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トロントでのムネノリ・カワサキの時間は、少なくとも現時点では、終わりを告げた。しかし火曜日夜のブルージェイズのクラブハウスには、事前にそのような雰囲気は存在しなかった。

レイズに5対1で負けた試合後にカワサキは、ホセ・レイエスの場所を空けるために、3Aバッファローに送られた。表面上は普通の入れ替えだが、クラブハウスの中では、それ以上のものだった。

ブルージェイズのジョン・ギボンズ監督は、試合後にミーティングを開き、球団の決定をチームに伝えた。それはとても珍しいことだが、これまでの誰よりも選手とファンに愛された選手に対しては、むしろ当たり前のことだった。

「これは嫌なことだけど、野球の一部なんだ」ブルージェイズの先発投手のマーク・バーリーは言った。「ファン、そしてここにいる選手、みんなが彼のことを大好きなんだ。彼がきて、みんなが彼のすべてを気に入って、もっとそうなるはずだった」

「彼のことは大好きだし、素晴らしい男だ。これまでに会ったことがないようなね。チームミーティングのことは、あまり話したくないんだけど、ギビーがみんなを集めて、彼が降格するって伝えたんだ。そんなの見るのは初めてだよ。ふつうは次の日に来て、その選手のロッカーを見て、"ああ彼は降格して、こいつがやってきたんだ"みたいな感じなんだ」

ブルージェイズが、4月中旬にバッファローからカワサキを昇格させた時、彼は左足首を捻挫したレイエスの短期間の代わりだと考えられていた。 アレックス・アンソポウロスGMは、球団の外からの補充を考えていることを隠しもしなかった。しかし日が経つに連れて、彼の考えは変わった。

カワサキは、グラウンドでのプレーで、ファンと球団の見方を変えた。60試合で打率.225、9本の長打と、その成績は最高からは程遠いが、彼の素早い動きと明るい性格は、彼を特別な人間にした。

そしていくつかの、忘れがたい素晴らしい瞬間もあった。彼は5月下旬のオリオールズ戦でさよなら二塁打を放ち、そして今月始めのボルティモア戦の7回にはキャリア初となるツーランホームランを放って、ブルージェイスの勝利に貢献した。

「2か月の間、良いファンと最高のチームメイトに恵まれました。僕には、最高の経験でした」カワサキは、通訳を通して語った。「ファンと選手の全員に感謝しています。彼らは2か月間、僕を助けてくれました」

「ファンと選手に受け入れてもらえたことが、本当に信じられません。変な日本人がここに来て、それを受け入れてもらえたのは、信じられない経験です」

トロントでのカワサキの活躍がありながら、レイエスの復帰の準備ができれば、彼が押し出されるであろうことは、ここ数週間で明らかになっていた。チームは、ブルペンを7人体制にする選択肢もあったが、その代わりにカワサキをバッファローに送った。

32歳の彼は、シーズンオフに日本に戻る選択肢もあったが、ブルージェイスとのマイナー契約を選んだ。ロジャースセンターで数えきれないほどのスタンディングオベーションを受け、打席に立つと"カ・ワ・サ・キ"の応援を受けた彼は、そのことを少しも後悔していない。

カワサキのブルージェイスでの時間は、わずかに2か月だったが、それでおしまいではない。彼はバッファローにいて、もし誰かがケガをした時には、チームに戻ってくるだろう。彼の降格のニュースが流れた時、カナダのソーシャルメディアは、その話題でいっぱいになった。そしてその反応を聞いた彼は、微笑まざるを得なかった。

「死んだわけではないので」出塁率.337を記録したカワサキは言った。「まだ野球選手なんで、明日は違う所で野球をします。だけど僕は近くにいるし、チームが必要とすれば、僕は戻ってきます。本当に凄い経験だったし、みんなに感謝しているし、みんなが大好きです」

参考記事: Kawasaki optioned to make room for Reyes By Gregor Chisholm / MLB.com