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日曜日の昼下がりに、ユウ・ダルビッシュとジャスティン・バーランダーの投球を見ることよりも楽しいことなんてあるだろうか。もし君が球場ではなく、公園のベンチに座って膝の上にラップトップを広げ、5月初旬の暖かい日差しを浴びながら、彼らの投球を想像していてもだ。

ダルビッシュはレッドソックスと対戦し、7回で14人の打者を三振に獲った。そしてそれは、2本の本塁打を打たれ3失点するという、彼にとっては悪い内容だった。しかしファストボールで4奪三振、スライダーで6つ、カーブで3つ、14個目はスプリッター(6回にデビッド・オルティーズを仕留めた93マイルの球)と、なぜ今シーズンの彼が本当に素晴らしいのかを見せつけた。最後の投球となった127球目、彼はカウント3-2でストライクからボールになるスライダーでペドロ・シリアコを仕留めた。ダルビッシュはそうするために、ジャイロボールか他の魔球を投げる可能性もあったのかもしれないが、そんなことは誰にも分からない。レンジャーズのロン・ワシントンは、彼をそこで降板させた。そしてテキサスは4対3で勝利したが、彼に勝敗はつかなかった。しかし私は、彼があと1,2イニング投げることができたと確信している。

一方のバーランダーは、3A級のラインアップであるヒューストン・アストロズを相手に、まれにファストボールの球速を上げながら、7回までノーヒッターを演じた。しかし彼にその必要はなかった。彼のファストボールの平均は92.8マイルだったが、その日はそれで十分だった。彼は被安打2、9奪三振で、7回を無失点に抑えた。

クレイ・バックホルツ(不安定なキャリアながらも、素晴らしい滑り出し)、マット・ハーベイ(時期尚早)、ジョーダン・ジマーマン(よくやっている)、アダム・ウェインライト(今のところは、素晴らしいコントロール)、そして他の投手には申し訳ないが、現在のところの球界での最高の右腕争い候補は、ダルビッシュ、バーランダー、そして金曜日にトロント・ブルージェイズを相手に、8回無失点と素晴らしい投球を見せたフェリックス・ヘルナンデスだ。

2013年の3人を見てみよう。

成績
ダルビッシュ:5勝1敗、防御率2.56、45.2回、被安打27、与四球15、72奪三振、3本塁打、被打率.169
バーランダー:4勝2敗、防御率1.55、46.1回、被安打38、与四球13、50奪三振、1本塁打、被打率.222
ヘルナンデス:4勝2敗、防御率1.60、50.2回、被安打39、与四球  7、51奪三振、3本塁打、被打率.212

ヘルナンデスが、一番多くのイニングを投げている。そしてバーランダーとヘルナンデスの防御率が低い。しかしダルビッシュは、9イニングあたり平均14.1個の三振を奪っており、もっとも支配的だ。それは2001年にランディ・ジョンソンが記録した13.4を上回っている。ダルビッシュはまた、3人の中でもっとも打者に有利な球場で投げているにも関わらず、被打率が.169と一番打ちにくい投手だ。しかしヘルナンデスも、他の二人よりも少し強力な打線と対戦している。それは他の二人が対戦することがないレンジャーズ、そしてタイガースと対戦しなければならないからだ。3人とも1回ずつヒューストンと対戦して、誰も失点していない。

判定:シーズン序盤の今は、防御率をあまり重視できない。ヘルナンデスは、頑丈さと配球の巧みさで優っているが、ダルビッシュの奪三振率は驚異的だ。したがってダルビッシュが、優勢だ。

今シーズンの問題点
ダルビッシュ:特にファストボールのコントロール。彼は200イニングを投げることができることを証明しなくてはならない(昨シーズンは29先発で191.1イニング)。

