ベースへのタッチ、走塁、ボールとストライクのカウント、アウト、スコアの判定を含む、約90%のプレーで見直すことができるようになる。走塁妨害と守備妨害を含めた他のすべてのプレーは、ビデオ判定の対象にならない。

ビデオ判定を求めるには、監督はその意図を、速やかに審判に口頭で伝える。チャレンジは、同一プレーの複数の動きを含めても良いが、それは訴えの中で、それぞれを明確にしなければならない。

もし監督がチャレンジ権を行使したいのであれば、チャレンジは、できるだけ冷静に、そして「速やかに」されなくてはならない。

チームは球団の職員にビデオをモニターさせることができて、チャレンジをする、しないに関わらず、監督と連絡を取ることができる。本拠地、そして遠征先のチームは、同条件ですべてのビデオにアクセスできるが、他の電子機器は使うことができない。カメラアングルは、すべての球場で標準化される。

これは、将来的にさらなる微調整が予想される進行中の仕事であると、シューホルツは初めから強調している。

「これは歴史的であり、そしてとても複雑だといえる」シューホルツは言った。「私たちがしていることはいつも、玉ねぎを1枚ずつ剥いているのと一緒で、より難しいことが見つかるんだ。私たちが前回このことについて話をした時から、最終的になったものに変更があったのは、それが理由だ」

「これは始まりであって、素晴らしい大きな一歩なんだ。これは3段階になっている。私たちは1年後、2年後、そして3年後に見直して、人間ができる限りの完璧さに近づけていくつもりだ」

MLB選手会のトニー・クラーク常任理事は声明で、選手もまた、この新しいシステムがどのようになるのかに、注意深く注目していくと言った。

「選手は、今シーズンよりビデオ判定の範囲が拡大されることを、楽しみにしています。そしてより将来的にこのシステムを使う話し合いをするまでに、この影響をしっかりとモニターしていきます」

参考記事:Expanded replay approved, to begin this season By Paul Hagen / MLB.com