毎朝、フォレスト・スノーがマリナーズキャンプに現れる時、彼は時にネクタイを締め、時にはカッコ良いセーターを着ている。そして、いつも笑顔だ。

ベテランメジャーリーガーが鎬を削るスプリングトレーニングの中で、スノーは子供の初デートの様に目立っていた。しかし彼は気にしない。そこはマリナーズが野球をする場所で、ワシントン州ショアラインで育った若者が、ずっと来たかった場所だ。

「生まれたのも、育ったのもシアトルだから、それはまさに内側に刻み込まれているものだよ」 ワシントン大学から来た右腕は言った。「今の僕に凄いプレッシャーがかかっているんじゃないかって、みんなが聞いてくる。でも僕は5才の頃から、こうなる事を望んでいたんだ」
 
「だからそうなったのは、自然なことだと思う。正しいと思う。いるべき所にいると思う。僕は一生懸命に頑張るし、これは良い経験だ。夢の中にいるみたい、素晴らしいことだよ」

23才のスノーは、昨シーズンの1Aクリントンと2Aハイ・デザートそして最後は3Aタコマで活躍し、その後アリゾナ・フォール・リーグでも強烈なインパクトを残した。そしてこの春、初めてメジャーリーグキャンプに参加した。 

シアトルのレイクサイド高校を卒業した6フィート6インチの彼にとってのこのキャンプは、露出を増やし経験を積むことが全てだ。そしてもし彼が、毎日練習場にドレスアップしてくるたった一人の選手になったとしても、そのスタイルを貫く事を恐れていない。

「僕は出来るだけプロフェッショナルとして、正しいことがしたい。野球をリスペクトして子供たちに夢を与えたい」彼は言った。「だからポロシャツよりネクタイの方が良いと思うんだ」

彼のやり方は、マリナーズのカール・ウィリス投手コーチには、効果があった。ウィリスが彼を最初に見たのは2010年の1Aエバレットで、すぐにこのドラフト36巡目指名の若者から強烈な印象を受けた。

「彼は彼なんだ」ウィリスは言った。「私たちはメジャーリーグ選手になりたいと言う彼の長い間の夢を叶えることについて、今朝話した。だけどそれで私たちが失うことになるかも知れない一つの事は、それが彼の育った地元のチーム、シアトル・マリナーズであるということだ。彼はそれを尊重して、自分をコントロールして、野球や他のことも尊重している。彼は自分のすることの進め方に、とても良いイメージを持っている」

スラックスとネクタイは?

「誤解してほしくないんだけど、外ではそのように振舞わなければならない。もしTシャツを着てみんなの前に出ても、私たちはそれも良いと思っている。ルールに従っている限りね」ウィリスは言った。「でも僕が思うに、彼はそれがメジャーリーグだって言いたんじゃないかな。これは重要だって。それが2月であっても、そこは特別な場所なんだってね」

マリナーズは、スノーを先発にするのかリリーバーにするのかを最終的には決めていないが、アリゾナ・フォール・リーグではブルペンで活躍した。16 1/3イニングで防御率1.10、16奪三振、3与四球。彼の近い未来が、そこにあるように見える。彼はワシントンでは圧倒的な選手では無かったが、それは印象的なファッションと共にそこから始まった。

「正直に言って、彼のドラフト指名がそんなに遅かったことに驚いた」ウィリスは言った。「たぶん彼は遅咲きなんだ。一度彼がプロになれば、すぐにいろいろなことを吸収するだろう。だけど私は彼の投球が好きだ。彼のチェンジアップとファストボールのコンビネーションは本当に良い」

スノーは3つのことが、昨年の彼を助けたといった。一つ目はクリントンの投手コーチ、リッチ・ドーマンが、彼の継続的なルーチンワークの確立を助けてくれた。その後彼は、2Aハイ・デザートに行き、彼の武器となるスライダーを習得した。

「僕のカーブボールは、安定していなかった。バウンドするのが多くて、イライラしていた」彼は言った。「そして僕はスライダーを練習し始めてタコマに行ったら、僕にはそれがとても効果的だった。そして今僕にはカーブボールもあるから、誰も予想していない時にそれを投げることができる」

そしてその後、シーズン終盤のレイニアーズで彼の心境を変える出来事があった。

「グレッグ・ホールマンが、誰も恐れるなって言って僕を励ましてくれた」スノーは言った。「彼は僕をセンターから見てそして”君には武器があるんだから、それを使って、それを信じろ、何も恐れるな”って言った。そして僕はそれを忘れずにアリゾナ・フォール・リーグに行って、今もそれを忘れていない。僕はただできるだけアグレッシブでいることに挑戦している。失うものは何もないんだ」

しかし彼はホールマンを失った。若いマリナーズの外野手は、シーズンオフにオランダで刺殺された。彼の思い出は、スノーを含めたシアトルのトッププロスペクトの心に刻まれている。

「僕が昇格してから2週間後に彼が(タコマに)戻ってきてた。そして彼のエネルギーにみんなが影響を受けた」スノーは言った。「成功するにはそこで頑張って、いつも100%を発揮しなければならない。僕がいずれそうならないとは言わないけど、そんなふうに誰かの力になるというのは、それだけ余分な力を使わせるということなんだ。彼は素晴らしかった」

スノーの父、フィールディング・スノーは、かつてサンディエゴ州立大学の投手だった。彼はフォレストをT-ボールから高校までコーチし、レイクサイドのジュニア代表チームのコーチだった。

「彼は常に僕と一緒だったし、今でもそうだ」スノーは言った。「彼は僕の成長に大きく関わっているし、僕は彼を信じている」

スノーは父と母のクリスティーン、今ワシントンの女性ボートチームで頑張っている妹のエイミーと一緒に、キングドームでマリナーズの試合を見て育った。

その時の彼は、地元のヒーローと一緒に実際にプレーをすることを夢見ていた。今それが現実に近づいている。なのでマリナーズキャンプにいる事を、若いスノーよりも感謝している人は誰もいない。

「凄いよね」彼は言った。「長いこと野球をしているけど、こんなに楽しいことは無かったよ」

参考記事:Snow looks to impress hometown team By Greg Johns / MLB.com | 02/22/12 4:30 PM EST
http://mlb.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20120222&content_id=26804898&vkey=news_sea&c_id=sea&partnerId=rss_sea