シアトル・マリナーズがフェリックス・ヘルナンデスをトレードしないのなら、残る選択肢は限られていた。

彼らはヘルナンデスと、モンスター級の契約を結ばなければならなかった。それらはすべてを合わせて、途方もない金額になるであろうことを知っていた。

そして今、私たちはその論理どおりの結果を得た。キング・フェリックスが7年175百万ドルの大型契約という幸運に見舞われたと、USAトゥデイが最初に報じた。

4月8日に27歳となるヘルナンデスは、少なくともデトロイト・タイガースのジャスティン・バーランダーとロザンゼルス・ドジャースのクレイトン・カーショーが新しい契約を結ぶまでは、球史上最高額の投手になる予定だ。

ヘルナンデスはすでに'14年までの契約を結んでいたので、フェリックスの新たな契約は、5年139.5百万ドルの延長ということになる。しかし計算をすれば分かるように、追加された金額は、その契約が終了した時のヘルナンデスが33歳であっても、巨大な投資であり巨大なリスクということになる。

フェリックスがマリナーズの顔で、球界で5本の指に入る先発投手で、才能豊かな若手投手陣と一緒にこれからの数シーズンのチームに安定感を与える中心人物であることを、私は理解している。

それでも、お得感を得ることがまれな先発投手の契約であっても、それが長いことと高いことは否定できない。マリナーズの選択は、フェリックスをトレードすることで得られたであろうものと、永遠に比較されるだろう。

このシーズンオフ、タンパベイ・レイズは右腕のジェームス・シールズのトレードの一部として、おそらく球界でトップの打者プロスペクト、ウィル・マイヤーズを獲得した。シールズのキャリアERAプラスは107でフェリックスの127よりもだいぶ低い。(ERAプラスは、防御率を球場とリーグの要素で修正したもの。100が平均で、高いほど良い成績となる)

その間にニューヨーク・メッツは、38歳のナショナル・リーグ・サイ・ヤング賞投手R.A.ディッキーとのトレードで、おそらく球界でトップのキャッチャーのプロスペクト、トラビス・ダルノーとトロント・ブルージェイズの投手のトップ・プロスペクト、ノア・シンダーガードを獲得した。

ヘルナンデスは多くの見返り、とても多くの見返りをもたらしただろうが、チームは一度も真剣に、そのことを考えなかった。

シアトルはフェリックスを愛していて、フェリックスはシアトルを愛している。フロントと多くのマリナーズファンは、かつてのマリナーズ選手であるケン・グリフィーJrやアレックス・ロドリゲスのような地元育ちのスーパースターとは違って、彼をトレードすることはとても考えられず、チームに残ることを明らかに望んでいた。

その選手とチーム、そしてファンの情熱によるその契約は、賞賛に値する。しかし数年後でも、みんなが同じようなロマンチックな見方をするだろうか?

申し訳ないが、フェリックスをトレードするリスクは、見返りが失望させるかも知れないという可能性を考慮したとしても、175百万ドルの契約を結ぶリスクよりも小さい。

確かにヘルナンデスはここ4シーズン、平均238イニングを投げて、完全試合をやってのけて、サイ・ヤング賞にも輝いた。しかしその期間の彼のシーズンERAプラスを考えると、

171,174,109,102である。

フェリックスが弱小球団で投げていて、最盛期を迎える年齢であることから、私は彼が衰えたと言うつもりはない。しかしマリナーズは、この先7年間の175百万ドルを最大限に活かせるだろうか?

それを当てにしてはいけない。

ニューヨーク・ヤンキースの左腕CC・サバシアは、28歳の時にフリーエージェントとして7年161百万ドルの契約を結んだ。その後3年30百万ドルの契約延長をした。

現在32歳のサバシアは、ヤンキースで素晴らしい4年間を過ごした。彼のERAプラスは135だ。しかし昨シーズンは2回、故障者リスト入りした。最初は左そけい部のはり、そして左肘の痛みだ。200イニングという投球回数は2006年以来、124のERAプラスは2005年以来もっとも低かった。

少し心配になった?

ヤンキースがこれから4年間、サバシアに94百万ドルを払う義務があることを考えれば、特にそうである。加えて2017年には、25百万ドルのべスティングオプションか5百万ドルのバイアウトがある。

ヘルナンデスの新しい契約が始まるのは、サバシアのその契約がはじまったときよりも約1年若くなる。もしフェリックスが、マリナーズであと4年間素晴らしいシーズンを送れば、球団に熱気を戻す力となり、もしかしたら彼が契約の終わりに衰えるかもと考える人間はわずかだろう。

そしてほとんどの人は今、その可能性さえ考慮してない。

マリナーズはフェリックスをトレードスべきだと、私はずっと書いてきた。そしてそう、ここ数年は毎年1回以上書いた。私は多くのマリナーズファンが「彼はうちのものだ。彼を誰にも渡さない。そんなことを書くのは止めろ!!」と言うのを聞いた。

分かった。私はその忠告に従うことにしよう。しかし最後に言わせてくれ。

このような契約は常に、はじめは素晴らしいように思える。その後、ほとんどの場合、すべての人が恐ろしさのあまり縮こまるのだ。

参考記事:M's taking big risk with Felix deal Ken Rosenthal FOXSports.com Senior MLB Writer