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4月が終った時、イチローは彼のキャリアの中で最も大きいスランプの始まりを感じさせていた。シアトルのファンの一部では、彼はもう特別な打者では無い。と言うテーマで激論が交わされていた。

4月最後の11試合で、イチローの打率は.447(47打数21安打)、シーズン打率を.250から.328に引き上げた。彼はマルチヒットを4月最後の8試合で7回記録した。そして迎えた5月、いつものイチローなら、エンジンがかかる時。この月の彼の通算打率は.362。マリナーズのリードオフマンは全てが順調に見えた。

5月のイチローは悲惨だった。彼の月間打率は.210、そして6月の最初の9日間で打率.132である。その間、イチローは35試合に出場し、打率.189(143打数27安打)、4本の長打(3本の二塁打と1本の三塁打)、11回四球を選び、彼の出塁率は.245、長打率は.224である。こんな彼を、私たちは今まで見たことがない。

もう、終わったのだろうか。私はイチローが復調することを願っているが、現実は現実なのだ。これは本当にイチローだろうか?

彼は一度調子が戻ってくれば、回復は早い。彼は今シーズン262打席に立っている。マリナーズの彼は、1シーズンで平均682打席(2009年を除く、この年彼はDL入りした)。この数字で何が言いたのかというと、今シーズンまだ420打席以上も残っているという事だ。さらに言うと、彼が200安打打つのには、すでに66本打っているので、残り134本だ。これは、残りの打席で.319打てば良い(420打数134安打)と言う事だ。イチローには可能な数字であることを、私たちは知っている。

そうすると、イチローが平均の682打席立ったとして、(この数字は下がる可能性がある。ウエッジが、イチローをシーズン中にもっと休ませる可能性があるからだ)シーズンで.293となる。シーズンで3割超えるには205安打必要で、この期間の打率は.331必要だ。 

 この.331という数字がひとつの目安になる。なぜなら、彼のメジャーでの生涯打率と同じだからだ。今シーズン、彼が生涯打率の.331に迫るには、今シーズン682打席で226安打必要になる。他の言い方をすると、残り420打数160安打、打率.381。昨年と同じ.315では、215安打必要なシナリオになる。あと149本で打率.355以上だ。

これらは、簡単な数字ではない。しかし、実際問題私はこう思っている。「彼は今までと同じスタイルを続けることができるのだろうか?それか、もし彼が37才という年令なりに衰えてきているなら(実際に今シーズンの彼は守備でいくつかミスをしている)彼はスタイルを変えて、私が2001年に「The Sultan of Slap」と呼んだプレーヤーであることをやめる必要があるのだろうか?

イチローの成功はその変則的なスタイルによってもたらされた。それは打ち損なった様に見えるゆるいボールでも内野安打にしてしまう事で、相手の守備を混乱させた。 叩きつけるバッティングであったり、バントであったり。イチローのスピードを見た事あるだろう。そして、彼がボールを打った瞬間すでに2歩走りだしている。これは彼の打撃の大きなポイントだ。そして時々、守備の間をつく強烈な打撃や、90本打っている(今シーズンは0)ホームランで、見ているものをびっくりさせる。

以下はイチローのそれぞれの年の内野安打とバントヒットの一覧だ。 Stats Inc. のデータで、内野安打の多い順番に並べてある。一番右は打率だ。

2001: 63 infield hits, 10 bunt singles (.350)
2009: 59 infield hits, 6 bunt singles (.352)
2010: 59 infield hits, 7 bunt singles (.315)
2004: 57 infield hits, 4 bunt singles (.372)
2002: 53 infield hits, 9 bunt singles (.321)
2007: 53 infield hits, 7 bunt singles (.351)
2008: 52 infield hits, 8 bunt singles (.310)
2003: 45 infield hits, 9 bunt singles (.312)
2006: 41 infield hits, 1 bunt single (.322)
2005: 34 infield hits, 6 bunt singles (.303)

一昨年と昨年が2位と3位に入っている。 これをみると、もし彼が調子を崩しているのなら、内野安打が少ないということを示している。次に示すのは内野安打を除いた彼の打率だ。

2001: .285
2002: .261
2003: .263
2004: .317
2005: .267
2006: .280
2007: .296
2008: .254
2009: .286
2010: .249

これは、いかに内野安打が彼にとって、重要なものかがわかる。それがないと、彼は特別な打者ではなくなる。昨シーズンの彼は「並の」打者だ。2008年はその次に悪い。

今シーズン63試合を消化してイチロ-は15内野安打(2バントヒット)だ。このペースで行くと162試合で、39 内野安打となる。それは内野安打34本の2005年(この年はキャリア最低打率)は抜くが、キャリアで2番目に低い数字となる。さらに今年の内野安打を省いた打率は.206(247打数51安打)である。

それは何を意味するのか?私は常々イチローが普通になってしまう事を心配している。イチローは常に研究されている。 彼はすでにそうなっているように見えるが、彼は対応できると思うし、すぐに出来ると私は信じている。
イチロー復活の鍵はボールをしっかり芯で捉えることであり、そしてそれらの打球を、今まで彼がしてきたように、綺麗に守備の隙間にライナーを打つことだ。今年、相手チームの彼に対する警戒は、少しずつ失われてきており、守備位置が浅くなっている。だから、彼がライナーを打ったとき、外野の守備は浅くなっているので早くボールをキャッチでき、また強い当たりがないので、内野がボールを抜かれる心配も少なく、これが内野安打をさらに少なくしている。

イチローは調子を落としてるが、それは年令による衰えの一部かもしれない。 彼に必要なのは、彼が守備の隙間にヒットを打つ天才であり、それを打つことができると証明することだ。私たちは
Sultan of Slapが健在かを見ることになる。もし、彼ができないのなら、そこにはより深刻な理由があるのだろう。

「The Sultan of Slap」:直訳すると、「権力者のビンタ」 sultanはアラビア語で、権威者、権力者を意味する。何でも打ち返してしまう、イチローのバッティングスタイルに付けたあだ名 

参考:The Seattle Times