アレックス・ロドリゲスについて、みんなが何と言おうと(確かに今は、言われることはたくさんあるが)、彼はその年齢でありながら、ヤンキースが使うことができる中でベストな三塁手だった。

A-Rodが、とてつもなく高額な選手だったお陰で、ヤンキースは彼のフルシーズンの出場停止で25百万ドルの年俸が浮くことになった。それは38歳のロドリゲスが、普通に考えて打撃や守備で貢献できたであろうことよりも、成功を望む2014年のヤンキースにとっては、ほとんど疑いようがないくらい前向きなことである。

土曜日に伝えられたそのニュースによってもたらされた財政的な余裕は、ヤンキースが田中将大、そしてもしそれが上手くいかなかった場合には、ウバルド・ヒメネスかアーヴィン・サンタナ、あるいはマット・ガーザに対して、より積極的に動くチャンスを与えることになる。常勝が求められるヤンキースにとっては、例え贅沢税の問題があっても、ローテションがもっとも大きな懸念材料であることに、疑いはない。

加えて、特に三塁を始めとした内野全体もまた、とても大きな懸念材料であることに間違いはない。

A-Rodに対する処分の決定が遅れたことは、結果的にヤンキースがトップクラスの先発投手を獲得する妨げにはならず、同時に田中のポスティングが遅れて、ドラフト指名権が関係するヒメネスとサンタナの所属先探しが進まないこともヤンキースにプラスに働き、結果として内野が、彼らの唯一の問題点として残った。

レギュラーのショートであるデレク・ジーターは39歳で、昨年はわずかに73打席しか立つことができず、彼の治癒した足首の問題は、すでに限定的だった守備範囲に影響を与えるかもしれない。攻撃陣では、一塁手のマーク・テイシェイラが34歳のシーズンを迎えることになるが、2013年の彼は63打席しか立つことができず、最近の5年間のOPSは下がり続けている。これらのことは、みんなが知っている。

つまり私が言いたいのは、内野に確実な上向きの要素がないことである。

冬の間のヤンキースは、資金を使いまくり、キャッチャーにはブライアン・マッキャン、センターにはジャコビー・エルズベリーと、要となる2つのポジションに平均以上の戦力を加える事ができた。

彼らはさらに、カルロス・ベルトランを加えた。彼はシアトルにさらわれたロビンソン・カノによる攻撃力の全てを補うことはないだろうが、爆発力と存在感を証明するだろう。

そしてヤンキースには、有り余るほどの外野手とDHタイプの選手がいる。そこにはベルトラン、エルズベリー、、ブレッド・ガードナー、アルフォンソ・ソリアーノ、そしてイチローがいるが、彼らがブルペンを6人体制(その可能性は低い)にでもしない限り、それはロスターに十分な柔軟性を保つ上では解消する必要がある。バーノン・ウェルズを追い出したが、キャリアのこの時期には控え選手がベストであるイチローの、その場所を確保することでさえ増々難しくなった。A-Rodの2014年の年俸が消えたことは、6.5百万ドルの契約を残すイチローを他の選手と交換する、あるいは放出する時に避けられない金銭的負担を、ヤンキースが受け止めることが可能になるかも知れない。

どっちにしろ内野の問題は残り、それは、その状況を解消しようとするブライアン・キャッシュマンとその仲間の努力に掛かっている。それは今ではなくても、シーズン中に起こる可能性も残る。

現在のヤンキースには、三塁手の選択肢はチーム内に多くあるが、どれも魅力的ではない。

日曜日にMLB.comが伝えたように、もっとも可能性が高いのは、そのポジションの経験が比較的少ない32歳のユーティリティ選手のケリー・ジョンソンを、そこに充てることである。メジャーリーグでジョンソンは、二塁手として800試合以上、そして外野手として132試合に出場しているが、三塁手としてはわずかに16試合の出場しかなく、それはすべて、昨年いたレイズでのことだった。彼の身体能力で三塁手が務まるのかという心配は必要ないが、どのポジションであっても、彼がレギュラーの器なのかという疑問は残る。結局のところ彼の最大の価値というのは、複数のポジションができるというその器用さなのだ。それにベストであっても、彼は平均的な打者である。

ジョンソンは、守備に難があるエデュアルド・ヌネスよりは良い選択肢だろう。最近加わったブレンダン・ライアンは(少なくともショートでは)最高の守備だが、打撃はあまりにも弱く、控え選手以上ではない。

現在のヤンキースは、内部からの起用を考えているというのを、すべての兆候が示しているが、それは状況を考えれば当然のことである。その上で彼らは、二塁手にブライアン・ロバーツを加えた。彼はかつての脳しんとうの問題からくる懸念を払拭するチャンスである。

そう確かに、ここまで話したように、内野は落ち着かない状況である。そしてエルズベリーとベルトランを加えながら、これからの数か月の間のいつかの時点で動くことなく、アメリカンリーグ東地区のタイトルを狙うための努力をしないと考えるのは、難しいことである。内野は高齢でケガが多く、信頼できるほどの上向きの要素が欠けているのだ。

ヤンキースが、さらにロスターを動かすのかは、彼ら自身の問題である。そしてイチローの状況は、注目に値する。私は、しばしば浮上するが実現しないレッズのブランドン・フィリップスの可能性を、両チームは本当に考えていると思う。しかしフィリーズの難解な契約が、それを難しくしている。ロドリゲスの状況が変わった時の予想をするのは、ヤンキースがその資金をどの様に使うのかが、まだ分からない中で難しいことである。

予想としては、彼らはそれを田中、あるいは他の選手につぎ込むだろう。そしてそれが、2013年にケガに悩まされたことから復活するヤンキースに残ったもっとも必要なことであることに疑いはない。

しかし内野が、必ず必要な場所であることも断言ができる。すぐにではなくても、いずれはそうなるだろう。

参考記事:After A-Rod suspension, infield a concern for Yanks By Anthony Castrovince/MLB.com