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このシーズンオフの足かせとなっているは、実質的にはフリーではない最高のフリーエージェント先発投手、楽天ゴールデンイーグルスの田中将大の状況である。その25歳の日本のスーパースターは、チームを初めての日本シリーズチャンピオンに導くと同時に、24勝0敗と燦然と輝く1.27の防御率を記録してシーズンオフを迎えた。

田中がMLBへ旅立つ最初の障害となっているのが、メジャーリーグと日本プロ野球のポスティング・システムに関する協定が失効したことである。そしてそれは、解決に向けた最終段階にあり、来週MLB実行委員会が、MLBとNPBの間の新しい取り決めを承認するだろう。

その協定は、日本人選手とメジャーリーグのオーナーを含めた多くの人たちにとって良いものである。この取決めの敗者は、ポスティング・フィーの最高額を20百万ドルにすることを飲まされた日本のチームのオーナーたちである。そして楽天ゴールデンイーグルスのオーナー、ヒロシ・ミキタニほど不満を持つ人間はいない。ミキタニのイーグルスは、MLBとNPBの新しい案に反対票を投じた唯一の日本のチームである。

ミキタニは、この取決めに合意した日本の他の11チームのオーナーたちに怒りを露わにしたと、NPBにコネクションを持つ友人は、私に教えてくれた。これまでの日本のトップクラスの投手は、50百万ドル前後のポスティング・フィーをもたらしてくれた。チームに直接支払われるそのお金は、彼らのもっとも価値がある商品の権利を、MLBに売り渡す代償である。田中のそれは、60百万ドルから70百万ドル程度の可能性が噂され、ポスティング・フィーの最高記録になると見られていた。今回の新しい協定は、これらの金額を消し去った。もしポスティングをしても、イーグルスが田中で受け取ることができるのは、代わりに20百万ドルとなる。

ミキタニは、興味深い人物である。彼は日本をベースとするeコマースとインターネットの会社である楽天株式会社を設立した。2012年のその会社の収入は43億ドルで、彼の総資産の概算は60億ドルを超えると伝えられている。彼はハーバードからMBAを受け取っており、その会社は東京に本拠地を構えながら、英語を公用語にすることを進めている。それは彼の米国での経験が、マサヒロ・田中にも経験させたいと思うほどの素晴らしいことであったことを物語っている。

ミキタニとイーグルスの球団社長ヨーゾー・タチバナの、新しいポスティング・システムの協定に対する最初のリアクションは怒りで、彼らのエースをポスティングしないことに言及した。イーグルスは、田中の価値に見合わない金額で、MLBが彼をさらっていくのを許す必要はないと感じている。しかしほとんどの人たちが、この話を無視しており、最終的には田中がポスティングされるだろうとう憶測がある。

多くの日本人選手と同じように、田中は米国で投げたいという希望をずっと持っていた。それはお金だけの問題ではないが、彼の移籍を許すことは、世界でもっとも高いレベルの争いにつながる。そして田中は、2015年シーズン後に完全なフリーエージェントになる前に、'14年シーズン後は国内フリーエージェントとなる。

NPBでは、国内フリーエージェントになるまでには8年、そして完全にフリーエージェントなるまでは9年かかる。それはもしイーグルスがポスティングしなければ、彼は2015年シーズンを前に、どの日本のチームでも自由に移籍できることを意味する。

これまでの合意では、紳士協定として、田中は2013年シーズン後にポスティングされるはずだった。そのタイミングは正しい。彼は国内フリーエージェントまで1年で、その価値がさらに高くなることは考えにくい。イーグルスは、これまでのポスティング・システムが存続すると仮定していたに違いなく、それによって、これまでで最高額のポスティング・フィーを受け取るつもりだった。彼らは、およそ60百万ドルから70百万ドル近辺のお金を受け取るとことで、田中が夢を追うことを快く許すはずだったのだ。 

もしイーグルスが言葉通りに行動し、今MLBが田中を獲得することを許可しなければ、彼は2014年シーズン終了後にほぼ確実に移籍し、あと1年を他の日本のチームでプレーして、'15年シーズン終了後に27歳と本当に脂が乗った時期に、フリーエージェントとして米国にくる可能性が高い。

技術的には、彼が国内フリーエージェントになる前の2014年シーズン後に、イーグルスがポスティングすることは可能である。しかし考えてみれば、もし彼がその時にそうするのなら、なぜより多くを得ようとしないと言えるだろうか? フリーエージェントになれば、今シーズンオフに彼をポスティングするという約束を破ったチームとお金を分け合うことなく、彼自身の価値に見合った金額の全てを受けることができるのだ。

ここに、なされるべきのより賢いビジネスの決断がある。自分の力で億万長者になったミキタニは、ハーバード卒で、ファイナンスの世界では天才である。彼は商品の価値と、それを売る時、あるいは売らない時を分かっている。彼の資産であるマサヒロ・田中の価格はこの冬、およそ65〜75%も急上昇した。そして今の彼の価格は20百万ドルだが、それはこの先に上昇しない。

公の場でタチバナは、田中と話しあうと発言した。そして彼の期待は、田中が日本に留まることを望んで、彼らのエースがポスティングされるのかについての話題を終わらせることである。私はタチバナが、新しいポスティング・システムに対する不満をイーグルスと同じくらい田中が持っていることを望んでいると信じている。しかし私は、そうなると思わない。田中の希望は変わっておらず、この取引きでチームに財政的な不利益が生じて、それが彼のポケットにより多くのお金が入ることを意味しても、彼がそのことを気にしているとは思わない。

田中は、代理人について明確にしていないが、この手続について代理人を賢く使っている。そして彼の代理人は、新しいポスティング・フィー制限によってイーグルスが受け取る金額が減っても、MLBチームは喜んで君にお金を払うと、間違いなく話して聞かせるだろう。

ミキタニは最終的に、MLBとNPBが決めたものを受け入れ、田中のポスティングを認めるだろう。彼は頭の良いビジネスマンで、上場されている楽天の株主でもあることがその答えである。20百万ドルは、60百万ドルよりは少ないが、0ドルよりは多いのだ。このことは、ハーバードに行かなくても分かることである。

参考記事:Despite agreement, Tanaka undoubtedly will be posted By C.J. Nitkowski/MLB.COM