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7月31日のトレードデッドラインはまだ数週間先だが、推測はすでに始まっている。確かに、今シーズン終了後にフリーエージェントとなるベテランが多くいて、優勝争いから脱落したチームであるマリナーズは、積極的な売り手にまわるすべての要素を持つチームである。その状況になったことで、ケンドリー・モラレス、マイケル・モース、ブレンダン・ライアン、ラウル・イバネス、ジェイソン・ベイ、オリバー・ペレス、アーロン・ハラング(2014年オプション)、ジョー・サンダース(2014年オプション)、そしてフランクリン・グッティエレス(2014年オプション)らのうわさ話は、確かに活発になるに違いない。

しかし私は、今シーズンのアメリカン・リーグで誰よりも素晴らしい投球をしているヒサシ・イワクマの名前が専門家の口から出たことに、正直に言って驚いた。しかしマイナーリーグの先発投手層が厚く、慢性的にオフェンスの強化が必要なマリナーズにおいて、先発投手をトレードする傾向が強いジャック・ズレンシックがGMだと考えれば、驚くことではないのかも知れない。

そして今日ESPN.comのジム・ボウデンが"トレードの可能性がある20人の先発投手"と題した記事の中で、候補者としてイワクマの名前を挙げている。彼曰く

「マリナーズはこの先数年、フェリックス・ヘルナンデスと彼を一緒にしておきたいだろう。しかし豊富な投手層と、野手が本当に必要なことを考えれば、イワクマはチームの中の誰よりも、トレード価値が高い選手だ。私は彼がトレードされるという確信はないが、彼はどのチームでも力を発揮できるだろう」

できれば打者の若いプロスペクトのパッケージを実績のある投手で獲得し、それが複数のニーズを満たす。それはフェリックス・ヘルナンデスとローテーションを組んでいた何人かの投手において、これまでにも度々、行われてきたことであり、魅力的な考え方だ。唯一の問題は、ズレンシックが球団の選手層を追求していく中で、彼が投手をトレードしたすべてが、これまでのところほとんど上手く行っていないことだ。

・2009年7月31日、ジャロッド・ウォッシュバーンをタイガースへトレード、左腕マウリシオ・ロブレス、左腕ルーク・フレンチを獲得

・2009年12月23日、ブランドン・モローをブルージェイズへトレード 、右腕ブランドン・リーグ、外野手ジャーメイン・チャベスを獲得

・2010年7月9日、クリフ・リーをレンジャーズへトレード、マーク・ロウ、一塁手ジャスティン・スモーク、右腕ブレイク・ベバン、右腕ジョシュ・ルーキ、内野手マット・ローソンを獲得

・2011年7月30日、ダグ・フィスターデビッド・ポーリーをタイガースへトレード、外野手キャスパー・ウェルズ、三塁手フランシスコ・マルティネス、左腕チャーリー・ファーブッシュ、右腕チャンス・ラフィンを獲得

・2011年7月31日、レッドソックスへエリック・ベダードジョシュ・フィールズをトレード、外野手トレイボン・ロビンソン、外野手チ・シン・チェンを獲得

・2012年1月20日、ヤンキースへマイケル・ピネダホセ・カンポスをトレード、捕手ヘスス・モンテロ、右腕ヘクター・ノエシを獲得

・2012年12月19日、エンゼルスへジェイソン・バルガスをトレード、一塁手兼指名打者ケンドリー・モラレスを獲得

望んだ通りになっているだろうか? スモークとモンテロは、未だに彼らの進む方向を模索している。ルーキはジョン・ジェイソに変わって、彼はマイケル・モースに変わった。しかし彼は、今シーズン終了後にフリーエージェントになる。モラレスは良いシーズンを送っているが、彼も契約最終年のもう一人の選手である。彼の代理人はスコット・ボラスであるからして、シーズン中の契約延長は望めない。確かにボラスはクライアントのために、何回かシーズン中に契約延長をしたことがある。しかしそれらは、その球団に長いこと在籍した選手に限られる傾向がある。シアトルでのモラレスの様に、わずか2か月余りしかそこにいない選手は、一人もいない。

イワクマのトレードを価値あるものにするだけの、理論的なものは確かに存在する。しかし私は、それは現実的ではないと思っている。そしてマリナーズは厚い投手層を誇ってはいるが、マイナーリーグの有望株が、有能なメジャーリーガーになることが、どんなに大きなステップであるかということを、私たちは身にしみて知っている。それは"ビック3"を見てみれば分かる。ダニー・ホルツェンは、肩を痛めて1か月以上欠場している。ジェームス・パクストンは、3Aで安定性を欠いている。タイワン・ウォーカーは一番好調だか、まだ2Aで若干20歳である。

約束されたものは、そこには何もない。しかしイワクマは、オールスターを狙える投手であることをすでに証明し、32歳と十分に若く、この先も期待できる。マリナーズが持っている最も確実なものである。彼は格安の6.5百万ドルで、あと1年の契約が残っており、2015年のチーム側オプションも、手頃な7.5百万ドルだ。

プロスペクトと完成された投手をトレードすることで、劇的な戦力の強化を図ることを繰り返す代わりに、どの球団でも欲しがるであろうヘルナンデスとイワクマのローテーションコンビという強みを、マリナーズは保つべきである。もしウォーカーとホルツェンの二人が成功すれば、マリナーズは球界でも屈指のローテーションを持つことになり、最終的に優勝争いができるチームとなる礎を築くことになる。もしそれが成功しなくても、その時の彼らは、本当にイワクマを必要とするだろう。

マリナーズは明らかに、打線の向上が必要である。しかし彼らはそれを、ドラフトやフリーエージェント、すでに球団にいる選手たちの成長でするべきである。そしてチームの一番の選手の一人をトレードするのではなく、すぐにいなくなる選手のトレードを通して行うべきだろう。トレードが、期待した様な結果を残していないということを歴史が示している時は、特にそうである。

参考記事: Trade Iwakuma? Mariners should just say no Posted by Larry Stone The Seattle Times