これまでの彼を分析しよう。彼の与四球率が、11.9%から8.4%に下がったのは良いことだ。しかし彼がストライクゾーンにファストボールを投げる確率は、実際にわずか42%で、昨シーズンよりも10%下がっている。彼はツーストライクまで追い込んだ時に、三振を奪うことができる球を持っている。31打席のうち20三振はカーブで終わらせ、69打席のうち29三振は、スライダーで奪っている。それはファストボールで安定的にストライクが取れなくても、彼が本当に良かったことを証明している。そしてそれはある意味で、彼のアドバンテージになっている。その効果的な不安定さは、打者がファストボール(または彼の中では、最高とは言えないカッター)に狙いを絞ることを難しくしている。しかしそれは一方で、少ないイニングで投球数を多くしている。

バーランダー:過去2年連続でア・リーグ最多イニングを投げて、ポストシーズンでも50イニング投げたあとの耐久性。 素晴らしい2シーズンを送ったあとに、衰えはあるだろうか?

1.55という防御率が、2つ目の疑問の答えになる。彼はまだ7イニング以上を投げていない。それは彼には珍しいことだが、それは厳しく管理しているからだけではない。彼は試合で126、116、114、111、そして111球を投げている。彼は2012年も、最初の9試合は120球以上は投げなかった。したがってジム・リーランドは、今のところ少し慎重になっているのかも知れない。そしてバーランダーはまた、すこし寒い中で投げている。それに加えリーランドは、バーランダーが10月まで好調を維持できるように抑えているのかもしれない。

ヘルナンデス:ファストボールの球速が落ちていることと、昨シーズン終盤のスランプ(9月の6先発で0勝4敗、防御率6.62)

これまでのところ、彼のファストボールの平均は、昨シーズンより1マイル(92.1から91.1)落ちている。それは2011年より2マイル、サイ・ヤング賞に輝いた2010年の93.9マイルよりも下がっている。しかし彼の今シーズンのファストボールの最速は94.1マイルで、それは3シーズン前の彼の平均と同じだ。それは彼が変わらず、抜群のチェンジアップを投げる良い投手で、9月に起こったことは異常なことであったことを示している。

判定:ヘルナンデスが、かつてのような豪速球を投げないとしても、彼はキャリアでもベストなシーズンをを送っている。確かに西海岸の球が飛ばない球場で投げていることが助けになっている。そしていつか、彼のファストボールとチェンジアップの球速差がなくるだろう。しかしまだ、そうはなっていない。

能力
ダルビッシュ:計り知れない。彼はツーストライクになったら、カーブボールとスライダーの組み合わせで、基本的に打てない。ツーストライクになった112打席で、打者は.088しか打てず、72三振、8四球、長打は2本だ。

バーランダー:ファストボールの速さが売りのバーランダーは、まだ100マイルを投げておらず、平均は92.2,最高は97.1マイルだ。それは彼を打ちやすくなることを意味しない。打者は彼のファストボールに対して.192/.289/.256で、それは2011年の.215/.291/.362よりも良いものだ。

ヘルナンデス:いまのところ、ヘルナンデスのチェンジアップよりも良い球は存在しないだろう。それは左打者からは逃げて、右打者は詰まらせる。それの打者の打率は.130だ。彼はそれにスライダーとカーブを混ぜて、その4球種を素晴らしいコントロールで、少ない球数で打者を仕留める。

判定:誰かがバーランダーよりも良い能力を持っているとは言えないが、現在のところ、それはダルビッシュの豊富な球種である。バーランダーは95マイル以上のファストボールを常時投げる必要はない。彼はそれが必要になるまで投げることはしない。そして彼が、それをもっと頻繁に投げ始めるまでは、ダルビッシュに対抗するような、衝撃的な球を投げることができる人間は誰もいない。

誰がベストか?
これはピーク時のウィリー・メイズとミッキ・マントルを比較するようなもので、答えを出す方法はひとつだけだ。もし3人の投手が同時に登板して、見ることができるのは一つだけで、特別にひとつのチームだけを応援しないとしたら、誰を見たいだろうか? 現在、私が見るのはダルビッシュだ。中立的に見て、彼が球界で一番の右腕だ。

しかし来週は、気が変わっているかもしれないが。

参考記事: The best right-hander? Darvish is the man By David Schoenfield | ESPN.com