約20年にわたってデレク・ジーターは、アメリカ野球界の顔である。彼はスポーツ界で最高のチームの重要なポジションでプレーしている。彼は5つのワールドシリーズ・リングを持ち、ポストシーズンの打率は.308を誇る。野球選手、宣伝広告、デート相手をタブロイド紙に書かれること、これらのことで、彼は現役のリーダーである。

そしてワールド・ベースボール・クラッシックで国のためにプレーしてほしいと言われたとき、彼は2度もそれに応えた。ジーターは2006年と2009年の大会で、合わせて打率.347を記録したが、誰も驚かなかった。彼は実績に裏打ちされた人生の勝者である。

しかしジーターは、約6週間後に迫った今年のWBCに出場しない。昨年のアメリカンリーグ優勝決定シリーズで負った足首の骨折からの回復途中だからだ。そうでなければ、友人であり師匠でもあるジョー・トーリが指揮をとる米国チームで、プレーをしようとしただろう。

おそらく今回が、WBCでジーターがプレーする最後のチャンスだった。今から4年後の国際大会のことは言うまでもなく、今年38歳の彼は、ショート選手としての能力に多くの懐疑的な目が向けられている。

そしてメジャーリーグの非公式な共同事業体である米国球界、広告業界、そして(もちろん)メディアらはすぐにでも、この国民的娯楽の新しいアバターを見つけるだろう。候補者には不足していない。バスター・ポージー、マイク・トラウト、ブライス・ハーパー、ジャスティン・バーランダー、クレイトン・カーショー、そしてデビッド・プライスが、私の頭に浮かんだ最初の名前だ。この3月にWBCが行われるなんて、なんてタイミングが良いのだろう。だってこれらのスターが、国中のファンに強烈な印象を残すことができるのだから。そして・・・、

ちょっと待って!

なんだって?

彼らはプレーしない?

あら。

情報提供者によれば、私が名前を挙げた6人のうち、ポージー、トラウト、ハーパー、そしてプライスは、米国チームに参加しないことが決定していて、バーラーンダーとカーショーも、不参加になりそうだ。 

そう、米国チームが木曜日の朝に正式発表されるとき、アダム・ジョーンズやジャンカルロ・スタントンといった若くてカリスマ性のあるスターが含まれるだろう。しかし彼らの仲間の多くが参加しないことは、一言で言えば、期待はずれである。

不参加の選手の人格や愛国心に疑問があるわけではない。何人かは、キャンプに残れというチームからのプレッシャーを感じたのだろう(余談だが、そういったことの強制は、WBCに関するMLBの取り決めでは禁止されている)。他には、それは誤解だが、けがのリスクを懸念したのだろう。MLBの調査によれば、'06年と'09年に参加した選手よりも、参加していない選手のほうが、その年の4月に故障者リスト入りした割合は高かった。

サッカーのワールドカップと肩を並べる大会になれる、むしろしなくてはならない大会にとって大物選手の不参加は、根本的な欠陥である。そしてその問題の根本は、アメリカ人選手、球団幹部、ファン、そしてもちろん記者の姿勢にある。

これを正確に理解するには、現在まで7勝7敗、決勝戦まで進んだことがないというWBC米国チームの成績を受け入れることから始まる。(日本はキューバと韓国を下し、2回チャンピオンになっている。)したがってそれは、我々は残る他の国のチームを圧倒したが、決勝ラウンドで1回か2回の不運に見舞われたということではない。

我々はこの競技において一番であると、ふたたび主張しようとしなければならない。これまでのWBCの成績が、正にそのことが必要であると示している。その代わりに何人かのアメリカ人選手は、WBCにおける国や競技に対する責務よりも、自らの都合を優先しているようにみえる。彼らは契約最終年にプレーすることを望まない。彼らはチームを変わったり大きな契約を得たとき、それかポストシーズンに進んだときは、プレーすることを望まい。タイミングが本当に良くでもない限り、これからも彼らはそうするだろう。 

他の参加国は逆が当たり前だ。選手はオファーを受けると、けがでもしていない限り、すぐにYesと返事をする。2012年のワールドシリーズ最終戦の10月28日、デトロイトのグラウンドにいたミゲル・カブレラとパブロ・サンドバルは、ベネズエラチームに参加を表明した最初の選手だ。彼らには、エースのフェリックス・ヘルナンデスが加わるだろう。彼はフリーエージェントまでの期間が、カーショーやバーランダーとほとんど変わらず、ここ4年間は平均で1シーズン240イニング近くを投げている。

なぜアメリカ人選手は他の国の選手よりも、けがのリスクが上昇するという神話を信じるのだろう? WBCには、確かにリスクがある。しかしその大会がオープン戦よりも危険であるということを示すだけの十分な証拠は誰も持っていない。野手は特に、シーズン前の調整中の投手や1Aからコールアップされた19歳の選手がメジャーリーグのオープン戦で投げるのと対戦するよりも、WBCのほうが安全だという意見もある。そしてもしWBCのプレー中に大けがを負っても、選手が所属するメジャーリーグ球団は、故障者リストに入っている間の給与の100%を選手が受け取れる保険に入っている。

その正当性は、"いつもどおりのスプリングトレーニング”にあると、トラウトの代理人クレイグ・ランディスはロサンゼルス・タイムズに説明した。それは2つの点で疑わしい説明だ。2012年のトラウトは、健康問題で"いつもどおりのスプリングトレーニング"ができなかったあと、我々の生涯でも見たことがないような最高のシーズンを送った。さらにワールド・ベースボール・クラッシックが開催される3月上旬から中旬のメジャーリーグのクラブハウスにいれば、スプリングトレーニングが長すぎて、そこから早く抜け出したいという選手たちのグチを聞くことができるだろう。

にもかかわらずトラウトとその仲間は傍観者であり、我々が必要とする場合に備えて、苦しい言い訳を準備している。それは「誰もその大会のことなんか気にしていない。だって一番優秀な選手が参加していないんだから」というものだ。よろしい、ここに根本的な解決方法がある。他の国と同じように、私たちの一番の選手を送ることで、そのイベントに合理的な権威を与えることはどうだろうか? そしてその結果を認めるというのは? バスケットボールは、2004年のオリンピックで金メダルを逃したあと、レブロン・ジェームスやコービー・ブライアントのようなスーパースターから、同じような言葉を引き出した。結果は16勝0敗、2つの金メダルだ。

同じようなことは、野球でも起こる可能性がある。もしかしたらジーター(やレブロン)が、新しいキャプテン・アメリカとして浮上し、より多くのアメリカ人の参加を要求するかもしれない。しかしそれは、2013年には起こりそうにない。なのでファンはおそらく自我を満足させるために、完全な感情移入ができないWBCを見て、そして参加していないヒーローに助けを求めるだろう。そのイベントで負けた場合に我々は、その7勝7敗という成績を認めるよりも、その大会のタイミングについての不満を言うのだ。しかし世界は、我々に追いつこうとしている。

米国は30チームのうちの29チームをベースにして、70%以上を現役メジャーリーガーにすることで、球界の中心に残ることができる。それはこれまでにないくらいに金銭的に豊かで、素晴らしい、多様化した競技だ。これらは明らかに良い進化である。それでも我々の国の歴史は、その競技の歴史と密接に関係している。そのため米国は、WBCがスポーツ界で最高の国際大会に育つための責任を負っている。

その義務があるのは、はっきりしている。そしてときどき勝つこともまた、うれしいものである。

参考記事:WBC's Team USA lacking biggest stars Jon Paul Morosi FOXSports.com National MLB Writer