私が話をするほとんどの球界関係者は、マサヒロ・タナカの獲得競争が、1月24日のデッドラインまで続くと見ている。つまりその国際的な感心事を、私たちが詳細に吟味する時間は残り2週間少々である。

日本から来る次のスター選手候補についてより良く知るために、最近私は、過去5年間にタナカを間近で見てきた人物に話を聞いた。

2006年〜08年の3シーズン、ヤンキースに在籍していたダレル・ラズナーは、ここ5年間は日本のパシフィック・リーグ、楽天ゴールデンイーグルスでタナカのチームメイトだった。昨年ゴールデンイーグルスのクローザーだったラズナーは、9月にシーズン絶望となるトミー・ジョン手術を受けるまでに17セーブを挙げた。ネバダの自宅でラズナーは、タナカに対する経験に基づいた彼の考えを語った。

聞き手:昨年のタナカが、24勝0敗だったのはみんな知っているけど、彼はどれくらい良かった?

ラズナー:彼は本当に凄かったよ。彼のことを正確に説明できる言葉が見つからないくらい。見ていて本当に楽しかった。去年の彼の投球を見て、大ファンになったよ。彼は特別な投手なんだ。投手の中には、特別なギアを持っている人がいる。僕はそれを持っていなけど、彼らはトラブルになった時にギアを入れ替えて、本気で投げてアウトを獲りに行くし、それは見ていて本当に楽しいんだ。

僕が彼を見て思ったのは、彼は本当に粘り強い。日本で彼は実績があるし、ほとんどの時は打者に対して気楽に投げている。彼はマウンドで、70%の力でアウトを獲る。彼は本当に特別だし、彼を見ているのは最高に楽しいよ。

聞き手:彼が特別なギアを持っていると言うけど、彼は大切なアウトを獲る時に3〜4マイル上げるってこと?

ラズナー:10マイルくらいだよ! 普段の彼は88〜89マイル、それか90〜91マイルくらいで投げるけど、必要になると98〜99マイルに跳ね上がるんだ。僕は去年、実際にそれを見ているし、そのうちの1回は本当に凄かった。その時の彼は8回か9回で140球を投げていて、三振が必要な時になったんだ。そうしたら、90マイルだったのが98〜99マイルになって、三振を獲った。彼の精神力と投球術、そしてその若さを思えば、見ていて本当に印象的だった。

聞き手:彼はまだ25歳だ。あなたは彼を5年間見てきたけど、彼はどんなふうに成長したの?

ラズナー:彼は最初からずっと素晴らしかったし、特別だった。だけど去年の彼は、クイックで投げたり球のスピードを変えたりして、打者のタイミングを外すことを覚えたんだ。彼は今の自分に、自信を持っている。彼のことを見るのはいつも楽しいけど、去年は特別だった。

聞き手:私が話したスカウトは、彼のファストボールのコントロールは、単に「良い」のではなくて、「素晴らしい」って言っていたけど、それは当たっている? 

ラズナー:確かにそうだ。彼はコーナーに投げることができるし、1インチや2インチだけ外すこともできる。おそらく彼は、2つの球種でアウトを獲ることができる。ほとんどの日本人投手は、ユウ・ダルビッシュのように、12種類もの球種を持っている。キャッチャーは、そんなに指がないよね? 個人的には、今の彼はいつでもメジャーリーグの打者からストライクを獲ることができる球を4つもっていると思う。

聞き手:彼にはファストボールとスプリッターがあるって聞いているけど、他には何があるの?

ラズナー:彼は他に、カーブ、スライダー、シンカー、チェンジアップを投げる。彼は多くの球種を持っているけど、その中で特に良い4つの球種に制限しているのは、投手コーチの判断だ。そして彼はそれでも通用するし、コーチもやりやすいんだ。

聞き手:昨年の彼が負けないのを見ていて、どんなだった?

ラズナー:僕はここ数年ブルペンにいるんだけど、彼が投げている時は、ボールを渡してくれないんだ。僕はクローザーだったけど、彼が投げた時はほとんど毎回お休みだった。彼はエースだから、ブルペンを休ませてくれたんだ。彼はいつでも、僕たちと交替することもできたけどね。チームが絶対に負けられない時は、彼が投げ続けた。だから言ったように、ブルペンは休みのようなものだった。僕たちは、彼がマウンドに上って9回を投げれば、勝てるってことを知っていた。

聞き手:長い間タナカと一緒にいて、彼の性格や振る舞いはどうだった?

ラズナー:彼は良いチームメイトだよ。最近の2年くらいは、彼が英語を勉強しているのを見たし、ほんとうに熱心だった。彼は僕たち外国の選手(2013年の楽天にいたのは元ヤンキースのアンドリュー・ジョーンズとケイシー・マギー、もとフィリーズ/アストロズ/ロイヤルズの投手ブランドン・ダックワース)とも仲が良かった。英語を勉強しながら、日本語を話さない選手とコミュニケーションを取ろうとするなんて、いいやつだよね。クラブハウスでは楽しい男だし、素晴らしいチームメイトだ。プロ意識も凄く高いし、良いハートを持ったすべてが良い男だ。

聞き手:彼の性格は、ニューヨークにフィットする?

