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今シーズンオフ、フリーエージェント投手の中でも飛び抜けて優秀だと考えられている日本人エースのマサヒロ・タナカを取り巻く不確実な状況は、彼が最終的に契約するチームに関係するポスティング・システムの問題によって、代理人を狙うエージェントから、契約を望むチームといった球界全体を混乱に陥れている。

タナカが球界史上、海外からやって来る最も高額な選手になるだろうということは、それらのすべての人たちの同じ意見である。

今シーズンの東北楽天ゴールデンイーグルスで、24勝0敗、防御率1.27を記録したその25歳の右腕の状況は、日本のプロ野球からメジャーリーグに移籍する選手が利用してきたポスティング・システムの協定期限が切れたために、流動的な部分が多く残っている。両リーグの複数の情報源によれば、NPBが最も優秀な選手を失うことに対しての適切な補償を望んでいることに対して、MLBはその選手が所属する日本のチームへの支払額を減らしたいと望んでいることから、交渉がほとんど進んでいない。入札に勝利したチームは、選手との独占交渉権のためにポスティング・フィーを支払う。もし彼らが契約に至らなかったら、そのお金はNPBチームからMLBチームに返却され、その選手は日本へ戻ることになる。

資格を持つ選手に非公開の入札を行なうポスティングは、通常なら本日から利用できるが、情報源によれば、交渉が難航しているので遅れる見込みである。フリーエージェントとの交渉が火曜日にオープンとなった中で、タナカを取り巻く不確実さは、特に彼に入札を予定している資金が豊富なチームの、マーケットでの動きの足かせになる可能性がある。ヤンキース、ドジャース、カブス、そしてジャイアンツや他のチームの多くがタナカを狙っている。そして彼らの存在も、全国放送やローカル放送との契約、そしてMLBのネットビジネスの成功によって巨額の資金を得た他チームを、尻込みさせることにはならないと見られている。

それはタナカの入札に使うお金と他のインセンティブに関係がある。彼の獲得は、クオリファイ・オファーを受けたフリーエージェントと契約した時の様にドラフト指名権を失うこともなければ、入札金はMLBの贅沢税の対象にもならない。つまり総年俸を189百万ドル以下に抑えようとしているヤンキースのようなチームの妨げにならないのだ。事情通によればヤンキースは、システムがどうなろうと関係なく、テキサス・レンジャーズがユウ・ダルビッシュに費やした51.7百万ドルを超える金額でタナカに入札することで勝利を狙っている。

あるナショナル・リーグの有力チームの幹部は、ポスティング・フィーだけでも1億ドルに届いてもおかしくないと予想し、他の幹部たちは75百万ドル近辺になると見ている。しかし選手を獲得したいというMLBチームの努力の結果であるポスティング・フィーの金額は、それを少なくするために提案されている新しいシステムの影響を受けるかもしれない。

提案されているその案では、入札で勝利したチームが支払うのは、その金額ではない。変わりにその金額は、最高額と2番目の額の間、ある情報源はそれは真ん中であり、交渉に参加しているある人物は、真ん中辺りのどこかであると言った。そしてその割引された金額で、最も高い金額を入札したチームは、選手との交渉権を得る。例えばダルビッシュにレンジャーズは、2番目の入札金額よりも20百万ドル近く高く入札した。結局の所、その入札と56百万ドルの契約は、今シーズンのアメリカンリーグ・サイ・ヤング賞投票で上位に入ると予想されるその27歳にとっては、とてもお買い得だったように思える。

多くのスカウトや球団幹部が、6フィート2インチ、200ポンドのタナカは、球界でも5本の指に入る先発投手であるダルビッシュほどではないと評価していても、彼の獲得にかかる総額は、楽に125百万ドルを超える可能性がある。球界でも屈指だと考えられている92マイルのファストボールとスプリットフィンガード・ファストボールの組み合わせをもつタナカのレパートリーは、メジャーリーグでも通用するに違いない。フリーエージェントのトップ5が、1年契約が予想されるヒロキ・クロダとバートロ・コロン、ムラッ気があるウバルド・ヒメネス、安定性に欠けるマット・ガーザとアーヴィン・サンタナと壊滅的な中で、ダルビッシュの成功が、ダイスケ・マツザカとケイ・イガワの失敗をチームに忘れさせて、タナカに有利な状況となっている。

タナカの代理人の状況がはっきりしないことから、彼の契約がどれくらいの金額になるのかも、激しい憶測を呼んでいる。彼と接触を試みたことがあるエージェントによれば、楽天はプレーオフの間、タナカをほとんど隔離しており、チームは英語を話せる担当者を公式に対応させている。タナカを狙うこれらの人たちは、彼がエージェントを雇うスケジュールは不明確で、彼がすでにどこかと契約をしていて、シーズン後に正式にポスティングを表明する時に発表するのではないかと危惧している。

より選手のためになるポスティング・システムが完成するまで、タナカの話題はおあずけになるかも知れない。しかし投手のケガのリスクと絶望的な先発投手のマーケットという状況の中でポスティングを実施して、棚ボタのポスティング・フィーを受け取ることが楽天の望みであると事情通は言った。タナカは、日本の9年間という保有システムのおかげで、2015年シーズンが終わるまでフリーエージェントになることはできない。

タナカは7シーズンで、99勝35敗、防御率2.30、そして1,315イニングを投げて1,238奪三振、与四球は275である。今年の彼は、プロ野球の連続勝利記録を作った。彼が最後に負けたのは2012年8月19日で、彼の今シーズン最後の先発は、日本シリーズが決まる可能性がある土曜日である。

参考記事:Japanese ace Masahiro Tanaka will make historic money but questions abound By Jeff Passan Yahoo Sports