Abe homers twice in the inning

そのジャイアンツのキャッチャーは、夜に行われたAT&Tパークでの打撃練習で、バッターボックスに入った。バットとボールが激しくぶつかる音を繰り返し聞いた記者たちは振り返り、ライト側フェンスを越えていく打球を見上げた。

彼らは、2012年の首位打者でリーグMVPに輝いた選手の完璧な技術を観察した。その選手は昨シーズン、ジャイアンツの優勝を牽引して、地元のファンを大いに喜ばせた。彼の名前は、バスター・ポージーではない。

彼の名前は阿部慎之助。日本の野球史上、最高のキャッチャーの一人だ。日本のプロ野球で12年目となった2012年、彼は読売ジャイアンツで打率.340、27本塁打、104打点を記録し、チームは日本シリーズで頂点に輝いた。それは彼のキャリアで3度目のことだった。

もしその成績に見覚えがあるのなら、それはこの男の成績が理由である。昨年の10月に3年間で2度目のワールドシリーズ・チャンピオンに輝いたジャイアンツで、ポージーは打率.336、24本塁打、103打点を記録した。

ワールド・ベースボール・クラッシックの決勝ラウンドが行われるサンフランシスコで、阿部と日本代表チームは、大会が始まった2006年から続く、3大会連続のチャンピオンを狙っている。

生まれたときに引き離された野球の兄弟が時を経て再会するように、阿部とポージーは木曜日にアリゾナ州スコッツデールで行われた日本チーム対サンフランシスコ・ジャイアンツの試合で、顔を合わせた。

「彼のプレーは、印象的でした」阿部は土曜日の夕方に通訳を通して言った。「彼の年齢で、あんな素晴らしい選手になるなんて、凄いことだよ」

ポージーは、今月中に26歳になる。33歳の阿部は、ポージーよりも約10年長くプロでプレーしている。そして彼らは、もう一つ珍しいことを共有している。二人ともMVPに輝いたキャッチャーだ。

ここ50年のメジャーリーグで、ポージー以外にその栄誉に輝いたキャッチャーは5人だけだ。昨シーズン、日本のセントラル・リーグMVPに選ばれた阿部は、1965年以来キャッチャーとしては3人目だった。

ポージーにとって、キャッチャーを続けながら強打者になるというチャレンジは、2011年に負った大けがによって、より難しいものとなっていた。その時の彼は、ホームベース上で走者と激突して足を骨折して、複数の靭帯を断裂したことで、2年目だったメジャーリーグシーズンは早くに終わった。

阿部はポージーについて、新人賞に輝いた2010年よりも、2012年によりレベルの高いパフォーマンスを見せていることを称賛する。

「凄いなって思うのは、そこなんだよね」阿部はポージーの復活について言った。「自分でキャッチャーをやっていて、簡単なポジションでないことは分かっているから、あんなに早く戻ってきて、あんな素晴らしい成績を残すなんて、本当に凄いことだと思う」

阿部が発した"本当に凄い"という言葉は、彼自身が日本で成し遂げてきたことにも、たしかに当てはまる。阿部は2009年の日本シリーズで打率.304、5戦目と6戦目の決勝打を含む5打点を記録してMVPに輝いた。阿部はまた、2012年の日本シリーズでは、優勝がかかった第6戦で決勝打を放った。木曜日、スプリング・トレーニングのリラックスした雰囲気の中で、阿部はシングルヒット2本を放ち、4打数2安打だった。ポージーは2打数0安打、犠牲フライ1本だった。

阿部とポージーが、よりプレッシャーのかかる場面で再開する可能性があるのだろうか? 阿部はそうなれば良いと思っている。もしそれがワールドシリーズと日本シリーズのチャンピオンが対戦するということなら、尚更である。メジャーリーグのコミッショナー、バド・セリグがいつか本当の"ワールド”シリーズを開催することを望んでいることについて聞かれた阿部は、答えた。

「それは、とても面白いだろうね」彼は言った。「僕たちのリーグにとっても、良いことだし。見て、対戦して、MLBのすべてを知ることになると思う」

類似点が多くある阿部とポージーの間に、違うことが一つある、阿部はより、プロ野球の経験が長い。ライト側のファウルゾーンに立った阿部に、若いポージーに対するアドバイスを求めた。

「彼にアドバイスできることなんてない」阿部は笑いながら言った。「彼からアドバイスが欲しいぐらいだよ」

参考記事: Abe, Posey are Giants of the game By Manny Randhawa / Special to MLB.com