ラズナー:僕は大丈夫だと思う。ニューヨークは、ファンの目が厳しいところだけど、彼は日本中で注目されながらプレーしていたから、ニューヨークもそんなに苦にならないと思う。僕は彼に、ヤンキースのような大きなマーケットのチームに入って欲しいと思っているし、そうなればもの凄いことになると思う。

聞き手:なら彼は、メジャーでも成功すると思う?

ラズナー:24勝0敗なんて、誰もができることじゃない。メジャーリーグなら、なおさらね。良い打者がたくさんいるし、調子が悪い日だってあるはずだ。僕が思うに、彼の精神力とハートの強さ、そして彼の生まれついての粘り強さがあれば、調子が悪い時でも、多くの試合で彼は勝つことができるだろうね。繰り返すけど、彼は素晴らしい球を4つも持っているんだ。彼の球は、おそらくユウ・ダルビッシュほど衝撃的ではないし、ダルビッシュほど、体格に恵まれてもいない。だけど彼は若いし、投球の仕方を知っている。彼はどこに投げれば良いのか、そしてスピードを変えることを知っている。打者のタイミングをずらすために、そういうことをできるあんなに若い投手は、あまりいないと思う。彼は活躍できると思う。

聞き手:アメリカと日本で使っているボールに違いがあるって良く聞くけど、それは本当?

ラズナー:ボールは違う。メジャーリーグのボールの方が滑るし、すこし大きい。なぜかは知らないけど(日本のボールは)、グリップする。だけど(タナカは)、メジャーリーグのボールでキャッチボールをしているし、ブルペンでもメジャーリーグの球で投げている。個人的には、彼にはそれは、大きな問題にはならないと思う。彼の強い闘争心は、他の選手から何か言われるかもしれないけど、彼はそれを乗り越えるだろう。

今回のことは、彼が本当に望んでいることで、僕は彼がそのチャンスを得て嬉しいよ。あっちでの彼は、もう何も証明する必要がなかったから、面白くなかったんだと思う。だから彼にとっては、素晴らしいチャレンジだと思う。

聞き手:ヤンキースファンは、今でもケイ・イガワの失敗を覚えている。あなたはニューヨークと3Aでイガワと一緒だったけど、彼らはどう違う?

ラズナー:ケイは、軟投派の左腕で、タナカはパワーピッチャーにもなれる。彼は両方ともできる。僕はケイとは、一緒にプレーするまで、グラウンド外の彼は知らなかった。タナカのことは知っているし、彼の闘争心も知っている。その闘争心だけを取っても、僕はタナカが活躍すると信じている。それに彼の野球に対する心構え、それはとても、とても大きなことだと思う。

聞き手:日本シリーズでタナカは、6戦目で160球を投げて、7戦目はブルペンから登場してセーブを挙げた。それはとても多い投球数だし、高校生の時の投げすぎも、今のこっちでは懸念されている。あなたもそう思う?

ラズナー:そうだね。そのことは、僕も心配したんだ。いつも彼に、投げる量を減らせって言ってた。だけど日本の人たちは、そうは考えないんだ。彼の体の大きさは他の日本人選手とは違うから、その影響は少しは小さいと思う。だけど投げ過ぎの心配は確かにある。彼らについて知っていることの1つは、特にタナカは、彼は投げたくて、投げ続けたくて、彼からボールを取り上げるのは本当に大変なんだ。コーチや球団から見れば、そういう選手が1人いると助かるだろうけど。でもそれは過去のこと。彼は、アメリカの体力強化のプログラムを受けて、より計画された投球をすることになるんだ。今の彼の体の大きさと強靭さなら、それも上手にできると思う。

ラズナーはタナカを表すのに、数回「粘り強い」という言葉を使った。あるメジャーリーグ球団の幹部も、タナカを評価する時にほとんど毎回、同じ単語を私に使った。

他のメジャーリーグ球団の幹部は、タナカの投球数は懸念しているが、もしMRI検査でダメージを見つけても、彼の獲得を諦めることにはならないだろうと認めた。「彼の肩と肘に問題がある可能性はあるが、もし彼が大丈夫だと言うのなら、MRIではなく、彼を慎重に扱わなくてはならない。もし彼が、これまでにケガをしていたり、先発を飛ばしたことがあったのなら、話は違っただろうけどね」

同じ幹部は、投球数や違うボールへの適応、文化的な適応などはすべて「チームが値段を下げるための口実に過ぎない」とし、タナカが120百万ドル以上の契約を簡単に勝ち取るだろうという多くの人の予想は覆らないだろうと指摘した。

参考記事:Sweeny: Rakuten Teammate Raves About ‘Bulldog’ Tanaka Sweeny Murti CBS New York